VOL.66 7月号


NZで活躍する日本人

時代を飾るキウィ




自由時間 : ワーキングホリデーやスチューデントで活躍中

<J-Shine学生 / LETS : 田尻奈津子さん | メイン | プロ調理師・資格コース 学生:坂田 光春さん>

J-Shine学生 / LETS : 田尻奈津子さん

児童英語教師になるには‘子供が好き’だけでなく
責任感と力強さ、厳しさのバランスが大切。
それをレッツが教えてくれました。


 

時には朝LETSの授業が始まる前にバイトへ行き、授業後に自習をした後にまたバイトへ戻ることもあるというパワフルな田尻奈津子さん。夢の実現のためには最大限の力を注ぐ努力家の彼女。そんな頑張り屋でひたむきな奈津子さんにLETSの6週間のJ-Shine(小学校英語指導者)資格取得プログラムについて伺った。

 


Natsuko Tajiri
田尻 奈津子
1982年奈良県生まれ。
2003年大阪の辻製菓技術研究所を卒業。奈津子さんがNZ渡航計画をするうちにパートナーの彼も興味を持ち、奈津子さんは児童教師を目指して、彼はシェフとして二人そろってNZに渡航したのだそう。北島一周旅行した中でお気に入りの場所は海がとても綺麗だったというウェリントン。次はオーストラリアにいく計画を立てているそう。


お菓子屋さんから児童教師の道へ

 製菓専門学校を卒業し、ずっと夢だったお菓子屋で働いていた奈津子さん。なぜ急に児童教師を目指すようになったのかについて伺うと、当時のエピソードをとても嬉しそうに語ってくれた。
「大阪の製菓学校を卒業した後はすぐにお菓子屋で製造として働き始めました。とにかく今までお菓子屋さんで働くことが夢だったです。そこで1年間働いた後は神戸のカフェ兼ケーキ屋で2年間販売員として働きました。そうしているうちに、あれ、夢も果たしてしまったし、これからどうしようか、このままこうしていていいんだろうかって疑問に思うようになってきました。その頃から何か違うことを始めようと情報誌を見るようになりました。そこで目に止まったのが奈良県の小さな町にあるインターナショナルスクールでした。すぐにそのインターナショナルスクールに体験で行ってみました。そこの子供たちは先生たちに対してまだシャイで人見知りをする子供たちばかりだったのですが、そのうちの一人の子供がなんとただの見学で来ていた私に抱きついてきて、ばいばーいって言ってくれたのがとても印象的で一気に心を奪われました。その瞬間に、これだ!ってゆうものを感じたのでしょうね。これまでの道から方向転換して、児童教師を目指すようになったんです。
そのインターナショナルスクールはそこで児童英語教師を育てる学校でもあったので、やろうと思えばそこで児童英語教師になる勉強をすることもできました。でもインターナショナルスクールで教える先生に、児童教師になりたいことを話すと、本気でやりたいなら海外へ思い切ってでていけ!と言われて。そこで選択肢に上がったのがカナダ、オーストラリア、そしてニュージーランド。カナダは寒いし、オーストラリアは大きくてなんだか人が多い気がして、とっても単純なんですけど、だからニュージーランドを選んだんです。」     
早速ワーキングホリデービザを取得しニュージーランドへ渡航した奈津子さんはまずは自分自身の英語力を伸ばすため、カフェでアルバイトをしながら語学学校に4ヶ月間通った。その4ヶ月間で英語を勉強してみて、英語が思うように上達せず、児童教師なんて到底無理だと諦めかけていた矢先にJ-Shine(小学校英語指導者)資格取得プログラムのあるLETS(以下、レッツ)に出会った。


児童教師になるためのハード且つやりがいのあるTECSOLプログラム

J-Shineとは日本にある特定非営利活動法人の小学校英語指導者認定協議会の略称だ。現在は児童英語教師になるために資格は必要ないが、J-Shineの『小学校英語指導者資格』を持っていると、小学校で働くだけでなく、民間英会話教室に就職する際にも役立つという、日本で英語教師として教えるにはとても有利な資格だ。レッツのJ-Shine資格取得コースは4週間のTECSOLコースと2週間のJ-Shine専門コースから成る。
「TECSOL (Teaching English to Child Speakers of Other Languages)とは子供に英語を教える先生になるためのコースで、児童英語概論や児童心理学など児童英語教師として必須事項を習得するところから始まり、徐々に教室の中を動き回って「教えること」を自らの体験や先生の動きにそって学びます。例えばチャンツといって、オリジナルのリズムを作ってセンテンスの練習をしたり、歌や絵本を使って英語が全く初めての子供たちに、単語の意味と発音の練習をさせます。幼児は集中力が短く、3分間しか同じことはできないだとか、小学校高学年になるとシャイなのであまりみんなの前で何かさせるということをしすぎない、などは鉄則です。レッツのJ-Shineコースで一番大変なのはマイクロティーチングのレッスン。6週間の間に合計8回の実践授業があるんです。だからTECSOLコースの中でも実践授業がなんと5回もあるんですよ。クラスのメンバーは7名で先生役、生徒役を分担して実践授業の試験を行います。制限時間は25分間。その間にまず始めの挨拶から今日のターゲットワード、2種類のゲーム、そしてさようならの挨拶という流れを組んで全てをこなさなければなりません。毎日授業自体は9時から夕方4時10分までなのですが、だいたいみんな実技試験のために授業の後も最低夕方5時半までは学校に残って、時にはレストランやファーストフード店で夜遅くまで頑張ることもありました。試験の直前になるとクラスのメンバーでアルバートパークに集まって練習をしたりもしました。どうしてこんなに頑張らなければならないかというと、実技試験に落ちると受かるまで何度も受けなければならないからなんです。3週間に5回もあるので1つ終わればまた次のものがやって来る、というペースです。毎日やることは盛りだくさんです。本当に、本当に大変なレッツのTECSOLコースですけど、その分とってもやりがいがあって、どんどん自分が成長していっているのを感じられます。」

 

J-Shine専門コース、ここでも実践授業が続く

4週間のTECSOLプログラム修了後、実際に日本の小学校で英語を教えることに重点を置いたプログラムが2週間行われる。日本の小学校を想定すること、それはより大人数の子供たち、それも小学校1年生から6年生までの幅広い年代の子供たちを目の前にして教えることが要求されるということ。
「4週間のTECSOLが終わったあとはJ-Shine取得のための専門コースがあります。これまでのTECSOLコースでは1回の授業が終わるごとに実践授業をする、という繰り返しでした。でもこの専門コースでは週1回つまり月4回の小学校の一般的な授業スタイルを想定しているので実践練習もその4回の授業を総合して授業計画を立てなければならないんです。実は日本の小学校ではまだ英語という科目は存在しないんですよ、英語は「総合的な時間」の中に含まれています。だから英語だけではなくて、他の科目を取り入れたり、世界の文化を取り入れた授業をするなどして生徒の生きる力を育てるということをテーマに授業をつくるんです。それに、実際の小学校では、教壇に私のみが立つのではなく、担任の先生と私、またはそれプラスネイティブの先生で構成されるのでチームミーティングの練習もしました。この2週間のコースには2日間のオークランドの地元の公立小学校での研修が含まれています。1日目は見学に徹するんです。見学だけでも見えてくるものは様々です。年がほんの少し違うだけなのに授業の取り組みや生徒の感じ方や行動が全然違うし、先生によっても教え方が様々なことが目の前で感じられるんです。2日目は子供たちと触れ合う機会があります。レクチャーをする、とまではいかないものの、折り紙を一緒に折ったり、ゲームに一緒に参加したりします。そんなふうに子供たちに交じって授業に参加できたのはラッキーでした。実は以前までは小学校研修の2日間ともがただの見学だったそうなんです。それが小学校とレッツの信頼関係ができていくうちに、小学校側がゲームや音楽に(レッツの生徒が)参加したらどうかって提案してくれるようになったそうですよ。」
英語を教える、という枠にこだわらず、子供たちと一緒にゲームや歌をして遊んだり、日本語に興味を持つ子供には日本語を少し教えてあげたりするなど、子供たちと触れ合うことを第一とするのがJ-Shineコースの研修プログラムの最大の魅力だ。

 

実践授業にこだわっているからできること

4週間のTECSOLコース、そして2週間のJ-Shine専門コースからなる計6週間のJ-Shine取得コースを終えた奈津子さんにあらためて、レッツに入ってよかったことを伺った。
「最初はびっくりしましたよ、だって少人数とはいえクラスの前で踊ったり歌ったり。テキストを使うよりも教室の中を動き回って、子供にどう教えたらいいかを考えていく時間のほうが多いんです。クラスのメンバーもみんな一生懸命だから私が先生役をしているときに厳しく批判をしてくれます。例えば子供たちとゲームをしている場面で、「それだと先生も一緒になってやってるからだめだよ!」とか。そうしてゆくうちに当初の恥ずかしさなど忘れてしまいます。恥ずかしがっていたら実技試験にも受からないですしね。でもこの徹底した実践主義のおかげでJ-Shineコースが修了した後すぐにでも日本で小学校や英語スクールで先生になることができちゃうんです。それがレッツに入ってとても良かったこと。レッツには日本の各都道府県の教育委員会や民間の英語スクールからの求人が常にあるので、日本に帰国していざ英語の先生になろうと思って就職活動をしても今なら堂々と面接も受けられる気がします。あれだけ実践、実践で練習してきたので、もし面接の場で、「本当の授業のつもりでデモンストレーションしてください」なんて言われてもこわくないですね。あと、実際に子ども達と授業を一緒にしていて思いましたが、児童教師とはただ子どもが好きということだけでは務まらない仕事です。大人数をまとめる力、平等な判断力、力強さ、厳しさすべてがバランス良くできないといけないんだ、と実感できたのも将来児童教師になる上でとてもよい経験でした。こんなふうに自分の中で責任感が芽生えたせいか、学校にいないときでも普段から何でも授業に使えると思ったら捨てずにとっておくのが癖になってしまいました。」

 

J-Shine資格取得後、これからは

 とても忙しいけれど充実した生活を送る奈津子さん。そんな忙しい奈津子さんの楽しみはハーバーサイドでアイスクリームを食べながらぼーっとすることだそう。
「J-Shineの資格を取った後はここで習ったことを生かしてボランティアとしてニュージーランドの幼稚園や小学校で英語を教えたいと思っています。せっかくこんなに頑張っているんだからすぐにその成果を出してみたいんです。そして将来は自分の子供に最高に楽しく英語を教えてあげるんです。」


J-Shine学生 / LETS : 田尻奈津子さんと連絡を取りたい、勉強したい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいと言う方はイーキューブ留学セクションまで、お問い合わせ下さい。

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