Vol.63 時代を飾るキウイ 語学学校協会会長Angela Oliverさん


ニュージーランドへ渡航する多くの日本人にとって、「英語力の向上」は大きなテーマだろう。「さまざまな国の人たちと英語でコミュニケーションが取れるようになりたい」「高等教育機関に進学して専門分野を学びたい」「ニュージーランドで仕事を見つけたい」など、目的は異なっても、この国で生活するうえで土台となるのが英語力だ。
英語のスキルをアップさせるためには、語学学校へ通うことが一般的。
ニュージーランドには数多くの語学学校があり、また、そうした学校の協会「English New Zealand」も存在する。この協会は1980年に設立された語学学校協会「FIELS NZ」を前身としており、2007年2月現在、ニュージーランド国内にある語学学校のうち、26校が加盟している。協会のメンバーになるには、授業内容、教師陣、施設・設備など、あらゆる面で厳しい審査に通過する必要がある。同協会の加盟校では、高いレベルの教育が保障されているのだ。
この協会で、2005年より会長を務めているのが、オークランドの教育家アンジェラ・オリバー。英語教師として豊富な経験を持ち、日本で暮らしたこともあるアンジェラに、ニュージーランドへの留学事情についてお話を伺った。

語学学校協会会長Angela Oliverさん Angela Oliver
アンジェラ・オリバー

English New Zealand Chair Person
イングリッシュ・ニュージーランド協会 会長1949年11月オークランド生まれ。1男2女の母。幼稚園教諭を経て、大学で日本語を専攻。英語教師となり、1986年より日本の大阪と京都で3年間、教鞭を取る。1989年、ニュージーランドに帰国後、夫のクライブとともにユニーク・ニュージーランドを設立。2005年、ニュージーランドの伝統ある語学学校の協会English New Zealandの会長に就任。学校機関に関する政府のリファレンス・グループに参加したり、子育てのセミナーを主宰するなど、教育の分野で幅広く活躍している。

www.englishnewzealand.co.nz

互いに協力し合うニュージーランドの語学学校

約2年前からニュージーランドの語学学校協会「English New Zealand」の会長を務めています。この協会の前身は、同じく語学学校の協会であった「FIELS NZ」。1980年に数校の学校によって設立されたものでした。
結成時のメンバーは、語学学校のパイオニアといえるでしょうね。当時、語学学校というのは、この国では新しい産業だったんですよ。それまでにはない新規のビジネスでしたから、誰もノウハウを知らず、手探りで始めたようなものです。そこで、語学学校が互いに協力し合ったほうがいいということになりまして、クオリティを管理したり、情報を交換したり、マーケティングのリサーチをしたりといった目的で、「FIELS NZ」が生まれました。
「English New Zealand」と名称を改めたのは、協会の存在をよりわかりやすくするためです。この協会はニュージーランドの語学学校のブランドですから、一般の人にもどんな団体であるかが一目で判り、その価値を理解してもらえるよう、明確性を求めて改名することにしたのです。それと同時にロゴも変え、ブランディング・カラーも一新しました。ブランドの再構築を図ったというわけです。
語学学校同士は、競争相手ではありますが、協会を通してサポートもし合っています。例えば、学校で何か問題が起きた時は協会のメンバーに相談してアドバイスをもらいますし、講座が定員に達してもうこれ以上生徒を受け付けられない場合は、入学希望の方に加盟校を紹介します。また、語学学校が団結することで一定の水準も保てますし、業界の活性化にもつながりますから、たいへんいいことだと思います。
会長としての私の仕事は、協会のスポークスマンであること。そして、各加盟校の意見を聞き、それを調整することでしょうか。定期的にミーティングを開き、各校からの報告や提案などを集めて、それらをまとめる役割です。メンバーも26校にまで増えましたし、今年中にはあと3校ほど新しく加入する予定なので、私のような立場の人間がいないと、収拾がつかなくなってしまうのです。
歴史ある老舗校にはそのよさがあるし、新設校にも素晴らしい面があります。学校が互いのよい点を学び合い、切磋琢磨して、よりグレードの高い教育を提供できるように導くのが協会の重要な任務。最近は各校で意見がぶつかり合ったり、折り合いがつかなかったりすることも多々ありますが、それも協会と業界が成長していくうえで欠かせない要素だと思っています。

日本で受けた友情を留学生へ還元したい

私の教育家としてのキャリアは、幼稚園の教諭から始まりました。その後、結婚して3人の子供をもうけてから、大学に入学して日本語を専攻。在学中よりオークランドの語学学校で英語教師およびホームステイのオーガナイザーとして働いていました。
その時の教え子の父親が、大阪で予備校を経営していましてね。その関係で、大阪と京都の予備校で英語講師として勤務することになったのです。私は日本語を勉強していましたし、日本の文化にも興味がありましたから、仕事が決まった時は大感激でしたよ。もっとも、夫のクライブ(9ページの写真の男性:HPでは上記写真)は、私に説得されて、仕方なく日本へついてきた、という感じでしたけれど(笑)。彼はコンピュータのシステムエンジニアで、それまで日本語には全く触れたことがありませんでしたからね。
1986年に夫と3人の子供たちと一緒に日本へ渡り、3年間を過ごしました。夫もその期間は、英語教師となり、日本の商社や大手企業の研修を担当。14歳の長男、8歳の長女、6歳の次女は、それぞれ地元の学校へ通いました。
この3年間は、私たち家族にとって最高の経験となりましたね。習慣の違いに戸惑ったり、子供たちの学校のことで悩んだりもしましたが、日本の方々には非常に親切にしていただき、困った時にはいろいろと助けてもらいました。子供たちも日本の学校で多くのよき友人を得て、私はその様子にも感銘を受けました。人間同士の関係は、国籍や人種や言葉を超えられると強く実感したのです。
ニュージーランドへ戻ってきた後、夫と話し合って、語学学校と留学生のためのサポート機関「ユニーク・ニュージーランド」を立ち上げました。日本で受けた優しさを、今度はニュージーランドへやってくる留学生の人々へ返したい──そんな恩返しの気持ちからでした。
「留学生の皆さんを、家族のように迎えたい」というポリシーのもとに語学学校を開校して、もう18年になるんですね。その間、すでに1万人を越える留学生の方々をお世話してきました。そういえば、学校を開いて私が最初に教えた生徒の子供が、今度、英語を勉強するために日本からニュージーランドへ来るんですよ。親子2世代に渡って語学学習のアシストができるなんて、とても幸せです。日本の方々からいただいた温かい友情を、留学生の方々に少しでも還元することができたとしたら、本当に嬉しいですね。

ニュージーランドは、夢を実現できる国

私が語学学校のビジネスに関わり始めた90年代と比較すると、ニュージーランドへの留学事情も大きく変化しましたね。近年は政府が定めるレギュレーションが改正されたことから学校の運営に多額の経費がかかるようになりましたし、ドル高の影響で留学生の数が激減して、業界自体も過渡期にあるといえます。
オーストラリアやアメリカ、英国といったほかの英語圏の留学先と比べ、ニュージーランドの強みは、何といってもビザの取得が容易なことでしょう。そして治安がよく、自然が豊かなことも魅力。以前はそれに加えて「費用が安い」ということが挙げられましたが、現在は当てはまりませんね。留学生の数を増やすためには、やはりもっとドルを下げる必要があるのは間違いありません。
また、興味深いことに、留学先としてニュージーランドを選んだ理由に「神秘性」と答える生徒が大勢いるんですよ。ニュージーランドは南半球の果てにあり、どの国々からも距離的に遠いことから、神秘やロマンを感じ、ほかの場所では味わえない新しい体験を求めてやってくる人たちが多いのでしょうね。
ただしその反面、この国に関する正しい情報が充分に伝わっていないという危惧もあります。クリーン&グリーンはニュージーランドのアピールポイントですが、そこばかりを強調すると「自然が美しいばかりで未開発の国」というイメージを持たれかねません。この国にはテクノロジーもあるし、カフェやナイトクラブやショップも揃っていますし、芸術活動も盛んです。そうしたクリエイティブな側面や多様性のある文化の面白さなどもドンドン国際的に広めていくべきでしょう。
こうした国の宣伝活動は、政府レベルの業務ですが、協会としてもできる限りお手伝いしていきたいですね。そしてその期待に応えられるよう、これからも留学生にとってよりよい環境を整備し続けなければと思います。
個人的には、近い将来、別のビジネスにも挑戦してみたいんですよ。具体的には未定ですが、障害者や高齢者の役に立つようなものを考えています。そう、私は今年で58歳になりますが、まだまだ自分の夢がたくさんあって、それを叶えていこうと頑張っているんです。何かをやりたいと願う気持ちに年齢は関係なく、早すぎることも遅すぎることもないんですよ。留学生の皆さんも、年齢や経歴で自分の枠を作らず、志を高く持ってほしい。この国には、その想いを実現できる土壌があるのですから。

English New Zealand 加盟校(07年2月現在)
●Mount Maunganui Language Centre
●Nelson English Centre
●ABC College of English
●New Horizon College of English
●Unique New Zealand
●Dominion
●Worldwide School of English
●Taupo Language & Outdoor Education Centre
●CPIT School of English
●Seafield School of English
●Auckland English Academy
●Aspiring Language Institute
●Achievement Institute
●CCEL (Christchurch)
●Rotorua English Language Academy
●Coromandel Outdoor Language Centre
●AIS St Helens
●LSNZ (Christchurch)
●GEOS
●Garden City English School
●University of Otago Language Centre
●Crown English
●Languages International Auckland and Christchurch
●Aspect
●Dynaspeak English
●Language Studies Intl

カテゴリ:先生/学校経営
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