Vol.129 Career Up -ニュージーランドと日本で女優として活躍


実際に会ってみると小柄な人だ。けれど、アーティストらしい独特の存在感があふれているので、強烈な印象を受ける。世界中で活躍している彼女は、オークランドに在住。ニュージーランドと日本を行ったり来たりしながら、演劇活動をしている。春先のある日、日本から帰ってきたばかりの友梨さんを、海辺の素敵なお宅へ訪ねた.。

ニュージーランドで女優【Profile】
絹川友梨 Yuri Kinugawa
4月20日生まれ。東京出身。玉川大学教育学部教育学科卒業。オークランド大学院修士課程卒業。90年代より役者として主に小劇場シーンで活躍。インプロ(即興演劇)のワークショップや公演を行うためインプロ・ワークスを1994年に設立(2009年法人化)。著作、翻訳も多数出版。オークランドに映画プロデューサーの夫Owen Hughesさんと暮らす。玉川大学非常勤講師。http://www.impro-works.com

猫好き。3匹飼っている。彼女の劇団名もNEKO Theatre Company。

ニュージーランドで女優
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2階天井まで届く書庫は、家のフィーチャーのひとつ。和のものを取り入れたインテリア。
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家はNZの有名な建築家Andrew Lister氏が設計。NZ Institute of Architecture のベストデザイン賞を受賞した。
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日本の方位学の有名な先生に診てもらって、設計、デザインした家。いい気が回っているので快適な空間。
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演劇人の仕事に対する情熱はどこでも同じ
友梨さんが最初にニュージーランドと関わったのは、1996年だった。「Niki Caro(NZの有名な映画監督。代表作に『Whale Rider』がある)が.初めて製作した映画、 『Memory & Desire』に出演しました。 Owen(現在の友梨さんの夫)がプロデューサーで私が主演でした。」『Memory & Desire』は、1998年に公開され(日本では未公開)高い評価を受けた。99年のNZ Film & TV Awards では、ベストフィルムを含む数々の賞を受賞。友梨さんも、最優秀外国人パフォーマーや国際ストックフォルム映画祭で主演女優賞を受賞した。友梨さんは、演劇を勉強していた大学時代から、主に小劇場シーンで活動。90年代に起きた小劇場ブームの真っ只中に劇団「遊◎機械全自動シアター」などで活躍していた。そんなとき『Memory & Desire』のオーディションで、主役に選ばれた。NZの最初の印象を聞くと......。「日本もNZも、演劇人や映画人の仕事に対する情熱は同じですね。そういう意味で、全く違和感はありませんでした。ただひとつ感じたのは「NZは女性が元気!」ということ。女性がみんな率直に意見を言うし、クリエーティブで、しかも芯がある。ただだまって言われたことだけをやるというような人はいませんでした。ですから、とても仕事がしやすかったし、そういう女性たちと出会えたのが嬉しかったです。その頃(今でもそうですが)、日本ではまだまだ男尊女卑の風潮があって、女はビールつげ、みたいな感じがありました。特に演劇界は(苦笑)。私はそういう習慣に窮屈さを感じていたので、NZや海外でもっと仕事をしたいと思いました。もちろん、日本には日本の良さがあります。日本人は感受性の豊かな国民だと思います。日本人の良いところが海外で開花するといいなと思います。でも残念なのは、日本人は比較的自己肯定感が低く、「自分なんかだめだ」と思いがち。自信をもって表現すれば、すごく魅力的なのに、、。ですから、そういう自信や表現力を持ってもらいたいと思って、日本でも仕事をしています。」Owenさんと結婚し、眼下にマングローブの湿地とハーバー、遠方にはシティの風景が広がる美しいロケーションにカスタムメードの家を建て、この国に居を構えた。以来10年余り、日本をNZとを行き来して、双方の国でそれぞれ別の活躍をしている。言葉で苦労はしなかったのだろうか。「もちろん最初は言葉の壁がありました。ですから普通の人と同じように、普通に語学学校に行って英語を勉強しました。Unitecの英語学校が一番良かったです。教師が生徒を見下さないところや、英語レベルが高いところ。大学に行っても困らないぐらいの英語力を身につけることができました。6ヶ月ほど、しっかり勉強しました。ニュージーランドに来られている学生さんたちはすでにご存知だと思いますが、英語ができるようになると、世界が圧倒的に広がります。友達もできるし、多様な価値観を知ることができる。コミュニケーションは言葉だけじゃない、身振り手振りでも伝わるとよく言われますが、それで伝わるのは、表面上のやり取り。もっと深いことを知って、相手と分かち合おうとしたら、そこには言語が必要になってくると思います

多方面でいろいろなプロジェクトに参加。
日本では、役者や即興演劇パフォーマーとして舞台に出るだけではなく、インプロ・ワークスという株式会社で代表取締役をしており、インプロ(即興演劇)を使った自己表現術を教えている。クライアントは、企業、学校、大人、子供、などありとあらゆる人。そのユニークなエクササイズはいろいろな方向から注目を浴びている。最近では石川県教育委員会からの依頼で、県内の高校に出向き、就職試験の面接対策法を教えた。友梨さんは日本でインプロの第一人者といわれている。また彼女は、著作や翻訳の活動もしている。最新本は9月15日にフィルムアート社から出版予定の「俳優のためのハンドブック}という翻訳もの。NZでは、演出と教えの仕事が主。来年3月と8月にかなり規模の大きな演劇を演出することが決まっているので、今、その準備で忙しい。「3月にはAuckland  Festivalの一環で、ある作品を演出します。普通の演劇と違って、お客さんが歩きながら体験できる面白い演劇です。8月には、日本の現代戯曲をQシアターのロフトで上演する予定です。現在、それらの演出プランを練ったり、日本からアーティストを招聘する手はずを整えたりしています。」また10月20日/11月3-4日には、TAPACでインプロのワークショップを行います。以前おこなって非常に好評でしたので、第二弾です。初心者クラスから中級まで3つのクラスをおこないます。興味のある方はお気軽にどうぞ。「NZは自然が身近にあって住みやすいです。また国が若いので可能性を感じます。自由に斬新なことを取り入れて、どんどんチャレンジできるのが魅力です。映画も演劇もそういう気持ちをもった若いアーティストがたくさんいます。もちろん国が小さく、劇団数も少ないし、東京に比べて、演劇を観に来るお客さんが圧倒的に少ないので、集客に苦労しますが。しかし、演劇は時代を映す鏡です。オークランド在住の日本のみなさんにも、ぜひ劇場に来て、「今のオークランド」を感じていただきたいです。

知識が増えるのは楽しい。
2、3年前に、オークランド大学院の修士課程で演出を本格的に学び、MFA(Master of Fine Arts )を得た。「最初は演出の授業を聴講するだけのつもりで、大学院に行き始めましたが、教授に進められて修士課程のすべてのコースを修了、なんと主席で卒業しました。仕事をしながらですから時間はかかりましたが。でももともと勉強が好きなんです。知識が増えるのは楽しいです。自分がやっている仕事、特に教えの仕事にはしっかりとした学問的なバックグラウウンドが必要ですので、いま大学院で勉強したことが非常に役立っています。実は、来年、東京の大学の博士課程を受験します。即興演劇についてのアカデミックな研究がしたいので。仕事のペースを落とさずに、もっと勉強できればと思っています」

カテゴリ:女優
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