Vol.153 NZの福祉制度


昨年に続いて立教大学コミュニティ福祉学部の学生がオークランドの語学・専門学校のオークランド・ゴールドスター・インスティトュート(Auckland Goldstar Institute, AGI)の介護コースに参加して、福祉施設や障害者施設でインターンシップを体験した。このインターンシップを引率したのはニュージーランド人の助教、ザイン・リッチーさんだ。立教大学で教鞭をとるかたわら、2011年の東北大震災で被災した外国人の福祉について調査するなど、日本とニュージーランド両国の社会福祉政策や問題を研究している。学生たちが驚くことが多く、興味を持って体験したというニュージーランドの福祉施設でのインターンシップについて語っていただいた。

【Profile】

ザイン・リッチー
立教大学 コミュニティ福祉学部 助教
1973年ウエリントン生まれ、育ち。ヴィクトリア大学で言語学を修める。立命館大学で修士号を取り、そのまま同大学の国際課職員、また国際関係学部嘱託講師として勤務。その後愛知大学で言語講師として務める。立教大学コミュニティ福祉学部で助教として3年目。近代日本史が専門。


コミュニティ福祉学部とは?

AGI
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立教大学コミュニティ福祉学部は多くの人々が関係する社会組織であるコミュニティにおいて、ひとりひとりが豊かで幸せな暮らしを実現出来るよう、人間福祉に関連する学問を総合し、新たな福祉学の構築をめざして開設され、生活者の視点から社会を作れる人材を社会に送り出す目的で設立されました。国際社会では紛争、貧富の差の拡大、温暖化、また国内では少子・高齢化の進行、青少年犯罪や家族問題の深刻化、外国人の流入により、地域社会の変容が進み、社会福祉や社会保障制度、地方自治制度も大きな改革が必要になっています。これらの変化によって社会の複雑化が加速し、問題解決のための専門的な知見が求められる時に必要な人材が必要になって来ています。コミュニティ福祉学部には3つの学科があります。コミュニティ政策学科は企業や自治体、NPO等において、リサーチ力・企画力・実行力をもってコミュニティの形成に貢献する人材を養成する学科です。福祉学科は総合学としての社会福祉学を学ぶことにより、ソーシャルワーカーの養成とともに、福祉の専門家に限ることなく社会のあらゆる分野で活躍できる人材を育成します。スポーツウエルネス学科は「身体」と「運動」をキーワードとして、あらゆる人々が健康で豊かな生活を送れるように働きかけていく学問を学びます。

大学の正式な単位に

昨年も行ったこのインターンシッププログラムですが、去年と違うのは今年は正式に単位に認定された事です。参加者は全員、三週間の滞在期間中ホームステイをします。第一週は英語でニュージーランドの歴史や福祉関連の講義をAGIの校舎で行います。第二、第三週は病院や老人ホームや子供の障害者施設に出向いてインターンシップを行います。今回参加した5人は全員3年生で、4月からの前期で福祉施設やフードバンク・アニマルレスキューなどの社会貢献組織でインターンシップを行い、夏休みにこのインターンシッププログラムに参加し、9月からの後期にこのインターンシップでの体験を元に授業を行います。学生たちが驚いていたニュージーランドの福祉や社会保障の現場での事を紹介しましょう。オークランド病院に行った時の事です。病院のメインエントランスで私たちを迎えてくれた、Tinaというナース・エデュケーター(看護教育担当)が着ていたユニフォームを見て学生たちが「今着ている服はユニフォームですか?」と質問しました。するとTinaは質問の意味が分からなかったらしく、当然と言った様な顔をして「そうよ」と答えました。すると学生たちは驚きながら、笑っていました。なぜかと言いますと、Tinaが着ていたユニフォームは普段女性が着るブラウスのようにカラフルだったからなのです。白地にビンクや赤、グリーンの小さな蝶のような模様が散りばめられていました。逆にTinaが「日本ではこんなユニフォームは着ないの?」と学生たちに質問しました。その答えはもう分かりますね。学生たちは日本の病院であたりまえに着られている看護師さんの白いユニフォームを説明していました。また、オークランド病院に併設されている子供病院Starship Hospitalに案内してもらった時にも学生たちは初めての体験の連続でした。病院の中の吹き抜けに森や公園を連想させるリラックススペースがあり、子供たちが遊べる遊具が設置されているのです。日本の病院では考えられない発想ですよね。そこから見上げる各フロアは水色、ピンク、緑、赤などで彩られ、さながら遊園地にいるかのような錯覚に陥ります。子供たちがストレスを感じないで、治療に専念出来る環境づくりを考えた結果なのでしょう。

あのマクドナルドが、、、

学生たちがさらに驚いた事がありました。それはStarship Hospital内あったRonald McDonald Houseです。ここはStarship Hospitalで治療を必要とする子供の両親や家族が出来るだけ子供の近くにいてやれるよう配慮された宿泊施設です。子供が手術を受けてから回復するまで、また移植を待っている間、無料で宿泊できます。病院内にあるホテルですね。このコンセプトはアメリカで1974年に始まり、ニュージーランドでは1994年にオープンして以来、ニュージーランド中の多くのファミリーが「家から離れた家」として利用して来ました。キッチンの設備のある部屋もあり、Ronald McDonald Houseスタッフやボランティアは滞在している家族のために家事をサポートしたり、精神的なアドバイスをしてくれます。病気や怪我でStarship Hospitalに入院している子供の家族同士がここに滞在する事でお互いに情報交換したり、励まし合ったりして、精神的に辛い期間を乗り切るのには画期的な施設だと思います。Ronald McDonaldって聞いた事ありますか? そうです。あの世界的ハンバーガーチェーンのマクドナルドのキャラクター、赤い髪に真っ白な顔、黄色い蝶ネクタイとジャケットを着た彼のことです。Ronald McDonald Houseはマクドナルドがスポンサーとなって運営されているのです。Ronald McDonald HouseはRonald McDonald House Charitiesというチャリティー活動を行う慈善団体の傘下にあります。運営母体は企業のようにディレクター数人で活動の方向性が合議制で決められます。また、スタッフは各企業からスポンサーを集めたり、ボランティア活動をしたりして運営資金を募ります。訪問時には古い携帯電話を回収してリサイクルする運動を展開していました。2013年には2200家族がRonald McDonald Houseを利用しました。これは延べ宿泊数にすると24,000泊になります。オークランド病院の後には障害を抱える子供たちの学校、老人ホーム、知的障害児施設へ行ってニュージーランドと日本の比較をして多くの経験を得ました。ファームに行ってバーベキューも行い、福祉の現場での経験とニュージーランドの自然を満喫して有意義な滞在になりました。

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