Vol.154 ネイルビジネス


 地方のポリテクや大学がより多くの海外からの学生を獲得しようとオークランドに分校を構えて久しいが、南島のダニーデンに本部のあるOtago Polytechnicもオークランドにインターナショナル・キャンパスをオープンしている。そこではビジネス、ホテル・マネージメント、一般英語のコースが用意されている。一年のフルタイムであるGraduate Diploma In Applied Managementコースに在籍する中村聡美さんはネイリスト。ネイリストとして働いているサロンではマーケティング、財務、ブランド構築なども一切任されている。ネイリストという技術者である一方、ビジネス実務もこなさなければならない。そのためにビジネスを学びたかったという。ビジネスコースは多くの学校で勉強できるが、聡美さんがどうしてOtago Polytechnicオークランドキャンパスを選び、何を学んだのかを話していただいた。

【Profile】

中村聡美
Graduate Diploma In Applied Management, Otago Polytechnic Auckland International Campus
東京生まれ、育ち。中国南京で高校を卒業。東京学芸大学教育学部卒業。社会学を専攻。大学在学時からネイルに興味を持ち、ネイリストとして仕事をしていた。中国語はネイティブ並み。


ネイルビジネスの実務を担当

otago
otago
otago
otago

2011年の東日本大震災の直後、大学を卒業したタイミングでもあったので日本を離れたいと思い、ニュージーランドに来ました。高校の時、語学研修でニュージーランドに来ていたこともあり、何かをしてみようと思ったのです。大学時代からネイルに興味を持ち、ネイルサロンでアルバイトをして、ネイリストとして充分仕事はできるようになっていました。オークランドに到着してからネイルサロンで仕事を探しました。仕事を探し始めてすぐに、店舗の一角にネイルコーナーのある美容院で仕事をさせてもらえるようになりました。ネイルコーナーは私ひとりしかいませんので、全てを私が担当しなければなりませんでした。この美容院でネイルの仕事をして3年ほど経った頃、もっとお客さんを増やすにはビジネスを勉強する必要があると感じました。私は中国語も出来ましたので、このオークランドにいる中国人の人たちも取り込めたら、もっとお客さんが増えるのではないかと思ったのです。そのためには、新規客の発掘、顧客の管理、マーケティング、ブランド構築など、ビジネス理論や実例を勉強する必要にかられたのです。それまでは自己流で何とかやって来たのですが、ステップアップするにはそれまでと同じではいけないと思いました。ビジネスを勉強しようと決めてから、学校を探しました。多くの学校がビジネスコースを展開していて、勉強する内容もそれほど違いがあるとは思えませんでした。ちょうどそんな頃、中国人の友達が推薦してくれたのがOtago Polytechnicでした。。

「国立」というブランド

多くのビジネスコースの中からOtago Polytechnicに決めたのは今働いているサロンから近いということもありましたが、一番の理由は「国立」という信頼感でした。「国立」ならば、間違いはないだろうと思えたのです。
実際にオークランドキャンパスで行われているコースは一般英語コース以外はビジネスコースのみで非常にレベルが高く、3年の学士号コースや18ヶ月の博士号コースなどがあるほどです。私が入学したのは一年のコースGraduate Diploma In Applied Managementでレベルも7です。入学資格ではIELTS6.0と大学卒業資格が必要でした。
授業内容を自分で選べるというのも魅力でした。私は企業家論、インターナショナル・マーケティングを選びました。さらに200時間のインターンシップが必須で課されます。ビジネスの現場で実際に仕事をしてレポートにまとめ、その業界のリサーチをします。それが単位になるのです。私はこれを自分のサロンで実施しました。顧客データをどう管理し、マーケティングにどのように活用するかを自分がやっている仕事の現場で実践したのです。こういうことができたのもOtago Polytechnicに決めた理由のひとつです。

寝る時間もないほど忙しい

入学してみると、思っていたよりも大変でした。それは宿題が多かったからです。いくつもの宿題が重なるとそれは大変です。読むものが多いのです。学校はフルタイムとは言え、週5日間毎日毎時間授業があるわけではなく、半日で終わる日も週に何日かありました。そういう日はサロンでネイルの仕事をしていましたが、宿題が重なる日は寝る時間もありません。学生ビザがあると週に20時間の仕事ができるのですが、とても20時間働いている場合ではないという状況でした。宿題以外に大変だったのはグループワークでした。4〜5人のグループで課題をこなすのですが、みんなの時間がバラバラで会う時間を見つけだすのが大変でした。私は仕事もしながらの参加でしたので、とにかく時間をやりくりしなければなりませんでした。また、12月には卒業予定で卒論を仕上げました。本や論文を15冊以上読まなければならないのです。それらを自分で探さなければなりません。探すだけでもかなりの時間がかかります。そんな状況でしたので卒論を書き上げるまでの3週間はほとんど寝ていません。卒論は「Factors that will cause high-end clients (where price is not a key issue) to come back to a nail salon regularly.」というタイトルで、人間は商品のクオリティーを単純な方法で決めてしまうというアメリカの学生が書いた論文を参考にしてまとめました。商品のクオリティーはそれを作った国を見れば分かるという単純な理論なのです。例えば、車や家電は日本で作った、日本人が使ったということで分かると言うのです。つまり、Made in JapanとUsed in Japanが大きくモノを言うということです。とにかくきつかったというのがこのコースの終盤での印象です。ですが英語がかなり上達したのを感じます。英語はあるレベルに達するとしばらく上達した感じがないのですが、読んで読んで読み尽くすともうひとつ上のレベルに到達した達成感を得るものだと実感しました。

日本のイメージを打ち出す

卒論で書いたように、日本ブランドをネイルサロンで打ち出して行こうと決めました。私のサロンはショッピングモールに入っているネイルサロンと比べると値段が高く設定されています。それは日本のサービスを提供しているからなんです。キウイやニュージーランドに長く住んでいる中国系の方は理解してくれ、顧客になってくれる人も増えて来ました。中国から来たばかりの方は値段でサロンを決めているようですが、私のサロンが口コミで広く知られるようになり、クオリティーにこだわる方でしたら、来ていただけるようになると確信しています。WeChatをご存知ですか? これは中国で始まった、今では大人気のLine(ライン)のようなメッセンジャーアプリで、近くにいる人に一斉にメッセージが送れます。例えば、私のサロンの近くにいるWeChatの利用者に特別サービスのプロモーション情報を送ることが出来ます。今から何分、何時間以内にというサービスも知らせることが出来ます。これは中国人の友達から教えてもらいました。日本的サービスを私の中国語と共に提供出来れば、オークランドの中国人マーケットを取り込むことが出来ると思っています。

各種法律や移民局の規定等は改定されている場合があります。詳しくはお問い合わせください。

お問い合わせはこちら