Vol. 175 Student

「勉強することが楽しい」- これまでの人生、ニュージーランドに来て初めてそう思いました


Whitireia学生 劉亜矢子さん

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2011年3月11日。東日本大震災は多くの人のその後の人生を変えることになりました。劉亜矢子さんもその一人。「息子が高校生になったら海外留学をさせよう」…漠然と十数年後の未来を描いていた亜矢子さんご家族は、大震災による原発事故をきっかけに、生まれたばかりの息子の健康と将来について真剣に考えました。思いはただひとつ、「なにかあってからでは遅い。後悔しないようにしよう」…。そして、海外移住の第一歩が始まります。

劉亜矢子 Whitireia学生

青森県出身。高校卒業後地元で就職。25歳で大阪の専門学校へ。卒業後東京で営業職につく。出産を機に退職。ニュージーランドで好きなものは、ベジマイトとフィジョアとロングブラック。オークランド図書館が好きで息子と一緒に1〜2週間に1度は通う。趣味は読書、ウクレレ、編み物。「学校でウクレレを習い始め、独学で続けている今はマオリの歌のレパートリーも増えました。」

移住先にしたニュージーランド

 直接のきっかけは東日本大震災後の原発事故です。それまで原発や放射能の知識など全くなかったのですが、夫に聞いたり、自分で調べていくうちに、様々な病気の原因になる可能性があること、そして今すぐに影響が出なくても五年後、十年後に症状が表れてくる可能性があることを知りました。もしも将来息子に何かあった場合、後悔してもしきれないと思い、事故後住んでいた東京を離れ、滋賀や大阪で暮らし、少し状況が落ち着いた後は、青森の実家にしばらくいました。そして息子の健康と将来を考えて、計画していた時期よりもだいぶ早くなりますが、海外移住をすることに夫婦で決めました。

 収入が全くなくなると生活が出来ないので、夫は東京に残り働くことにしました。当時2歳の息子と二人で生活をすることになるので、治安がよくて、生活費も高くかからない国について、自分なりに資料を請求したり、電話やインターネットで調べました。カナダとニュージーランドに絞ったあとは、当時ニュージーランドドルに対して円高だったこと、そして気候が穏やかであることでニュージーランドに決めました。ニュージーランドに来たのは2012年の6月末です。

長期滞在のために選択した道

 ニュージーランドに長期滞在するためには、ワークビザか学生ビザが必要と知りましたが、英語が全くできず、高卒で何の資格も技術もない私には学生ビザしか選択肢がありませんでした。将来はニュージーランドで家族揃って生活することが目標だったので、就職に結びつくコースで勉強をしようと思い、ホスピタリティーコースに入学する目的で、付属の語学学校に申し込み、学生ビザを取得してニュージーランドに来ました。ホスピタリティーを選んだのは、唯一私が日本で経験した職種だったのと接客が好きだったからです。しかし語学学校のコース修了後、ホスピタリティーの専門コースへ入学する前に、接客業だと週末や夜遅くのシフトが多く、子育てとの両立が難しいということがわかり、幼児教育コースに進路を変更しました。

Whitireiaとの出会い

 幼児教育コースに進むことを決めた後、幼児教育を勉強できる学校を探しましたが、ほとんどの学校は IELTSすべてのエリアで7.0 以上取得することが入学条件に挙げられていました。当時私のOverall 5.0 。7.0 を取れるまで語学学校に通いIELTS を勉強しようかとも思いましたが、実際学校の方のお話しを聞くと7.0 まで上げるにはかなりの長期戦になると言われ迷いました。そんな中、Whitireia は5.5 以上で入学できることを知りました。3年目に進む前に7.0 取得が条件ですが、2年間コースで勉強している間に英語の実力も上がるだろうと考え、Whitireiaにしようと思いました。またQueen Street 沿いにあるので、朝夕息子をデイケアに送迎しながら通えるなという通学の便利さも決め手になりました。

英語力を上げるための勉強法

 大学受験をしていないので英語を一生懸命やったことはなく、高校時代の英語の成績は下から数えたほうが早かったです。こちらに来る前、中学生向きの文法の参考書を一冊買って勉強をしました。インターネットラジオで英語のプログラムを聞き始めたのもこの頃でしたが、当時は全く聞き取れず、ただ聞き流していただけです。今もインターネットラジオでのリスニングは続けています。滑舌が悪くスラスラ話すことができないので、インターネットラジオを聞きながらそれに続けて同じ文章を繰り返して話すという練習です。これはシャドーイングと言って、同時通訳の訓練法だそうですが、きちんと聞き取れないと同じように口に出せないので、リスニングの強化にもなります。同じ発音、同じスピードになるように真似をするため、英語をうまく話す練習にもなって一石二鳥の良い方法だと思います。

実践的な授業内容

 Whitireiaの幼児教育コースには色々な科目がありますが、すべて実践で役立つだろうと感じています。英語やマオリ、サモア語の歌やウクレレの弾き方を習いました。ある科目では幼児虐待の実態や種類、もし発見した時にはどのように対応したらいいのか、たくさんの国籍の子供たちのいるクラスでマイノリティの子がクラスで楽しく快適に過ごすためにどうしたらいいのかという課題でエッセイを書いてプレゼンテーションをしました。私がこれまで日本で勉強してきた方法とは違い、答えは先生が与えてくれるのではなく、 自分たちでたくさんの本や専門誌の記事を読んだり調べたりして導き出していきます。当然勉強の仕方もそれぞれ人によって違ってくるため、正解はひとつではありません。またHuman Development では幼児の発達段階や、性別の違い、文化によっての違いなどの理論を勉強します。実際の子育てにも役立つことがあって、どの授業も興味深いです。ニュージーランドらしいと思ったのは、Diversity Study という科目で、Early Childcare Centres を人種や年齢、性差別のない環境にするためにはどうしたらいいかという内容のエッセイを書くことが課題になったことです。日本にいるときはあまり深く考えたことのない分野だったので、考えさせられました。勉強をしていて楽しいと思ったのは、これまでの人生、この時が初めてです。Whitireiaの学生になってよかったなと思いました。

留学生へのサポートが充実しているWhitireia

 Whitireia のメインキャンパスはWellington にあって、そちらにはローカルの学生さんが沢山通っているそうですが、AucklandキャンパスはInternational students only なので、international students に対してのケアがきちんとしていると思います。生徒だけでなく先生やスタッフの国籍も豊かでとても居心地がいいです。日本人の学生の割合が少ないため、学校にいる間は日本語を使う機会はなく、英語を強制的に話さなくてはいけないので英語を勉強するのには良い環境ですね。 図書館やコンピュータールームなどセルフスタディーをする環境も整っています。課題を提出する前に、文法やスペルチェックなど勉強をサポートするスタッフもいます。

 先生たちはフレンドリーで、学校にいる時はもちろん、いないときでもメールやテキストでいつでも快く質問に答えてくれます。Kindergarten やEarly Childcare Centreで働いた経験のある先生も多く、初めての実習で起きた問題について相談した時も、親身に聞いて、的確なアドバイスを頂きました。

ニュージーランドの幼児教育

 私の幼稚園時代を振り返っても、日本ではみんなで同じことをすることが多かったように思います。でもニュージーランドでは、屋内外に色々なアクティビティがセットされていて、子ども達はそれぞれ好きなことをしています。日本では遊びの時間とそれ以外の時間を分けていましたが、ニュージーランドでは子ども達はずっと遊んでいます。日本人も含めてアジアからの移民の親御さんの中には、「子ども達は遊んでばかりで何も勉強していない」と言う方もいますが、先生は子どもが何に興味があるのか、どうしたらもっと彼らの発達をサポートできるかをよく観察して、次のアクティビティを計画しています。ニュージーランドの幼児教育は、"子どもは遊びを通して学習する"という考え方なんですね。

 さらに日本では2歳児クラス、3歳児クラスと年齢ごとに分かれていることが多いですが、ニュージーランドは、0〜2歳以下、2〜4歳のように混ざっているので、大きい子が小さな子の面倒を見たり、自然と大きな子が小さな子に順番を譲ったりする場面が見られます。もちろん大きな子は力が強いので、小さな子からおもちゃを取ることもありますが、そういう時は先生が間に入って仲裁をするというよりも、子ども達で解決できるよう、例えば小さい子には、きちんと嫌だと伝えるように、おもちゃを取られないようにしっかり握るように教えます。先生は子どもと話す時は膝をついたり、座ったりして子どもと同じ目線で話しをします。何事にも同じレベルで接し、嫌なことを無理矢理させるようなことはしません。例えば、センターで食事が出されますが、センターの食事が嫌な子どもは家からランチを持参しています。

 定期的に家族を招待するイベントや食事会があり、先生と家族、家族同士で交流をしています。色々な国籍の子ども達がいるので、ニュージーランドのお祝いだけではなく、中国のお正月やインドのお祭りなど他の国のお祝いもしているんですよ。

ここで生活して感じること

 ニュージーランドの好きなところは道やバスの中で、知らない人が挨拶をしてきたり話しかけてくれたりすることです。子どもがまだ小さい時、道端で大泣きをして駄々をこねていたことがあったのですが、見知らぬ人が話しかけ、あめやお菓子で助けてくれました。バスに乗りたい人が小銭を持っておらず、運転手さんもお釣りがなくて困っていた時に、乗客の一人が代わりに払っているのを見たことも何度かあります。大変なことは家賃が高いこと。そしてごくたまに差別的なことを言われることがありました。とても悲しい気分になりますが、気にしないように、すぐ忘れるようにしています。なぜってニュージーランドに住む大半の人はとても親切ですから。

近い将来、遠い将来

 近々の目標はIELTS 7.0を取得して3年目のコースを修了後、幼稚園教諭の資格を取ってフルタイムで働くことです。今アルバイトをしているセンターに、私の母と同じ66歳の女性がいるのですが、私もその年齢まで元気で働いていたいなと思います。子どものお世話をするのは大変で責任も伴いますが、それ以上に喜びや楽しいことが多いですね。何よりも子ども達が可愛いので、この仕事を続けていけたら幸せです。生活に余裕ができたら田舎に土地を買って、家族で手作りの小さな家を建てて、そこで猫を飼いたいな...夢です。

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