Vol. 183 Pick Up

Japanese Studies Aotearoa New Zealand (JSANZ)

ニュージーランドの日本語教育のいま


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 国と国とがつながる上で重要な「言葉」。ニュージーランドでもかねてから日本語教育が行われていますが、学習者数は減少を続けています。ニュージーランドにおける日本語教育の現状と課題について、Japanese Studies Aotearoa New Zealand (JSANZ)副会長の荻野雅由さん(カンタベリー大学)にお話を伺いました。

Japanese Studies Aotearoa New Zealand (JSANZ)副会長の荻野雅由さん(カンタベリー大学)

JSANZとはどのような団体なのでしょうか

 日本語名を「ニュージーランド日本研究学会」といい、ニュージーランドの高等教育機関における日本語教育と日本研究の推進活動のためのネットワークとして2013年に発足しました。ニュージーランドの高等教育機関における日本語教育の歴史は50年ありますが、以前は大学間のつながりや日本語教育関係者間のつながりがあまりありませんでした。
 JSANZではニュージーランドの大学生を対象とした日本語スピーチコンテストを2014年から開催したり、日本語教育研究についての学会発表やシンポジウムなどを行っています。また、昨年はニュージーランドの大学における日本語教育の実践と研究についてまとめた「Creating New Synergies: Approaches of Tertiary Japanese Programmes in New Zealand」を出版しました。

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Masayoshi Ogino、Penelope Shino、Dallas Nesbitt編集。

2016年8月15日発行。304ページ。

購入・問い合わせはMassey University Pressへ。

なぜ日本語学習者数は減っているのですか

 要因はさまざまですが、日本の経済状況が芳しくないことも一つに挙げられます。日本語を勉強しても将来の仕事につながりにくいため、日本語が好きであっても他の教科を選択する傾向があります。一方で政府や企業が中国との関係を重要視している中、中国語学習へのシフトもあります。
 また、英語圏の国では「英語が使えればそれでいい」という考えがあり、外国語学習よりも「STEM」と呼ばれる、Science、Technology、Engineering、Mathmaticsといった科目が重視されます。そもそもニュージーランドには国家としての言語政策がない上、学校で外国語は必修科目ではありません。教育制度上「学校はYear7からYear10の間に外国語の学習機会を提供する努力をしなければならない」と定められていますが、外国語を教えるかどうかやどの外国語を教えるかも基本的には学校の判断に委ねられています。

日本語学習者数が減るとどんな影響がありますか

 言葉と文化、社会はつながっています。日本語を理解し、日本を理解する人が減ってしまうというのはニュージーランドと日本にとってマイナスです。日本にとってニュージーランドは小さな貿易相手国の一つですが、ニュージーランド側から見た日本は輸出入ともに第4位の相手です。その国のことを理解できる人が減るというのは大きな損失でしょう。
 日本語教師としては、日本語を学ぶことで日本語学習者の視野や可能性が広がることを願っています。日本の文化や社会を知ることによって自国の文化や社会についても振り返り、理解を深めるきっかけにしてほしいとも思っています。

JSANZとしての今後の目標を教えてください

 JSANZは大学の日本語教育・日本研究者をつなぐネットワークですが、ニュージーランドの日本語教育や日本研究に関心のある人であれば誰でも入会可能です。外国語教育の推進には「3つのV」があると言われていて、1つはVision、2つ目はValue、そして3つ目のVisuallyは「可視化」です。ニュージーランドで日本語教育が行われているということをいろいろな形で知ってもらい、いろいろな人を巻き込んで日本語教育を推進していきたい。これは、日本語学習者が日本語の教室を超えて、日本語を使う人たちや社会とつながることが、これからの日本語教育では重要だと考えているからです。
 昨年出版した本の制作にあたっては企業からも助成金や寄付をいただきました。支援することで日本語教育に一層の関心を持ってもらい、日本語教育に関わっていただきたい。そのための働きかけを今後も行っていきたいと思います。

 

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日本語教育関係者3氏が「総領事表彰」

 ニュージーランドにおける日本語教育の普及に貢献したとして、3月3日、総領事公邸において横山佳孝総領事からJSANZ副会長でオークランド大学日本語上級講師のダラス・ネスビットさん、リストンカレッジ日本語教師の竹田和江さん、元NZ全国日本語教師会会長でボタニーダウン・セカンダリーカレッジ日本語教師のミシェル・ロッジさんに表彰状が手渡されました。

▼英語の習得で私たちが努力しているように、日本語学習をしている英語話者たちも頑張っています!涙あり、笑いあり、感動ありの素晴らしいエピソードはこちら...!

日本語と私:後編 - 日本語スピーチコンテスト -

http://www.ecube.co.nz/content/1691

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