Vol. 186 特集

ISOMURA BROTHERS presents TSUNAMI VIOLIN CONCERT


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 2011年3月11日。日本の東北地方を中心に大きな被害をもたらした東日本大震災。数十メートルの高さにまで及んだ大津波は、街を、人々の暮らしを、一瞬にして飲み込みました。追悼の思いと復興の願いを込め、津波によって海に投げ出された流木からつくられたのが「TSUNAMI VIOLIN」。このバイオリンが今年、ニュージーランドに初めて持ち込まれ、日本人兄弟デュオ・ISOMURA BROTHERSによって、オークランド、ウェリントン、そして東日本大震災と同年に大地震のあったクライストチャーチでも披露されます。
 チャリティーコンサートツアーを控えたISOMURA BROTHERSの磯村健斗さん、翔之さんにお話を伺いました。

磯村健斗(いそむら けんと)さん

 1991年、北海道生まれ。生後1歳でオークランドへ移住し、6歳でピアノを始める。オークランド大学のピアノ修士課程を首席で卒業。世界的な著名音楽家との演奏経験を持ち、ソリストとしてもオークランド・フィルハーモニア・オーケストラ、クライストチャーチ交響楽団、オークランド大学交響楽団、ロングベイ室内オーケストラなどと共演。オークランド大学の専属ピアノ伴奏者も務めている。

磯村翔之(いそむらしょうの)さん

 1993年、オークランド生まれ。6歳でバイオリンを始める。17歳の時にオークランド・フィルハーモニア・オーケストラ主催の「KBB全国音楽コンクール」で優勝、同オーケストラとの共演を果たし、注目を集める。その他数々のコンクールで優勝経験を持つ。ニュージーランドをはじめ、ドイツ、マルタ、オーストリアなど海外でも多数演奏し、国際音楽祭に演奏家として招待されている。「Mazzoli String Trio」としても活動中。

健斗:前々から震災のチャリティーコンサートをしたいと話していたんですが、なかなかタイミングが合わなくて。今年、2人で日本の作曲家の曲をいろいろ演奏していくというプロジェクトを考えていた時に、インターネットでTSUNAMI VIOLINのことを知ったんです。日本で生まれたバイオリンで日本の作曲家の曲を演奏できたら、もっと意味のあるものにできるんじゃないかと思い、問い合わせてみたら快諾してもらえました。

翔之:「被災地の支援のために千人の演奏者がバイオリンを弾き継いでいく」というプロジェクトで、これまで世界中の人たちがTSUNAMI VIOLINを演奏してきています。千人の中の1人というところに重みを感じます。ニュージーランドでも東日本大震災と同じ年にクライストチャーチで大きな地震があったので、ニュージーランドで生まれ育った日本人兄弟の僕らが演奏できるっていうのが「スペシャル」なんじゃないかって思います。

健斗:クライストチャーチには僕らの父が住んでいて、地震で家が壊れたりしました。電話で様子を聞いていて、クライストチャーチの混乱が収まらないうちに今度は日本で大きな地震があって。自分はそこにいないけど、自分たちにとって身近な2つの場所が短期間に大きな被害を受けた。それはものすごく衝撃的で、今でもよく覚えています。

翔之:僕らは毎年年末にクライストチャーチに行っているんですが、地震が起きる数カ月前にも行っていたんです。地震の後クライストチャーチを訪れたら、街の姿がすっかり変わってしまっていて。思い出のある場所、知っている場所が全部なくなってしまっていました。今回、ツアーの開催地の最後にクライストチャーチを選びましたが、会場のカードボード・カセドラル(仮設大聖堂)は日本人建築家の坂茂さんの設計です。クライストチャーチでコンサートをするということには、やっぱり特別な思いがあります。

健斗:僕は1歳でニュージーランドに来て、弟はこちらで生まれました。よく「日本とニュージーランド、どちらが故郷なのか」と聞かれるんですが、どちらも好きで、大切な場所なんです。両方特別。

翔之:日本の文化が特に好きなんです。アニメとか、漫画とかサブカルチャーも全部。日本語もテレビから習いました。興味があったから覚えられたんだと思います。

健斗:普段、演奏会や海外のツアーではクラシックを演奏しているんですが、今回は日本の作曲家の曲を演奏します。ジブリアニメ「トトロ」の曲や大河ドラマ「真田丸」のテーマ曲など、クラシックに固執せず、幅広い分野の曲を聞いてもらいたいと思っています。中でもゲーム「ファイナルファンタジー」の曲は、ゲーム会社から許可を得てISOMURA BROTHERSとして編曲したものをお届けします。

 僕らはまだニュージーランドの演奏家の中では若くて、今回ツアーで使用する会場も、若い演奏家がめったに演奏できるような場所ではないんです。プロジェクトの意図を説明して、理解してもらい、いろんな人の力添えがあって実現できる。今年はこのツアーに集中して準備を重ねてきました。ニュージーランドの、たくさんの人に聞きにきてもらいたいですね。

 

186feature1_02.jpgTSUNAMI VIOLIN

 震災の津波で流された流木を用いて作られたバイオリン。魂柱には岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の木片が使われ、裏面にその松の木が描かれている。震災発生の1年後、2012年3月11日に行われた慰霊祭でイスラエル人バイオリニストのイヴリー・ギトリス氏によって初めて披露され、以来「千の音色でつなぐ絆プロジェクト」としてプロ・アマを問わず世界中の演奏家がリレーのように弾き継いでいる。今年3月に奏者は500人を超え、翔之さんで517人目となる予定(2017年7月25日現在)。 

TSUNAMI VIOLIN CONCERT TOUR

 震災からの復興を祈念してつくられたTSUNAMI VIOLINを翔之さんが、健斗さんがピアノを演奏。コンサートの収益は全額東日本大震災の被災地へ寄付される。料金は大人25ドル、学生15ドル、子ども10ドル。チケットはオークランドはTicketmaster(http://www.ticketmaster.co.nz)、
ウェリントン、クライストチャーチはEventfinder(https://www.eventfinda.co.nz)で購入可能。

▼オークランド
9月5日(火)午後7時30分〜
Auckland Town Hall Concert Chamber
(301-317 Queen Street, Auckland)

▼ウェリントン
9月10日(日)午後6時〜
St. Andrew's on the Terrace
(30 The Terrace, Wellington)

▼クライストチャーチ
9月12日(火)午後7時30分〜
The Transitional Cathedral
(Latimer Square, Christchurch)

 

カテゴリ:特集
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