Vol. 186 Career Interview

Stamford Plaza Auckland ハウスキーパー 松本幸二さん

CV持参で何十社も飛び込み就活、ようやくつかんだホテルの仕事。楽しいばかりじゃない海外生活、それでもここに来て良かったです


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松本幸二(まつもと こうじ)さん

 香川県出身。新潟大学大学院を卒業後、公務員を経てホテルなどを運営する「星野リゾート」に勤務。2016年10月にワーキングホリデービザでニュージーランドへ。語学学校で3カ月間英語を学び、ホテル業界に絞って仕事探しを始める。50社以上に応募した後、オークランドの5つ星ホテル「Stamford Plaza Auckland」に採用され、ハウスキーパーとして2017年7月まで働く。

経験重視のニュージーランドで就職活動

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 ニュージーランドに来たのは、2016年の10月です。「ワーキングホリデーに行きたいから」と、当時勤めていた星野リゾートの日光の旅館を6月に辞め、そこから準備を始めました。前から海外で生活をしてみたかったんです。英語も話せるようになりたかった。旅館で働いていた時、海外からのお客様が来ると、帰国子女の英語が話せるスタッフが対応して、楽しそうに話していたんです。でも自分が行くと話せない。そこに悔しさを感じていました。
 初めはオークランドの語学学校で英語の勉強をしました。ワーキングホリデーに来た目的は勉強だけじゃなかったので、3カ月と決めて。途中年末年始のホリデーを挟んだので1月の半ばに卒業して、そこから仕事探しを始めました。
 英語環境の職場で働ければ職種は何でもいいと初めは考えていたんですが、学校で就職活動のアドバイスを受けた時に、経験の有無でだいぶ違うと言われて。日本での経験を生かして採用してもらえそうなところというと、僕の場合はホテルだったので、ホテルに絞って就職活動をすることにしました。

186career_03.jpg「やりたいこと」までの長い道のり

 仕事探しを始めた頃にフラットを移って、ニュージーランド人の年配の女性と2人暮らしを始めました。アンさんといって、彼女も昔ホテルで働いていたことがあるので、CVを作る時もいろいろとアドバイスをくれました。作ったCVを持って、オークランドの有名どころのホテルを歩いて回って。30カ所くらいは行ったと思います。あとはインターネットでも応募したので、合計すると50カ所くらい。配り終えてから2週間以上経っても、どこからも連絡はありませんでした。
 その話をアンさんにしたら「とりあえず何でもいいから働き始めなさい。動き出せば巡り巡って、自ずと自分の行きたいところにたどり着けるから」って言われたんです。まずは動こうと思って、それまでは避けていた日本食レストランなどにも応募しました。そうしているうちにホテルからちらほらと返事が来るようになったんです。中国人のオーナーのカフェでキッチンハンドとサービスの仕事があり、面接もトライアルも合格して、いざ働き始めようと思った矢先、今働いているStamford Plaza Aucklandから「明日にでも面接したいから来てくれないか」と連絡がありました。
 「今さら?」とも思ったし、せっかく雇ってくれたカフェのオーナーに申し訳ないと思い、迷っていた僕にアンさんは「あなたの本当にやりたかったことは何なの?」と背中を押してくれました。ホテルの面接を受けると「すぐに採用したい」と言われ、面接帰りの足でカフェに謝りに行きました。オーナーはとても優しい人で、「ずっと探してようやく返事をもらえた、どうしてもやりたい仕事なんだ」と言うと、了承してくれました。

英語環境の職場への憧れと現実

 3月の半ばからStamford Plaza Aucklandでハウスキーパーとして働き始めました。ハウスキーピングのスタッフは30〜40人くらい。サウスパシフィック系の人やKiwi、ヨーロピアンなどさまざまな国の人がいます。仕事は午前8時に清掃を始め、午後3時のチェックインまでに仕上げるというのが基本です。日本でも宿泊施設で働いていたので、仕事の内容自体は慣れていて、トレーニングの時から褒められることもありました。
 ただ、仕事のノウハウを知っているが故に「もっとこうしたほうがいいな」とか、日本では後輩の指導をしていた時期もあったので、そういう視点から上司に対して「これはこうしてほしい」って思うことが出てきて。でも、それを英語でうまく伝えられない。同僚に愚痴を言おうにも英語で言わなきゃいけない。それが結構しんどくて、1人でもやもやしながら掃除をする時間が多かったです。

ストレスから一度は辞職を申告

 Stamford Plaza Aucklandの掃除のマニュアルはかなりしっかりしていると思います。部屋を掃除するハウスキーパー、その部屋をチェックするスーパーバイザー、その上にマネジャーがいます。掃除が足りなかったりすると、スーパーバイザーに指摘され、やり直したり、一緒に仕上げをしてもらうので、基本的にはマネジャーとのやりとりはありません。
 以前、スーパーバイザーが休暇を取った時、マネジャーが僕が掃除した部屋をやたらと見に来ることがあって。いつもならOKが出るものが、マネジャーには「あれができていない。これがだめ。私は手伝わない。あなたがやりなさい」とことごとく言われたんです。それまで溜め込んでいたストレスもあって、肉体的にもしんどくて、こんなに辛い思いをしながら働き続けなきゃいけない理由はなんだろうと思い、その日のうちに辞めたいと言いました。
 結局は引きとめられ、帰国する1カ月前まで、同じ職場で計4カ月働きました。ホテルの中の他のポジションも経験していれば、もっとインターナショナルな何かを知ることができたかもしれません。でも、もともと目標としていた英語環境に身を置けて、仕事を通じて友達もできました。

孤独も感じ、自分を見つめ直した時間

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 正直言って、海外で生活をしてみて楽しいことばかりじゃありませんでした。学校に行っていた時は、すごく孤独を感じた時期もありました。他の国から来ている学生はアグレッシブな人が多くて、それに引け目を感じてしまい、なかなか友達もできませんでした。来てすぐにハロウィンパーティーがあったんですが、友達もいないし、そんな相談もできないし、行きたくないと思って前の日の晩は全然眠れませんでした。思いつめて頭が痛くて眠れなくなる。そんな寂しい思いを30歳になって初めてしたんです。それも今となってはいい経験だったと思います。
 仕事でもただ肉体的に疲れるだけじゃなく、日本では感じたことがないようなストレスも感じました。言葉の壁と、文化の壁は思っていたよりも大きくて、自分のパーソナリティーを見つめ直すきっかけになりました。でも、それがあったからこそ、「やっぱり日本ていいな」と思うようになったんです。
 日本に帰ったら、とりあえず故郷の四国を一周して、その後のことはこれから考えようと思っています。全体を通して考えると、後悔はないし、ワーキングホリデーでニュージーランドに来て良かったです。いろいろとアドバイスをしてくれたアンさんにも感謝しています。それから、英語は諦めたくないので、これからも勉強を続けて、英語に触れる環境に身を置きたいと考えています。

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