Vol. 187 特集

LGBTを考える - 「お互い『女性だから』じゃなく、『1人の人間』として好きになったんです」

ニュージーランドで暮らす日本人女性カップルの話


メインイメージ

小林由美子さん(写真左)、田沼朋美さん
日本の職場で出会い、7年前に交際をスタート。2015年にワーキングホリデービザでニュージーランドへ。現在由美子さんはバリスタ、朋美さんはレストランのマネジャーとして働きながら永住権取得を目指している。

「お互い『女性だから』じゃなく、『1人の人間』として好きになったんです」

LGBTの先進国・ニュージーランドへ

朋美:由美子とは日本の同じ職場で出会って、7年前に付き合い始めました。3、4年経って本格的に生涯一緒に生きていくことを考え始めた時、日本だと婚姻関係にないと家を借りるのも大変だし、雇用保険でもお互いをサポートできない、法律だけじゃなくて保険とか、婚姻関係にないと社会的に得られない権利みたいなものがありすぎて生きていくのが大変だなって思ったんです。あとは子どもがほしかった。2人で子どもを育てられる環境があるのかどうかを、海外に行って実際にそうやっている人たちがたくさんいるのを見てから考えようってなったんです。
由美子:オーストラリアには以前ワーキングホリデーで行ったことがあったんですが、同性婚は認められていないので、英語圏だったらカナダかニュージーランドの2択で、ニュージーランドを選びました。
朋美:最初から「絶対に移住する」という考えではなくて、住みやすいのか住みにくいのか、自分たちにできるのかできないのか、まずは情報を集めて考えて、無理そうなら1年で帰ろうと思っていました。私たちも住めるんじゃないかって思うようになったのは、当時のフラットメートが「この国はやっぱり同性のカップルが多いよ」とか「直接の知り合いじゃないけど、男性カップルで子どもを育てている人を知っているよ」と教えてくれたのがきっかけでした。
由美子:「地域柄もあるから」と言われて、今はポンソンビーの近くで暮らしていて、職場も近くにあります。勤務先にも女性同士、男性同士のカップルのお客様がよく来ていて、毎日目にします。今住んでいるアパートメントもフラットメートの募集欄に「ゲイフレンドリー」って書いてあったり。
朋美:レズビアンですって言っても誰も驚かない。
由美子:職場でお客様にも自分たちの関係を話せるのは素敵だなって思います。受け入れられている感じがあって居心地がいい。日本では同じような境遇の人も知り合いにいなかったし、職場恋愛というのもあって、一緒に働いていたスタッフにもずっと言えなかった。もちろん日本にもLGBTの人はいるけど、隠している人が多いので。

「いろんな人がいる」応援してくれた両親

187feature05.jpg朋美:私が思うに、日本にいる人はゲイとかレズビアンに対して、「嫌」とか「気持ち悪い」とか「ありえない」って排除したいっていう考えよりも、「何それ?」って疑問に思っている人が多い。私の両親もそうだったんだと思います。
 私は由美子と付き合い始めた次の日に親に話したんです。母親は「何言ってんの、ばかじゃないの?」って感じで取り合ってはくれなかったけど、対して父親は「いきなり『子どもができた』って言われないし、べつに好きにすればいいんじゃないの(笑)」って。たぶんそんなに長く関係が続くと思っていなかった。今だけの気の迷いだろうって。
 でも、3、4年経っても付き合い続けていて、揚げ句の果てに一緒に海外に行くと言い出した。その時初めて母親から「ちゃんと考え直してほしい。やっぱり男性と結婚してほしい」って言われたんです。ずっと「もうどうなっても知らないからね」って言われていたけど、最終的には「一人ぼっちで生きていくより、あなたが本当に好きな人と一緒にいてくれた方がいいから」って言ってくれた。今は笑って話ができます。
由美子:私はこっちに来るって決めてから両親に話したんです。仲が悪いわけでは決してないけど、親に恋愛のことを話したこともないし、相手が女の子っていうこともあってなかなか言えずにいました。私は3人きょうだいの末っ子で、親は2人とも70代。考え方も昔寄りで、絶対許してくれないだろうなって思っていたんです。
 初めて話した時、父親はずっと黙っていて何か言われた記憶はありません。絶対に反対されると思っていた母親からは「そうだと思ってた」と言われて、びっくりしました。「いろんな人がいるから、いいと思うよ」って。それには本当に驚きました。ケアマネジャーの仕事をしていていろんな家庭や人を見てきていたから「いろんな人がいていい」っていう考えになったのかなと思います。それからは彼女と母親と3人でお酒を飲みに行ったりもしました。友達も応援してくれていて、両親にも、友達にも恵まれていると思います。

永住権と子どもを目標に2人で歩むと決意

由美子:今は永住権を取りたいって話しています。2人とも日本で生まれ育って、大切な家族や友達もいて、もちろん日本を捨てられるわけではありません。でも、どこで生きていくか選択できる権利がほしいとは思います。永住権の取得も今どんどん厳しくなっているし、ビザが切れる頃にどうなっているのか、それにもよりますが。
朋美:理想は、3年後には永住権を取って子どもを考えたいんです。今32歳で、35歳になるまでには子どもを持つための行動を起こしたいと思っています。こっちに来てから知り合った同性のカップルにいろいろ話を聞いていて、女性同士のカップルが子どもを授かるには、知り合いの男性から精子を提供してもらうことが多いって知って。この国ではそれは法律的にもNGではないので。いろいろ試してみて無理だった時には養子も視野に考えています。でも、できれば自分で産みたいんです。
 もし日本の環境が整っていたら、海外の状況を見てみてから日本で結婚しようっていう考えになっていたかもしれない。ニュージーランドに来る直前、2015年の11月から渋谷区でパートナーシップ証明の交付が始まって、交付を受けたカップルをお祝いするパーティーに知り合いに誘われて参加したんです。当時、ニュージーランドに来ることは決めていたけど、証明証をもらった人たちから「どうして日本にいようと思わなかったの?一緒に日本で頑張ろうよ」って言われて。今、世界でこれだけLGBTが受け入れられるようになったのはこうやって頑張ってきた人たちがいたからなんだって思いました。
由美子:私たちは2人ともバイセクシャルに近くて、女性しか愛せないタイプではないんです。でも相手のことを「女性だから」ではなく、1人の人として好きになった。お互い人が好きで、すごく大きなことを言えば、自分の中で「人類の頂点」が彼女だったんです。

 

▼LGBTを考える -「LGBT世界一周プロジェクト」 藤原直さんインタビュー

http://www.ecube.co.nz/content/1856

▼LGBTを考える - LGBTに関する基礎知識

http://www.ecube.co.nz/content/1857

カテゴリ:特集
各種法律や移民局の規定等は改定されている場合があります。詳しくはお問い合わせください。

お問い合わせはこちら