Vol. 188 NZ式就活メソッド

第7回 雇用条件を確認しよう

NZ式就活メソッド


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Migrant Action Trustについて

 2003年設立のNGO。「移民の国」ニュージーランドにおいて移民が抱えるさまざまな問題の解決をサポート。日本語での仕事探しセミナーも年に数回開催している。
http://www.migrantactiontrust.org.nz/

ニュージーランドの就職活動についてのお問い合わせはこちら
tatsu.migrantaction@xtra.co.nz

雇用条件は入念に確認、交渉も可

 これまでの連載では、ニュージーランドでの就職活動の方法についてお伝えしてきましたが、今回は応募した会社の面接がうまくいき、内定通知(ジョブオファー)が届いた後の話です。晴れて内定となれば、すぐにでも就職活動を終え、その会社と雇用契約を結びたくなるかもしれません。しかしまずは落ち着いて、職務内容、勤務地、勤務時間、給与、試用期間の有無など雇用条件をよく見直し、自分に本当に適したオファーかどうかを検討しましょう。
 前にもお話しした通り、ニュージーランドの求人はポジション単位で出されるため、雇用条件も一人一人個別に定められています。提示されている給与額、福利厚生・手当、休暇などについて改善を求めたい場合には、担当者に交渉することができます。業界内の標準的な待遇をよく調べた上で、自分にふさわしいと考える金額や条件を伝え、双方が納得できるように話し合いましょう。
 また、念のため内定を受けた会社の実績やパフォーマンスも確認しておきたいところです。一例ですが、Companies Officeのウェブサイト
https://www.companiesoffice.govt.nz/companies)で会社の登記情報を閲覧できるので、参考にしてもいいでしょう。

契約書は持ち帰ってチェックを

 ニュージーランドは「契約」を重視する欧米型の社会です。雇用関係も、雇用主と被雇用者がルールに基づいて契約を交わし、それに従うというのがその本質になります。そのルールをまとめた文書が雇用契約書(Employment Agreement)で、雇用が始まる前に必ず発行されることになっています。サインをした雇用契約書は、雇用主・被雇用者の双方に対して法的な拘束力を持ちます。
 このように、雇用契約書は重要な文書ですので、受け取ってその場でサインすることは控え、自宅に持ち帰って内容を精査しましょう。数日程度の猶予を得て、信頼できる知人や相談機関に客観的なアドバイスを求めることは常識的に認められています。日本人同士の場合は、言葉にしなくてもお互いを信用し合えるような家族的な人間関係に慣れているせいか、会社が提示した条件を問いただすことに抵抗があるかもしれませんが、ここではニュージーランドらしい考え方も取り入れてみてください。

押さえておきたい最低限の権利

 雇用契約書には、雇用法が定めている「雇用に関する最低限の権利」(Minimum Employment Rights)を満たす内容が記載されていなければいけません。最低限の権利とは、例えば「勤続1年以上で4週間の年次有給休暇」「最低賃金(2017年9月現在、時給$15.75)以上の時給」「祝日に出勤した場合の割り増し時給(1.5倍)」などです。詳細は、Ministry of Business, Innovation and Employment (MBIE)のウェブサイト(http://employment.govt.nz)に、日本語版の文書も載っていますので確認しておきましょう。
 この最低限の権利は、たとえ雇用契約書に書かれていなくても、被雇用者全員に適用されます。ただ、特に移民コミュニティーにおいては、それを下回る条件で働くというケースが実際にあり、社会問題にもなっています。したがって、最低限の権利に関する記述が不十分だったり抜けていたりした場合は、雇用主に率直に伝え、修正してもらいましょう。その際の対応が納得できなかった場合は、ジョブオファーを辞退することを考えた方がいいかもしれません。
 ちなみに、ニュージーランドの雇用形態は、パーマネント(終身)、フィックスターム(期限付き)、カジュアル(不定期)などに分かれますが、日本のような「正規雇用」と「非正規雇用」という区別はありません。どの雇用形態でも「正規雇用」に当たりますので、誰もが雇用法で保障された権利を等しく受けられます。

雇用トラブルは専門家に相談を

 雇用契約を結ぶ前・結んだ後に関わらず、雇用のトラブルに関する相談は、MBIE(日本語の通訳も利用できます)、Citizens Advice Bureau (http://www.cab.org.nz)、Community Law Centre(http://communitylaw.org.nz) などで無料ですることができます。また、自分の会社や業界の労働組合に所属すれば、いつでもサポートが受けられます。さらに、移民の権利保護を専門とするUNEMIGという組織(http://www.firstunion.org.nz/unemig)もあるので、困った時に頼りにできます。
 ニュージーランドの国民は、「フェア精神」を尊ぶと言われています。たしかに、前述の通り被雇用者を守る制度も整っていますし、また例えば、市民がふさわしい生活を送るのに必要な時給を「生活給(Living Wage)」として定め、その導入を広く求める運動も行われています。しかし、だからこそ私たち一人一人も自覚を高め、自分の責任で権利を守る姿勢が求められます。その上で、スキルや能力を正当に評価してもらい、気持ち良く働いていきましょう。

(文・西村達男)

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