Vol. 189 特集

ニュージーランドに野球の面白さを伝えたい ポニーベースボール始動へ


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 野球を通じて青少年を育成することを目的にアメリカで始まり、現在は全世界で45万人が選手として登録しているポニーベースボール。ニュージーランドではまだマイナーな野球を子どもたちに広めようと、「ニュージーランドポニーベースボール協会」が発足。ニュージーランド野球連盟のゼネラルマネジャー補佐兼U15代表監督を務め、来シーズンから千葉ロッテマリーンズの1軍投手コーチとして就任が決まった清水直行さんを中心に準備を重ね、このほどポニーベースボールに登録しました。今後ニュージーランドでも本格的に活動が始まるポニーベースボールについて紹介します。

 ポニーベースボール(PONY Baseball)の「PONY」とは、Protect Our Nation's Youthの頭文字から成る名称。NにはもともとNeighbour's が使われ、野球を通じて地域の青少年の保護・健全育成を行うことを目的に、67年前にアメリカで始まりました。現在はアメリカを東西南北の4つに分けた区分と、メキシコ、カリビアン、ヨーロッパ、アジア・パシフィックを合わせた8つの区分で編成され、全世界で45万人が選手登録しています。
 対象年齢は3歳から23歳までと幅広く、最大の特徴は選手の年齢に合わせ、ホームベースと塁間を結ぶ「ダイヤモンドサイズ」を変更すること。子ども向けにルールを変更するよりもダイヤモンドサイズを調整することで、身体能力に合ったプレーができるようになると考えられています。2017年現在、年齢ごとに10のカテゴリーが用意され、それぞれ馬の成長に合わせて名前が付けられています。

 「選手が主役」との考えから、選手一人一人の活躍の場を増やすためにさまざまな仕組みづくりをしているポニーベースボール。例えばベンチ入りする選手の数は12人以上15人までに制限し、試合に出場する機会を増やしたり、「チャンピオンズリーグ」と呼ばれる障害のある子どもたちのためのプログラムも用意しています。
 また、「ポニーベースボールという組織は、加盟国やチームを管理するためでなく、サポートするためにある」と考え、運営面でも柔軟な対応を行っています。加盟するには1カ国あたり最低4チームの登録が義務付けられていますが、全てのカテゴリーでチームを編成する必要はなく、試合への参加も強制ではありません。さらに、毎年アメリカで行われるワールドシリーズ以外は国ごとに独自のルールで試合ができるほか、公式試合以外に親善試合を自由に設定することもできます。

 日本は1975年にポニーベースボールに加盟し、登録選手数は現在約2,100人。ポニーベースボールを卒業した選手には、元米・ドジャースの石井一久投手や、日本ハムファイターズの栗山英樹監督、2016年夏の甲子園で優勝した作新学院の今井達也投手など、国内外で活躍する選手も多くいます。
 日本も所属するアジア・パシフィックゾーンでは近年加盟国が急増。インドでは国内に800の登録チームがあるほか、台湾では学校の部活動がポニーベースボールに加入。韓国でも2017年からソウル市内の小中学校が加入するなど、広がりを見せています。

 ポニーベースボールをニュージーランドにも導入しようと、中心になって活動してきたのが、来シーズンから千葉ロッテマリーンズの1軍投手コーチに就任することが決まった清水直行さん。同チームでエースとして活躍し、アテネオリンピックやワールドベースボールクラシックにも日本代表として出場。2014年に現役を引退した後、ニュージーランドに渡り、この国の野球の発展に尽力してきました。
 清水さんのニュージーランドでの活躍を知った日本ポニーベースボール協会が、アジア・パシフィックゾーンへのニュージーランドの加盟を打診。打ち合わせを重ね、9月には日本ポニーベースボール協会本部事務局長の那須勇元さんがオークランドの球場などを視察。ニュージーランド野球連盟へプレゼンテーションを行いました。

189feature_02.jpg(写真)ニュージーランド野球連盟(Baseball New Zealand)に向けて開いたポニーベースボールについての説明会

 「強い、弱いじゃなく、選手を育てていくというポニーベースボールの理念がニュージーランドにマッチしていると思った」と話す清水さん。これまでも若い世代を中心に指導を行ってきた経験から子どもたちが野球に触れる「機会の不足」を感じていたと言います。「ポニーベースボールを取り入れることで、ニュージーランドにおける野球の可能性が広がると思う。また、加盟することで大会や親善試合をニュージーランドで開催する機会にもつながる。とてもフレキシブルな団体なので、やりやすいと思ったのが決め手になった」(清水さん)
 また、那須さんは「素晴らしい球場もあるし、今後ニュージーランドで野球が根付いてくれるといい。ポニーベースボールの主役は子どもたち。子どもに野球の魅力をどう伝えていくのかが大切で、野球のリーダー国でもある日本をはじめアジアの国々でも道具の提供など、できる限りのサポートをしていきたい」と話しています。

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(写真)ニュージーランドのポニーベースボールへの加盟が決まり、
握手を交わす清水直行さん(写真左から2人目)と日本ポニーベースボール協会本部事務局長の那須勇元さん(同5人目)

 ニュージーランドポニーベースボール協会の事務局はNZdaisuki.comのオフィス(Suite 2, 19 Victoria Street West, Auckland)に置き、2018年から本格的に始動する予定。1〜2月にはアジア・パシフィックゾーンの代表会議が開かれ、同ゾーンの大会は5〜7月にかけて行われます。大会への参加を目標に選手のモチベーションを高め、ひいては国内の野球の競技人口を増やすことを目指すのはもちろん、今後大会の招致にも力を入れていく予定です。

カテゴリ:特集
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