Vol. 191 Career Interview

造園 外山稔さん

ボランティアから始まった移住への道 手探り状態で歩いてきたけれど 知識と経験が最大限に生かせる 造園の仕事は天職です


メインイメージ

外山稔(とやま みのる)さん

 愛知県出身。2006年、大学在学中のワーキングホリデーをきっかけに、大自然に囲まれたニュージーランドへの移住を決意。その後オーストラリアに渡り、シドニーからタスマニア、パースへの自転車の旅を2年間に渡り決行。2015年9月、ニュージーランドに再渡航してHorticulture(園芸)を学び、現在は「Parmers Garden Centre」の造園チームに所属。ニュージーランドの魅力を伝えるべく、「Nature New Zealand」(http://naturenz.net)を運営中。

退屈から抜け出し海外生活へ

191career_06.jpg

 2006年、大学を休学してニュージーランドで1年間のワーキングホリデーを経験しました。通っていた高校があまり好きではなくて大学では何かが変わると期待していたんだけど、いざ入学してみると実際はアルバイトと学校の往復で、代わり映えのしない毎日に少し焦りを感じていたんです。人とは違うことに挑戦しようと考え、思い付いたのが海外に行くということでした。
 留学やピースボートなどいろいろな手段を模索した結果、なるべく初期費用がかからない方法の一つとしてワーキングホリデーという制度があることを知って。自分のことを誰も知らない国で一から始めたいと思い、ニュージーランドを渡航先に選びました。
 ニュージーランドに入ってから最初の一カ月は語学学校に通い、卒業してからはもともと自然が好きだったこともあり自然保護系の仕事を中心に探しました。どう動けばいいのかもよく分からず、旅行も兼ねて各都市を訪ね、とにかく人に聞いて回ったんです。南島からネルソンを経由して北島へ、そしてオークランドまで上がって来た時にようやく出会ったのが、鳥の保護区に指定されている「ティリティリマタンギ島」です。
 ティリティリマタンギ島では、ニュージーランド特有の鳥たちにたくさん出会えます。ボランティアの仕事だったのですが、出たり入ったりを繰り返しながら合計1カ月ぐらい手伝わせてもらって。これがまた面白かった。またニュージーランドに戻って来ることを決心しました。

(写真)ティリティリマタンギ島にて▶︎

渡航費用のため日本一時帰国、社会経験を積む

 日本帰国後は、次にニュージーランドへ行くための費用を貯めるのに専念することにし、園芸系の会社に就職しました。本当は園芸店で働きたかったけど、希望者が多かったのか飲料水部門に配属されてしまって。それでも2年間働いているうちに、イベントなどで自社商品をよく紹介するような会社だったこともあって、人前で話したり説明したりという新しいスキルを培うことができたので良かったです。
 日本を出発する前の半年間は、山小屋で住み込みのアルバイトをしました。日本には3,000メートル級の山がたくさんあるけど、その中でも2番目に高い山梨県に位置する「北岳」です。富士山がすごく近くに見えたのが印象的でした。
 目標金額も達成しいよいよ計画を立てる段階になって、ふと自分がワーキングホリデーをしていた時のことが頭によみがえったんです。「ニュージーランドであれだけいろいろ見られたんだから、他の国を自分の足で見て回れたらどれだけすごいんだろう」と思って。貯めた金額は、アジアとオーストラリアでの自転車旅行に充てることにしました。

▼自転車でのオーストラリア国内移動

191career_04.jpg 191career_05.jpg

「世界が見たい」とオーストラリア横断

オーストラリアで過ごした期間は2年間。ワーキングホリデー制度を最大限に活用し、シドニーからタスマニアを経由し、パースまでの約半周を自転車で横断しました。途中にファームジョブなども経験したりして。最初こそニュージーランドに戻る前に世界を見るという目的のためだったけど、オーストラリアの旅にはいろいろな発見があって面白くなってしまったんです。
 ところがワーキングホリデーも1年半を迎えようとしていた頃、問題が起きました。大きな大陸の中、自転車移動ではすぐに隣の都市に着かないということもあってテント生活をしていたのですが、ある夜、持病の喘息が発症したんです。周りに人は誰もいない。助けも呼べない。本当に死ぬのではないかと思った時、「もし生き延びられたら何がしたいんだろう」と考えました。
 ニュージーランドへの再渡航について改めて決意を固めたのはこの時です。翌日には長く続いた自転車の旅に終止符を打つことを決めてパースまで移動し、貯金をするためにビザの残りの半年間は日本食レストランなどで、帰国後の2年間は会社勤めをしました。
 夢に見たニュージーランドへの移住計画。でもやる気があれば誰にでもできる簡単なことではありません。実行に移すには戦略が必要だと思い、自分の経験や何ができるのかということを考えた上で、最終的に自分が好きな自然が扱える「造園系」の道に進むことにしたんです。そのために、まずは経験を積もうと、日本で働いていた間は、造園系の仕事に従事していました。

191career_01.jpg 191career_07.jpg

座学で知識を、実習で経験を

 2015年9月、学生ビザを手にようやく戻って来たニュージーランドでは、Horticulture
(園芸)コースがある「Regent International Education Group」という学校に1年間在籍していました。オープンワークビザを申請したい場合はフルタイムで2年目のコースまで修了させLevel 5の資格を取得する必要がありますが、僕の場合はすでにワークビザのサポートをしてくれる会社が見つかっていたので、1年目のLevel 4のコースのみで終わらせることにしました。
 Horticultureのコースでは主に植物学を学びます。植物の名前から地域や気候に合った使い方まで、内容はさまざま。特にニュージーランドでネイティブと言われるような植物にはマオリ名があったりするので暗記するのは大変だったけど、知識が増えていくのは面白かったです。
 週に2回、実習もありました。実習先や学校の提携先に果樹園があって、実際に接ぎ木をしてみたり害虫や雑草などを探したりするんです。ここで実践的な経験を積むことができたので、仕事探しにも直結しました。
 今所属している「Parmers Garden Centre」での仕事を見つけたのは、学校に入学してから7カ月目の時。当時、同じくParmersに勤めていたRegentの日本人卒業生を通して、面接をセッティングしてもらうことができたんです。無事に合格して今の造園の仕事に就くことができたのですが、ニュージーランドの仕事探しは人脈と運、そしてタイミングも大事だということをつくづく感じました。

▼Parmers Garden Centreでの作業

191career_03.jpg 191career_02.jpg

自然に懸ける情熱は無限大

 もともと自然が好きだったということと、これまでの経験が生かされているということで、今僕が担当している造園の仕事は天職だと思っています。業務内容は植栽や剪定、土木作業などを含む作業も多く、何もない真っ白な状態の庭を、自分の手で一から作り上げていく「ものづくり」の楽しさは何とも言えません。
 今後自分が何をしたいのか、どうなっていきたいのか。考え出したら切りがなくアイディアはたくさん湧いてきます。日本からやって来る人たちにはニュージーランドの自然を肌で感じ、魅力に気付いてほしいし、自分が面白いと感じたこの国の自然をたくさんの人に知ってもらいたい。それに自給自足のオーガニック生活とかにも興味があります。
 だからいつかは自分の会社を持って旅行者の旅を丸ごとプロデュースしたいけど、そのためにはまず永住権の取得が必要不可欠です。そこから「夢」がまた広がっていくのだろうと思います。

カテゴリ:Career Interview
各種法律や移民局の規定等は改定されている場合があります。詳しくはお問い合わせください。

お問い合わせはこちら