Vol. 197 特集

特集2:Mad Samuraiオーナー辻野あらとさん


 大学などの人材教育機関で教鞭を執ってきたMad Samurai人事担当の辻野あらとさんは、人の可能性を狭める自己偏愛や認知バイアス、アイデンティティの固定化を自ら克服する力を育む教育を追求してきました。そんな辻野さんに所縁のある4名の方に、出会いやきっかけ、人柄などについてお聞きしました。

Andrew Ellisさん

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 4歳の時にラグビーを始め、プロとしては11年ほど、オールブラックスやクルセイダーズでプレーしていました。今のフルタイムのラグビープレイヤーとして日本で「神戸製鋼コベルコスティーラーズ」というチームに所属し、キャプテンを務めているのですが、それと同時に、Aratoと一緒にニュージーランドで和牛ビジネスを運営しています。
 Aratoと出会ったのは2014年のことで、私の友人に紹介してもらったのがきっかけでした。当時彼は肉屋やレストランなど複数のビジネスを持っていて、自宅でバーベキューをするからと招待してもらったのを覚えています。そこから徐々に親交を深めていくようになり、今では一緒にビジネスを立ち上げるまでになったのだからすごいものです。
 私はもともと和牛のファンでした。ニュージーランドにも和牛はありますが、日本で本場の和牛を口にした時に、「ニュージーランドの人たちにもぜひこの味や感動を知ってほしい」と思ったんです。するとどうやら、高校留学を経てニュージーランドに所縁のあったAratoも同時期に似たような考えを持っていたらしく、「和牛ビジネスをしないか」と声をかけてもらいました。
 私としても、今は現役のラグビープレイヤーとして生活していますが、いつまでも続けていられるわけではありません。ほとんどのラグビーチームでは選手の将来を見越し、ラグビー以外の活動も推奨しているので、非常にありがたい誘いだったんです。
 和牛ビジネスをやると決めてから、Aratoに教えてもらったり日本のファームを訪問したりして、和牛の種類や育て方、餌についてなどを自分なりにたくさん勉強してきました。ニュージーランドの質の良い水は、上質な和牛の育成にはうってつけ。まだまだ試行錯誤を重ねている段階ではありますが、私たちも日本の和牛スタンダードに追い付くべく頑張っています。きっと後5年もすれば、ニュージーランド和牛の質も今よりも断然良くなることでしょう。
 ちなみに、自分もオーナーの一人として関わっているMad Samuraiの個人的おすすめメニューは、「和牛スライスステーキ」と「Mad Samuraiロール」、「和牛炙り」。お客様やスタッフの意見を取り入れて常に新しいメニューを取り入れていくつもりですので、今後の展開にも注目です。


堀尾裕一さん

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 中学2年生の時、辻野先生が経営していた塾に入ったことがきっかけで出会いました。「ただ勉強を教え、生徒の学力を伸ばす」だけでなく、「勉強が面白くなる工夫」が至る所でなされていたこともあり、いわゆる問題児というか、勉強が苦手な子たちに大人気の塾で、偏差値を30以上も上げて有名大学に合格した人もたくさんいるほどです。
 通塾する中で次第に、「自分も周りにいるたくさんの人たちの可能性を広げられる人間になりたい」と強く思うようになり、大学生の時には辻野先生の塾でアルバイトをさせてもらうことに。塾の運営などにも携わり、本当にたくさんの経験を積むことができたと感じています。
 社会人になった今でも仕事で行き詰ることがあると、どれほど忙しい状況にあっても時間を作って相談に乗ってくれる辻野先生は、尊敬する恩師です。辻野先生が常に状況や視座に合った適切なアドバイスをくれるので、何度も成果につなげることができました。
 今私は、株式会社リクルートで美容法人の広告営業を担当しています。企業の中長期戦略の策定や短期戦術の推進、出店から人材育成まで、提供している支援はさまざまです。
 大学在学中に経験した塾のアルバイトで、「社会を豊かにすることができる経営者になりたい」という目標を持つようになりました。そのためには社会経験を積み、そして視野を広げながら学び続けていく必要があります。その過程において、自分とは違った価値観や考えを持つ人たちと関わることが重要だと考えて、起業家精神を持ち、自由な発想と思考で生き生きと働いている若者たちが多いリクルートという企業に入社することにしたんです。
 やりがいも大変さも同様にありますが、大学時代に辻野先生の塾でいろいろなことに挑戦させてもらっていたということもあり、社会人としてスムーズに適応することができました。成果が出せるようになるまでは何度も立ち止まり、悩みましたが、そんなときにいつも道筋を示してくれる、灯台のような存在が辻野先生です。

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横山嘉郎さん

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 兄が通っていた塾を経営していたのが、辻野先生でした。偏差値が伸び、志望大学に合格した兄の例を間近で見ていたということもあり、自分も入塾することを決めたんです。あえて言い表すのであれば、一般的な学校や私塾とは少し違った指導を行う「非常識」という言葉がぴったりな学習塾でした。
 人は誰もが、家庭環境や人間関係などさまざまな要因に影響を受けるものだと思います。そのため、その時点での状況から大きく離れた目標を達成するのはなかなか難しいのではないでしょうか。例えば、偏差値の低い学生が進学校入学を目指すということも、そのうちの一つです。それが辻野先生の塾では可能だった。常識で考えれば到達できないような目標でも、どうすれば達成できるのかを真剣に考え、取り組み、指導してくれるんです。
 辻野先生は、博識なだけでなく、物事をさまざまな角度から考察してくれる視野の広い人です。とても人間的で、真摯で、優しく、温かい。でも同時に、厳しさやいい加減さ、面白さも併せ持っている。多面的な要素を隠すことなくありのままにさらけ出していて、そういった常識に当てはまらない生き方は、高校生時代にニュージーランド留学をした経験などからできあがったものではないかと、個人的には感じています。
 以前の私は、視野が狭い人間でした。それが原因で人間関係のトラブルに巻き込まれることも多かったのですが、辻野先生の考え方に触れてからは、人それぞれ感じ方や価値観が異なるのは当然のことで、「こうあるべきだ」という常識は、しょせん自分にとって都合の良い考えでしかなかったのだということにも気付くことができたんです。
 周囲の人たちと問題が起きるときには大抵、他者が持つ常識同士の衝突が根底にあります。辻野先生のように柔軟な考えを持つようになったことで、トラブルが少なくなっただけでなく、人生そのものも豊かになりました。
 現在日本の証券会社に勤めている関係で、どういった企業がどのような事業で利益を出しているのかを目にする機会があるのですが、最近、伸びている企業の業態が変わってきていると感じることが多くなりました。新しい価値観を持った企業が既存の大企業から仕事を奪ったり、倒産の危機に立たされたりと、以前では考えることのできなかった事態が起きています。日本でも「働き方改革」の名のもと、今後10年間で企業の在り方は大きく変わるでしょう。
 私自身、世の中の至る所に転がっている「常識」という名のエゴを跳ね除け、いつかは起業しようと考えています。厳しい道のりになるでしょうが、人生は一度きり。辻野先生のように、常に新しいことに挑戦し続けていきたいんです。

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Rosa Scottさん

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 日本で約2年半にわたり、Aratoが経営する塾で教鞭を執っていました。日本に渡航する前は、大学で絵の勉強をしていたということもあって、ニュージーランドでアーティスト活動に打ち込んでいました。自分のスタジオを持ち、展覧会などを開催していたのですが、スカラーシップをもらうことができたので、ヨーロッパ圏にあるミュージアムを見て回ったりして、最終的にはご縁があって日本に行くことにしたんです。
 日本は良くも悪くも人が多く、その分試験に対するプレッシャーが強いように感じています。例えば、大学が8校しかないニュージーランドとは違って、良い大学に入るためにはかなり多くの時間を勉強に費やさなければなりません。だからこそ、難しいことではありますが、楽しむというのはとても大切なこと。Aratoの学校は少人数制の授業を採用しているということもあって、教師と生徒、あるいは生徒同士の絆が強く、また、教室は常に笑顔で溢れていたのが印象に残っています。
 同時に、勉強だけを頑張っていても意味がないので、生徒たちには「なぜ勉強するのか」ということを自分で考えさせる。それがAratoのやり方です。一人一人をしっかりと見ていて、学力の向上はもちろんのこと、一人の人間としても強く生きていけるよう、個々の生徒に合わせて指導していたのを覚えています。
 そうして過ごしたかけがえのない時間。生徒との接し方や指導方法など、いろいろなことをAratoから学びました。そしてこの経験をニュージーランドでも生かしたいと考え、帰国後は学校に通い直し、教員として働く資格を取得したんです。今は南島屈指の観光地・クイーンズタウンの高校でアートを教えています。日本とニュージーランド、両国での経験から、教師として大事なのは、生徒を良く理解し、彼らが目指す次の目標を一緒に考えることだと考えています。
 Aratoはとてもユーモアのある人だと思います。日本で塾を経営したり、ニュージーランドで和牛ビジネスを展開したりと常に新しいことにチャレンジしているにもかかわらず、相手によってファーマーの顔になったり、プロフェッサーの顔になったりと、全く違う側面を見せてくれるんです。かと思えばニュージーランド人にも日本人にもなって、どんな状況にも順応してみせる。そんなAratoを、私は尊敬しています。

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