Vol. 200 特集

特集1:2018 JSANZ Tertiary Japanese Language Speech Contest(1~2位)


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 ニュージーランドの大学で日本語を学ぶ学生を対象に、オンラインで行われる「JSANZ Tertiary Japanese Language Speech Contest」が今年も開催され、2018年9月28日にはオークランド大学で表彰式が行われました。1~3位を受賞した学生のスピーチ内容と共に、ビジネス人目線で捉えた言語学習の重要性について語った、ニュージーランド三菱商事の金属グループマネージャーを務める清水泰雅さんの寄稿文をご紹介します。

※スピーチ原稿、コメントは原文のまま掲載しています。

第1位

Jee Hyun Cho(University of Auckland)
「留学が人生を変える?」

 二年前、私は迷っていました。大学にきて、大好きな日本語を勉強しているのはいいけれど、「日本語専攻じゃ就職できないよ」とか「お金にならないよ」とか、凹む話ばかり言われて、私の人生はこのままでいいのかと不安になりました。そんな中で私は日本に留学に行くことを決めました。なんとなく、留学に行けば人生が変わると思っていたからです。しかしこれはとんでもなく甘い考えでした。

 日本に来たのはいいものの、私が期待していたように日本語がめきめき上達したり、運命のような出会いがあったり、もっとこう、青春! って感じのことは...ありませんでした。そこで私は考え直しました。ドラマティックなできごとを待つより、とりあえず自分にできること、したいことに取り組もうと。私は時間があるたびにいろんなところへ旅行に行きました。

 たとえば、私の大好きな夏目漱石の「坊ちゃん」の舞台である、道後温泉に実際に行ってみたり。本やネットでしか見られなかった「日本」を自分の目で見て感じることができ、とても楽しかったです。また、旅行中には現地の人はもちろん、ほかの留学生にもたくさん会いました。私たちはみんな国も文化も違うけど、日本語で一つになり、かけがえのない友達になれました。グローバル社会における外国語勉強の有意義さを改めて感じた時間でした。日本語を勉強してよかったと、私はやっぱり日本語が大好きだと思いました。これからも頑張ろうというモチベーションにもつながりました。いわゆる「自分探し」ができた気がします。「人生が変わった」というまでではないかもしれませんけどね。

 私の留学生活のハイライトは何といっても春のお花見でした。よく日本の特徴として春、夏、秋、冬、つまり四季があるということが挙げられますが、私はずっと「それがどうした?」と思っていました。でも実際に日本の長くて寒い冬を過ごしてみると、春のあたたかさや綺麗に咲いた桜が感動的に感じられました。でも桜の花って、すぐに散ってしまいますよね。

 私はこの時初めて、前授業で習った「もののあわれ」というものがわかった気がしました。そして気づきました。せっかくこのように日本という国を肌で感じられる素晴らしい機会を頂いたんだから、今を楽しむことが一番大事だと。人生が変わったとか、そういう結果的なことは後でいいんだと。ただ瞬間瞬間を大切に生きていこうと私は思いました。そしてこのような心構えをもとに、残りの留学生活も充実したものにできたのです。

 さて、みなさんの中で留学に行ってみたい!と思う方はいらっしゃいますか? 私としてはぜひみなさんにも留学にチャレンジしてほしいです。でも、留学が人生を変えるとか、そんなことを軽くいうつもりはありません。

 ドラマティックな変化を期待しすぎるとがっかりするかもしれません。私から一つアドバイスをするとしたら、それはただ楽しむこと。もちろんこれはのんびり遊んでいいというわけではありません。勉強も友達作りも旅行も何もかも、自分から積極的に取り組まなければなりません。留学が本当に有意義な時間になるどうかは自分次第なのです。

 ただし、その結果を焦らずに、今の自分にできること、したいことに向き合い、留学生活を満喫しましょう。そうやって経験と出会いを重ねているうちに、「日本語勉強してよかった、日本に来てよかった、私の人生すばらしい!」と思う時が必ず来ると思います。だからぜひ留学について前向きに考えてみてください。そしていつかみなさんの話も聞かせてください。

受賞コメント:

JSANZスピーチコンテストに参加できたこと、大変光栄に思います。スピーチの内容がかなり個人的な話だったので、上手く伝えられるか心配でした。でも、少しでも楽しんでいただけたようで嬉しいです。自分にとっても、留学生活を振り返り、感じたことをまとめることができ、とても有意義な経験になりました。素敵な機会をいただいたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

第2位

「私のサモアの文化の発見」
Gabrielle Gibb-Faumuinā(University of Canterbury)

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 みなさん、こんにちは。私はガブリエルと申します。実は、日本人ではなく、外国人です。わかりますか?

 日本人は私を見たら「外国人」とわかりますが、どこから来たかはわかりません。今まで日本人とか、中国人とかにまちがわれたこともあります。私の母はニュージーランド人で、父はサモア人です。サモアという国の名前を聞いたことがありますか?

 去年、日本のいろいろなにホームステイした時も、「ニュージーランド人とサモア人です」と言ったら、「え? サモアって何?」と言われました。みんなサモアのことをしりませんでした。みなさんも知らないかもしれません。

 サモアはニュージーランドの近く、南太平洋にある小さな国です。そこにはきれいな海とヤシの木があって、マンゴやココナッツがたくさん採れます。太陽の陽がとてもきもちよく、まるで天国のような国、それがサモアです。

 サモアの村ではみんながお互いを知っています。それはニュージーランドとはぜんぜん違います。お互いを知り合うことでコミュニティをきずくのです。このコミュニティはサモアの文化ではとても大切なものです。なぜなら、「家族」はサモア語で「aiga」ですが、は家族だけではありません。Aigaという単語は家族以外の人、村に住んでいる人や友達などもんでいます。

 サモアではみんながそれぞれの家族にぞくしています。そふぼや、きょうだい、いとこなど すべて ひとつの とても大きい家族です。もし家族いがいの人が家に来ても 家族のようにもてなします。またサモアには ほかにも2つの大切なことがあります。それは宗教と、食べ物です。

サモアの主な宗教はキリスト教です。10月の第2日曜日には みんな白いを着て、きょうかいに行きます。この集まりは White Sundayと呼ばれています。村に住んでいるほとんどの人がきょうかいに行くので、お店はしまっています。もしマクドナルドを食べたいときでも、次の日まで待たなければなりません。ニュージーランドだったら大変ですよね!

 またサモア人は食べることが大好きです。いつでも食べています。けっこんしきや、おそうしきはもちろんですが、もし友達のペットのお兄ちゃんが死んでもみんなで集まって食事をします。私も食べることが大好きなので、このような集まりも楽しいです。

 サモアはとても素晴らしい文化を持ってますが、実は私は小さいころ、サモアのことが好きではありませんでした。小学生の時、誰かが「何人ですか?」と聞いたら、私はいつも「ニュージーランド人です」と答えました。父は私に「ガブちゃん、あなたはサモア人のハーフだよ」と言われました。でも、サモア人になりたくなかったです。なぜ? 恥ずかしかったのです。

 「どうして友達は私に似ていないの? なんで私は違うの?」と思っていました。他の子供たちに似ていたら、「もっとみんなとうまくわることができるかなあ」といつも思いました。でも、日本へ行った時、日本人は「サモア? 初めて聞いた。面白そうね! 教えて!」と言われました。私はすごくしくなりました。 日本人は私の文化を学びたがってくれたので、私もサモアのことがだんだん好きになりました。外国語を学んだら、その国の文化も学ぶことができます。

 私は日本語を勉強することで、日本の文化とサモアの文化は違っていても、それぞれの文化はとても素晴らしいということに気がつきました。そして、日本語を勉強していなかったら、サモアの文化に興味を持つようにはならなくて、私のアイデンティティはニュージーランド人になりたがっているハーフのサモア人だったかもしれません。だから、日本語を勉強していてよかったです!

 外国語を学ぶことはとっても大切なことです。なぜなら、自分の文化と他の文化の似ているところを発見するかもしれません。そして、他の人たちのアイデンティティをより良くすることができるようになると思います。

 サモア人、ニュージーランド人、日本人であっても、それぞれの文化はかけがえのないモノです。自分のアイデンティティや文化は選ぶことはできませんが、大切にしたいか、したくないかを選べます。

 今、私は自分のアイデンティティが大好きになったので、嬉しくてもっとが持てるようになりました。子供のにわかりませんでしたが、今はやっぱりサモア人でいて良かったです。私はこれからサモアの文化をもっと大切にします。ですから、私のいはみなさんも自分の文化やアイデンティティを大切にするということです。

 では、一緒に頑張りましょうか? ご静聴どうもありがとうございました。

受賞コメント:

私はカンタベリー大学のまだ1年生なのに、このスピーチコンテストに参加できてよかったです! 2位になったことを初めて聞いた時に、私はすごくびっくりしたし、嬉しくなりました! スピーチの練習は難しかったですが、大学の先生たちのおがげで、私の発音や、イントネーションがだんだん上手になっていいスピーチを発表できました. とてもいい経験だと思います! これからも、日本語を一所懸命勉強します!

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