Vol.81 Career up in NZ ニュージーランドでファッションデザイナーを目指す


子ども時代、学生時代から絵を描くこと、服を仕立てることが大好きな趣味であったという笠原麻衣さん。芸術をこよなく愛するご両親と、豊かな自然と人間性を育むニュージーランドでの生活が、麻衣さんの創作活動の下地であるという。そんな麻衣さんにニュージーランドでの生活と、そしてご自分のファッションデザイナーとしての夢について語っていただいた。

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指す【Profile】
埼玉県出身。1984年10月23日生まれ。1993年小学3年生終了後、ご家族でニュージーランドへ移住。 Elam school of Fine Arts Auckland Universityで絵画を専攻、 Fine Artsの学士号を取得。 AUT (Auckland University of Technology)でFashion Technology資格と、NZ Fashion TechnologyにてPattern Design資格を取得。

家族と実現した理想の国との出会い

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指す教育者だった父は、海外を旅することが好きでした。ニュージーランドの自然、ライフスタイル、そして何より私たち子どもの教育に理想的と両親は考え、ニュージーランドへ移住することになりました。私が9歳の頃で、日本では全く英語の勉強をしていませんでした。アルファベットはABCの途中まで、そしてHello, how are you? の挨拶ができる程度でした。Epsomにある小学校に通い始めの1ヶ月は、自分から話ができない辛さを感じました。でも、毎日友達とのナックルボーンズ(羊の骨を空中に放り投げ、手の平や甲で受ける間に、何か別のトリックをして競う遊び)、縄跳びやゴム跳びなど遊びを通して、自然に英語を身に付けていきました。友達との遊びが一番の英語上達方法で、毎日何か新しい表現方法を覚えていきました。3ヶ月、1年、2年と自分でも進歩の段階があったように思います。優しい友達をはじめ、先生など周りの人にとても恵まれていたと思います。

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指す学年の終わりに皆の前で『Big Smile賞』を表彰されたことを、とても嬉しかったこととして覚えています。テストで良い点を取るため、何でもとにかく一生懸命になって、疲れを感じていた日本の学校と異なり、外でゲームやスポーツ、そしてアートを心から楽しみました。また、どんなことでもその人の良いところを見つけて、とても上手に褒めてくれる先生や大人やクラスメート。そんな中で私自身もリラックスすることと柔軟性を学び、自分の好きなことを楽しみながら、こちらの生活に慣れていきました。英語も日本語もそれぞれの良さがあり、現在私にとって、仕事上の専門的な事柄では英語での会話が一番効率的ですが、自分の気持ち、深い内面について言葉で表現したいときは、日本語の方がストレートに言葉で表現できるように思います。

You've got a Designer's Eye!(デザイナーの素質がある)

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指す私の家族は、日本の祖父母も皆、物作りが好きでした。父は、絵を描き、家具を作り、陶芸、音楽を、母は粘度で人形作り、父の陶器の絵付け、お菓子作りを楽しんでいます。手作りの生活を楽しむ家族ですので、早い時期から、服のファッションデザインに私が興味をもつのは、とても自然なことでした。服を作るのは、中学生の頃から始めていた大好きな趣味で、Ball Party(高校最終学年の舞踏会)には自作の紫のドレスを着て参加しました。家族の誕生日には、父には革ジャン、母にはウールのスカート、兄にはワイシャツ、姉にはパーカーと、手作りの服をプレゼントしてきました。父は、「世界に一着だけの、自分だけの服」と喜び、今日も着てくれています。しかし、ファッションデザイナーという仕事の大変さを考えたときに、ファッションを職業にする決心がつくまで、少し時間がかかりました。

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指す高校を1年飛び級して卒業後、オークランド大学イーラムスクールで、4年間絵画を勉強しました。3D画、コンピューターグラフィック、写真技術などいろんなことを学ぶことができました。卒業制作では、Personal space(個人的空間)という絵本を作成しました。テーマは、言葉では説明しきれない20歳の私自身の心理、自分と人との関わり方、距離感、自分の空間世界を、 自作の服で、自分自身がモデルになって表現しました。そんな活動を通してクリエイティブな世界で、ファッションデザインの道を進みたいと強く思うようになり、1年間AUT (Auckland University of Technology)でファッション技術を学びました。学生は若い人が多く、ほとんどの人がデザイナーを目指していました。

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指すストーリーボードにデザインのテーマを表現したあと、実際にイメージやラインを型紙に落とし、デザインを作り上げること、プロの縫製技術をここでは身に付けることができました。さらに NZ Fashion technologyでは、パターンデザインを6ヶ月間 勉強しました。こちらでは、様々な年齢層やキャリアを持った人たちとの出会いがあり、AUTのときとは違う刺激を受けました。職業体験を『Pearl』というブティックでしました。お店のデザイナーに、「どうしても見てほしい」の一念で私のデザイン集を見ていただきました。その人から、「You've got a designer's eye(あなたにはデザインナーの素質がある)」というコメントをいただきました。その言葉が、ファッションデザイナーの道を決心する直接のきっかけになったように思います。自分の大好きなファッションデザインの道を着実に歩いているという手応えを感じ、毎日の生活がとても楽しく、さらに充実してきました。

型紙から服を仕上げるまで

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指す今は時間を見つけて、自宅で個人的に家族や友人、知人から服の注文を受付けて作っています。私が想い描くファッションデザインのイメージは、生活の中で自然に心に浮かんできます。日本のファッションデザイン雑誌が一番好きで、デザインイメージの参考にするため、よく目を通します。日本のファッションは、生地の色、素材、デザインの選択が「わっ!かわいい」と言葉が思わず口をついて出てきます。ニュージーランドのファッションデザインも、シンプルでかっこいいものがあるように思います。

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指すイメージが浮かぶと、デザイン帳にデッサンを描き貯めていきます。着る人のイメージに沿うように最高の服に仕立てて、お渡しする瞬間が、怖いようなどきどきする瞬間です。「気に入っていただけるか。本当にお望みのものか」という恐れです。寸法をとり、注文にそって自分のイメージを型紙に落とし、デザインを始めます。イメージ通りのラインができるまで、何度でも型紙に寸法直しをします。イメージ通りのラインを作り上げるこの寸法直しの過程が、私にとっては一番楽しい時です。そして、仕上がった服がお客さんの身体にイメージ通りにぴったりフィットしたときの「やった」という達成感は、何にも換えられない喜びです。それでも、作り上げるとまた「次はもっと上手にできる」「まだまだ」という気持ちが湧いてきます。

現在は、MacJaysというブティックに就職し、品質管理の仕事を担当しています。この会社をファッションデザイナーのキャリアへのスタート地点として選んだのは、ニュージーランドでは珍しく、コンピューターでCADデザインをしている点です。CADデザイン技術を習得することを目標にしつつ、ブティックの現場の様々な工程を自分の目で見ることができます。毎日が新しいことの発見でもあります。

ニュージーランドでファッションデザイナーを目指すニュージーランドでファッションデザイナーを目指す

いつかMy(麻衣)ラベルを

私は、ニュージーランドのライフスタイルが大好きです。それは、自分らしく、飾らない、皆が好きなことを好きなときに、それをしたい人がしたい時にするという自然体であることです。周りとの比較なしに、自分らしさを追求すること、表現することが認められていることです。 私の自分らしさの表現方法は、趣味の創作ダンスであり、ファッションデザインの仕事でもあります。ダンスもデザインと一緒で練習と経験を重ねるほど、上手に自分の感情、気持ちを表現できるようになります。まだまだ発展途上で、「十分に表現しきれていない」、「今度はもっと上手に表現できる」という苦しみというよりは、悔しさ、向上心がいつもあります。大好きなニュージーランドで、こちらにはない私のラベルを実現したいと思っています。

上下トータルの服のイメージの「可愛らしさ」と「かっこよさ」、「優しい」と「強い」というコントラストのバランスをテーマにしています。もしかしたら、日本とニュージーランドの二つの文化と教育を受けた私の考える「日本らしさ」と「ニュージーランドらしさ」のコントラストかもしれません。そして、私の仕立てた服を着た人が「最高にその人らしさ」を表現できることと同時に、「着心地の良さ」をマテリアルの選択と型紙の微調整を通して、実現できるような服を作っていきたいと思っています。ファッションデザイン、創作ダンスをはじめとするクリエイティブな仕事は、私の大切な自己表現活動です。

ファッションデザイン以外にも、将来絵本作家の仕事も挑戦したいと思います。芸術活動が好きな両親との展示会、発表会などのコラボレーションを今後も続けていき、ファッションデザイン、創作ダンス、絵本作成と自分の表現活動の幅を広げていきたいと思っています。

カテゴリ:ファッション
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