Vol.51 時代を飾るキウイ -ニュージーランド・ラグビー選手 Doug Howlett-


また今年もラグビーシーズンが開幕した。が、今年のシーズンが昨年と違うのは、昨シーズンよりも2週間早く始まったこと。その理由は毎年ラグビーシーズンの開幕となる南半球3か国、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカによる大会、スーパー12の12チームにさらに2チームが加わって、14チームでの大会になり、大会名もスーパー14と変わったから。昨年は2月末にシーズンインしたが、今年は夏の真っ盛りの2月10日からだった。
今月のテーマ「Rugby for girls」は、女性も楽しめるラグビーと言うことで、ニュージーランドの国技「ラグビー」に興味を持ってもらい、試合場に足を運んで、生のラグビーを体験してもらいたいというのが趣旨。となれば、まず、好きな選手、注目の選手を見つけるのが、最も手っ取り早いとイーキューブ編集部は考えた。日本人の間で人気のニュージーランドのラグビープレーヤーとなると、昨年までオールブラックスのキャプテンを務めた、タナ・ウマガ、昨シーズンの世界最優秀選手に選ばれた、ダニエル・カーター、次期オールブラックスのキャプテンと目されるリッチー・マッカウなどがいるが、イーキューブのイチオシは何と言ってもこの、ダグ・ハウレットだ。日本人女性の中で最も人気と言っても過言ではないだろう。「Rugby for girls」のテーマでインタビューを依頼したら、照れながら「本当に光栄だ」と答えた謙虚さも、その人気の一つに違いない。

ニュージーランド・ラグビー選手 Doug Howlett

Doug Howlett
ダグ・ハウレット

スーパー14 ブルース ウィンガー Super 14 Blues Winger

1978年ニュージーランド人の父とトンガ人の母の間にオークランドで生まれる。オークランドグラマースクール、オークランド大学を経て、ラグビー選手に。18歳の時に100メートルで10秒84を出し、ニュージーランドのチャンピオンとなる。さらに100メートルハードルでも優勝したアスリート。オールブラックスのデビューは2000年の対トンガ戦。それ以来、オールブラックスに選ばれ続け、キャップ(テストマッチの出場回数)は50を数える。歴代のオールブラックスのトライ数でも現在3位。

2週間早く始まった2006年ラグビーシーズン

毎年ラグビーシーズンの開幕となるスーパー12が開催されてから11年目となる今年からオーストラリアと南アフリカから1チームずつ加わって、スーパー14と名前を変更した。決勝は5月27日。その後のシーズンのスケジュールが決まっているため、大会開始日を2週間早める事になった。
スーパー14が終わると、その結果をもとにオールブラックスが選ばれる。6月にインターナショナルシリーズが始まり、今年はアイルランドと2試合、アルゼンチンと1試合を行う。その後にオーストラリア代表ワラビーズ、南アフリカ代表スプリングボクスとテストマッチを行うトライネーションズがある。スーパー14と同様、11年目を迎えるトライネーションズでは、オールブラックスは昨年までオーストラリア、南アフリカと各2戦ずつ、計4戦行ってきたが、今年から3回戦制となり、2試合が増え、7月8日のワラビーズ戦に始まり、9月2日のスプリングボクス戦まで全6戦を行う。
そして7月の末からは、トライネーションズと重なるようにニュージーランド国内の大会が始まる。今年からは昨年までのニュージーランド国内の地域対抗戦であるNPCがエアニュージーランドカップと名称を変えた新たな大会が始まる。ニュージーランドを27の地域に分け、それぞれの代表チームで試合をしていたNPCを14の地域に組み直して、10月末までに全く新しい方式で国内チャンピオンを決める。
エアニュージーランドカップが終わると再び、新たにオールブラックスが選ばれ、11月から北半球へ遠征し、帰国は12月初め。オフは12月と1月の半ばまで。2月になればまたスーパー14が始まるという、ラグビー選手にとっては本当に長いシーズンなのだ。

多くの人からなぜ?と聞かれたヘアスタイル

カールした髪の毛をこのシーズン開始前にばっさりカットして、坊主になったことはメディアの話題にもなりました。男性は「よくやった」、「似合う」と言う意見が多いのに対し、女性は多くの人が「どうして?」と言いました。実を言うと、もう28歳にもなり、チームでもベテランの部類に入るので、気分転換もいいのではと思ったのです。シーズンの開幕にはヘアスタイルを変えて臨む選手も少なくありません。例えば、昨シーズンのチームメイトだった、カルロス・スペンサーはサッカーのベッカムがワールドカップで披露した、ソフトモヒカンにし、さらに金髪に染めました。私はそこまでは派手する勇気がありませんでした。髪型や色で目立つのではなく、プレーで目立たなくてはいけません。金髪に染めたりしたら、相手チームから目立ってしまい、マークされやすいですからね。
今年からバイスキャプテンにも選ばれました。ですが、昨シーズンからリーダーシップはとっていたので、バイスキャプテンと言う肩書きはプラフアルファに過ぎません。チーム内でやることは特別に多くなると言うわけではありませんが、今年のブルーズは若いチームですので、年長に入る私が気持ちを新たにすると言う意味で、髪の毛をカットしたと言っていいでしょう。心機一転です。あるメディアによると、チームメイトのイサ・ナセワが私と同じような髪型で、昨シーズンは私と彼をよく間違えたと書いているのですが、今年からはそれはなくなるので、メディアにとってはいいことなのかもしれません。
シーズン開幕が2週間早まったことで、真夏に炎天下で練習、試合した時の暑さ対策かとも聞かれるのですが、そう言う訳でもありません。練習は最も気温の高くなる午後を避けて、朝7時半頃からウエイト、フィットネストレーニングを行います。そのため、朝は6時半頃には起きなければいけません。そして10時前後からチーム練習を始め、12時前後に終わります。その後はミーティング、マッサージで午後を過ごします。試合も午後の暑い時間帯に行われることはありません。ニュージーランドでの試合ですと、まれに、5時半がありますが、ほとんどの試合が午後7時か7時半です。その時間帯になると、日中は暑くても、試合時間になると、涼しくなりますので、暑さ対策などいりません。スタンドで観戦する時には防寒着を持ってくることをお勧めします。

オフの日も走る

試合の日の翌日は体の疲れを取るリカバリーセッション、その翌日はオフになります。が、普段の練習日ほど長い時間ではありませんが、軽く走ったり、スピードトレーニングを行ったりします。そして、試合の3日後にはチームでのトレーニングが再開されます。数日練習を行い、試合の前日は完全オフをとり、そして試合というスケジュールです。
試合がニュージーランド国内の時は前日に現地入りします。オーストラリアの時は約2日前、南アフリカの時は3〜4日前に現地入りします。南アフリカはニュージーランドと時差が10時間ほど違うので、体調管理が大変です。今年はオーストラリアのパースをベースにするウェスタン・フォースが新規で参加したことで、パースでも試合が組まれています。パースはニュージーランドとの時差は5時間なのですが、スーパー14のチームがベースにする都市の中で最も平均最高気温が高い場所なんです。でも、ブルーズは今年はラッキーなことにパースでの試合は組まれていません。が、たとえ試合が夜に組まれていても、やはり、パースやブリスベンはオークランドに比べて暑いんです。ですから、暑さ対策を兼ねて、毎年開幕前にオーストラリアに行って、練習や練習試合を行うことが恒例になっています。今年は1月半ばから、サンシャインコーストでキャンプを張り、練習試合を2試合をこなしました。

コモンウェルス・ゲームで金メダル

今年は4年に一度開かれる英国連邦の国の間のオリンピックである「コモンウェルス・ゲーム」が3月15日から26日までメルボルンで開かれます。種目の中にラグビーの7人制があります。ラグビーの7人制がコモンウェルス・ゲームに採用されるようになった1998年のマレーシアのクアラルンプール大会以来、ニュージーランドは過去2回の大会で優勝し、金メダルを取っています。今回も連覇を目指し、ニュージーランドラグビー協会は強いメンバーでチームを編成し、メルボルンに派遣する方針です。スーパー14の開幕期間なのですが、スーパー14の各チームから一人ずつ選手が選ばれ、7人制のチームに合流します。ブルーズからは私が選ばれました。もちろん各選手の意志が尊重され、メルボルンに行きたいかと聞かれます。私はコモンウェルス・ゲームで金メダルが取れれば私のラグビー人生の中のボーナスとなりますので、喜んで手を挙げました。
スーパー14のシーズン中ですので、チームを離れるのは監督やチームメイトに申し訳ないと思っています。3月4日のクライストチャーチでのクルセーダーズ戦の翌週は、ブルーズは試合がありませんので、7人制チームに合流し、一週間はチームとして練習できます。試合は3月16日と17日です。ブルーズはこの週は18日にオークランドでブランビーズとの試合があります。できれば、その試合にも出たいですが、現在ブルーズは私のポジションウイングを含め、選手層が厚くなってきています。私の穴を若い選手が埋めてくれると思います。
7人制ラグビーは通常の15人制のラグビーとは全く違ったラグビーですし、私は世界のトップレベルの7人制ラグビーの経験がほとんどないのですが、監督とみなさんの期待に添えるようがんばりたいです。昔は陸上でコモンウェルス・ゲームに出場したいと思っていましたが、ラグビーで実現するとは思ってもいませんでした。

カテゴリ:ラグビー
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