Vol.41 時代を飾るキウイ -ニュージーランドのフィッシング専門家-


ニュージーランドに来てフィッシングが趣味になったという人が多いようだ。ニュージーランドではどこに住んでいても車で数時間走れば海に行く事ができ、気軽に釣り糸を垂らすだけで、日本で当たり前のように食べていた魚が手に入る。また、船で30分も沖に出れば、日本で高額で取り引きされる高級魚が釣れる。特別な用具や知識、テクニックは必要ないため、女性でも簡単に始められ、新鮮な魚を食べる事が出来るのがニュージーランドの釣りだ。
釣りが趣味になった人たちが、もう少し数を多く、もう少し大きい魚や少し珍しい魚を釣ろうと、釣りに少しだけエネルギーを注ぎ込むようになった時、お世話になるのがニュージーランド・フィッシングの第一人者ジェフ・トーマスだ。雑誌、書籍、新聞では様々な自称フィッシング・エキスパートが登場するが、ジェフは雑誌、書籍、新聞はもちろんのこと、ビデオ、さらにはラジオ、テレビにまで登場し、独自のインターネット・サイトまで運営している。今ではニュージーランド・フィッシングの顔として疑う人は誰もいない。
現在、すべてのメディアでフィッシング・ビジネスを展開出来るようになったのは、それまでに経験して来たジャーナリスト、ガイド、旅行会社経営が役立っており、それが今の自分のアイデンティティだと語る。

サンプル

Geoff Thomas
ジェフ・トーマス

フィッシング・スペシャリスト Fishing Specialist

1947年オークランド、パクランガ生まれ。オークランド大学でジャーナリズムを専攻。今までに経験した新聞記者、ガイド、旅行会社経営、テレビ・ビデオ制作会社経営などの職業はすべてがフィッシングがテーマ。現在はインターネットも含む全メディアでフィッシング・スペシャリストとして活躍中。今でも時間があれば、家族で海に出て、フィッシングを楽しむ。

いつでもフィッシングが身近にあった
小さい頃から、すべてがフィッシングと共にある環境だった

フィッシングを始めたのはニュージーランドの男の子がラグビーを始めるのと同じ歳、たぶん5~6歳くらいではないかと思います。 
オークランドの東部、ヨットハーバーのあるハーフムーンベイに家があり、家の周辺の埠頭やその隣のパクランガ地区でフィッシングをしていました。今は住宅密集地区になっているパクランガは当時はまだ農地で周辺の入り江で十分フィッシングを楽しめました。台所にある金属の網を持ち出し、浅瀬にいる海老を捕まえて、餌にしました。餌を買うお金がないからです。ですから、竿もありません。必要最低限の糸と針だけを買ってもらい、あとは自分で調達しました。
1966年にオークランド大学でジャーナリズムを専攻した後に夕刊新聞の「Auckland Star」に入社しました。私がフィッシング好きという事でスポーツ欄のフィッシングコラム担当になりました。しばらくして、日本のテレビ番組がニュージーランドの釣りを取材するために滞在しているという情報を入手しました。わざわざ日本からニュージーランドにフィッシングの取材に来るというのは当時は珍しい事でした。さっそくアポを取り、ホテルでインタビューを行ううちに意気投合し、午後に一緒に鯛釣りに出かけ、その後にバーベキューを楽しみました。その番組は大橋巨泉さんの「11PM」でした。それ以来巨泉さんとの付き合いが始まり、2年ごとにニュージーランドに来て、あらゆる釣りを番組内で紹介してくれるようになりました。
4年間新聞社で働いた後、1970年にロトルアに引っ越し、フライフィッシング・ガイドとして生計を立てる決心をしました。と言うのは他に誰もフライフィッシング・ガイドをやっていなかったからなのです。ニュージーランド国内でフライフィッシングを紹介しながら、政府機関や航空会社の後押しでアメリカでニュージーランドのフライフィッシングを紹介する講演やプロモーションを行った事もあります。アメリカではフライフィッシングは金持ちや著名人の間で人気でした。ニュージーランドは次第に新しいフライフィッシング天国として注目されるようになりました。ゴルファーのジャック・ニクラウスが初めてニュージーランドに来たのはゴルフではなく、フライフィッシングでした。

釣りメディアに進出
すべてのメディアでフィッシングを紹介するようになる

ロトルアでフライフィッシング・ガイドをやりながら、1981年にアメリカで友人とフライフィッシング専門の旅行会社を立ち上げました。私はニュージーランドでアメリカから来たお客さんをガイドする役割を担当しました。アメリカではニュージーランドのフライフィッシングは憧れの的になり、数年の間に世界中のフライフィッシング好きの金持ちが続々とやって来るようになりました。いつかニュージーランドへ行って大物を釣り上げたいと思っていた人たちが、我々のガイドによって、実際に海や川で大物を釣り上げて行ったのです。
ニュージーランドのフィッシングが注目を集めていくのに並行して、アメリカでニュージーランドの釣りを紹介する「Fishing Down Under」というテレビ番組にも関わるようになりました。海から川まであらゆる釣りを紹介しました。全13話を作り、その後85年にはこの番組の一部がニュージーランド、日本、アメリカ、カナダなどでビデオで発売になりました。恐らくニュージーランドでは初めて発売になったフィッシング・ビデオだと思います。タイトルは「Snapper Secret」です。どうしたら釣れるのかを詳しく解説したビデオです。ビデオの評判が良かったので、テレビ番組とは別に、結局全35シリーズのビデオを発売しました。
1990年には再びオークランドに戻りました。ビデオ制作を続けて行くのには、プロダクション関連業者が集中しているオークランドの方が便利だからです。しばらくすると、ニュージーランド国内でフィッシングのテレビ番組を作る話が舞い込んできました。その番組は、最初はオークランドの地方局で、その後国営放送のTV ONEを経て、現在まで続いているTV 3とテレビ局を移りました。テレビ番組は糸や針の結び方や餌の付け方など、細かい詳細を好むフィッシングファンだけが観るビデオとは違い、いろいろな人が観ているため、旅行の要素を取り入れ、目的地に到着するまでの過程や現地の人と会って話を聞くなど、リラックスできる雰囲気に作らねばなりません。現在の番組「Gulf Harbour Outdoors with Geoff Thomas」はTV 3で毎週土曜日午後5時から30分間オンエアされています。4月の末から全13話の新シリーズが始まります。ニュージーランドの北、飛行機で3時間のところにあるクック諸島の中のアイティタキ島でのフィッシングを数回に分けて放送します。現地の街の様子も分かるような、家のリビングで楽しめる仕上がりになっています。 _ また、この番組はアウトドア番組ですので、フィッシングばかりではなく、ハンティングも紹介します。ニュージーランドのハンティングは山登りがつきまとう、体力的にちょっときついところがありますが、5種類の鹿、豚、ポッサム、ウサギなどを仕留める事が出来ます。これらは仕留めた後に食べる事がまた楽しみです。

優れたフィッシャーマンとは?
いつでも地元の知識と経験に敬意を払う

書籍は93年に「Trout Secret」、97年に「New Zealand Fisherman」、2002年には1994年に出版した「Fishing Secret」タイトルの5冊のポケット本を一冊にまとめて新しい「Fishing Secret」を上梓しました。最新刊の「Fishing Secret」は5冊に分けて書かれていたフィッシングの基礎から、小さなボートからの大物釣り、埠頭、岩場、ビーチでのフィッシング、糸の結び方や仕掛けの作り方、魚の種類の見分け方などをまとめました。
また、ラジオではRadio Sport局でもう8年間「The Fishing Breakfast」を朝7時から9時まで2時間の番組を毎週土曜日に放送しています。旬の魚、最新の釣り場情報など、釣り好きな人に役立つ情報です。さらに、2001年から隔月刊の雑誌「New Zealand Fishing World」を発行しています。私がこれらのメディアでフィッシングを語り、演じ、書く事が出来るのはいつも他の人から学んだ新しい知識が増えて行くからなのです。フィッシングはそれまでに知っている知識や経験だけでは決して十分ではなく、その釣り場で長い間伝えられて来た知識や経験が必ず存在します。ですから、海外への取材の際には必ず、地元のフィッシャーマンを同行して一緒に釣りをします。世界中のあらゆる場所に住む地元のフィッシャーマンから学ぶ事は本当にたくさんあるのです。優れたフィッシャーマンとは地元の知識に敬意を払い、必ず地元のフィッシャーマンから学ぶ姿勢を持っているものです。
例えば、世界で一番鯛釣りが上手なのはよく日本人と言われます。日本人は他の国とは違った、新しいテクニックや用具を採用するからでしょう。とは言え、ニュージーランドでは日本のテクニックや用具を使わなくても十分鯛は釣れます。テクノロジーがすべてではありません。地元の知識や経験に敬意を払うという事は地元のフィッシャーマンに学び、習えという事なのです。

過去のすべての経験が今に生きている
いくつもの仕事を経験した事が自分らしさ

私は非常にラッキーだったと思っています。今の私は過去に関わった仕事すべてが生きているからです。新聞社での記者としての経験、ロトルアでのフライフィッシング・ガイドの経験、旅行会社の経営の経験を経て、ビデオ・テレビ番組制作と出演、新聞・雑誌・インターネットでの執筆、ラジオでのトークヘと広がって行きました。
また、さらにラッキーなのは実際に取材や撮影となると、事前に調査が必要になり、いつも外に出る事が仕事になるからです。それが良くいろいろな人に羨ましがられます。特に海に出る時は本当にこの仕事をやっていて良かったと思います。さんざんやった海釣りですが、今でも全く飽きていません。ニュージーランドは私のようなアウトドアを仕事にする人にとっては最高の国だと思います。どの街からもたった70キロ走るだけで、必ず海に出ます。他の国だったら、旅になってしまう長い行程ですが、ニュージーランドで海はすぐ手の届くところにあるのです。   
ニュージーランドでは約100万人の人がフィッシング好きというデータがあります。どのくらい頻繁に海に出かけるかは人によって違いますが、フィッシングはニュージーランドで最大のレクリエーションである事に間違いはありません。食べる事が目的でないフィッシングもあるでしょうが、食べる事は大きな比重を占めると思います。さらに、釣って食べる事によって、友達同士や家族が絆を深めるいい機会にもなります。一筋縄ではいかない上に、これだけ多くの人を楽しませ、海に駆り出させることのできるスポーツであるフィッシングですから、私一人が釣りをする人すべての知識、アイデア、釣りへのこだわりを学びきる事は決してないのです。

カテゴリ:フィッシング
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