Vol.25 時代を飾るキウイ ニュージーランド・テレビ番組プレゼンター


11月26日から30日までオークランドの南に位置するマヌカウ市で、今年で9回目となる「エレズリー・フラワー・ショー」が開催された。「エレズリー・フラワー・ショー」は南半球で最大規模のガーデン・ショーと言われ、世界中からガーデニング業界関係者やガーデニングを趣味とする一般の人々の関心を毎年集める年中行事だ。ニュージーランドでは気候の良さとDIY気質から、ガーデニングへの関心は古くからあったが、多くの人々にガーデニングの楽しさを啓蒙し、業界関係者をレベルアップさせ、ニュージーランドが一大ガーデニング王国と言われるようになった事に大きな功績を残したのがチャンネルワンで放送されていたガーデニング番組「マギーズ・ガーデン・ショー」だ。11月28日の「エレズリー・フラワー・ショー」特別編を最後に12年の放映を終えた。番組のプレゼンターを務めたマギー・バリーはその専門的な経験と知識、ジャーナリストもこなすプレゼンターの手腕から、ニュージーランド・ガーデニングのアイコンとも言われている。「マギーズ・ガーデン・ショー」は終わったが、ニュージーランド人のガーデニングへの関心は絶えることはない。チャンネルワンは新たにガーデニング番組を企画中だが、もちろんこの人の右に出るプレゼンターは彼女の他にはいない。

ニュージーランドのテレビ・ラジオ・プレゼンター・Maggie Barry(マギー・バリー)さん

Maggie Barry
マギー・バリー
テレビ・ラジオ・プレゼンター / TV/Radio Presenter

ウエリントン生まれ、育ち。ジャーナリズムを専攻し、ラジオ番組のアナウンサーとして仕事を始めるが、そのかたわらクライストチャーチのリンカーン大学で園芸学の学位を取得。一時は造園業を営んだが、テレビの世界でニュース、時事番組を担当し、1991年より「マギーズ・ガーデン・ショー」の放映を開始。2003年11月28日で放送を終了。12年間の放送でニュージーランドのガーデニングの地位を内外に確立した。現在ウエリントン在住。一児の母。

本当は辞めたくなかった「マギーズ・ガーデン・ショー」
12年続いた「マギーズ・ガーデン・ショー」が終わってもガーデニングとの関わりは途絶えない。

私がガーデン番組を担当するようになったのはクライストチャーチのリンカーン大学で造園学の学位を取り、その後、2年ほど造園業を仕事にしていた経験があったからです。もともと、ラジオ番組でアナウンサーとしてニュースを読んでいました。
造園学の学位取得後は2年間造園業を営み、雑誌でガーデニングの記事を執筆するようになりました。そして、テレビジョン・ニュージーランドでニュースと時事番組に関わるようになり、私がガーデニングの番組を担当するのは自然の成り行きでした。造園学の資格と話す技術、カメラの前での表情作りなど放送業界での経験が私にガーデニングの番組をもたらしてくれたのです。
「マギーズ・ガーデン・ショー」は1992年の3月、土曜日の朝早く始まりました。それから12年。金曜日の午後8時30分から1時間で定着し、毎回平均60万人から70万人が観ていました。そして、11月28日の「エレズリー・フラワー・ショー」特番で最後の放送を終えました。テレビジョン・ニュージーランドは大幅な番組改編を行い、多くの番組を見直す事に伴う終了でした。番組終了の内示を受けた時、3か月間考えました。辞めたくなかったからです。もし、辞めないと言ったら、「マギーズ・ガーデン・ショー」は続いたかもしれません。しかし、同じ番組を12年続けると言うのは新鮮味が欠けてきます。紹介するガーデンも数が少なくなって来ます。「マギーズ・ガーデン・ショー」を辞めても私はガーデニングに関わる番組を担当できると言う条件でしたので、終止符を打つことにしました。
2004年には世界のガーデンを紹介する番組を始めます。モロッコ、ボツワナ、南アフリカ、ギリシアなど、時にはニュージーランドからガーデンツアーを企画して、お客さんと一緒に世界中のガーデンを紹介していきます。また、女性週刊誌にガーデニングの記事を執筆することも決まっています。「マギーズ・ガーデン・ショー」が終わってもガーデニングから離れることはありません。
番組を辞めるかどうか考えた3か月間に悟ったことがあります。それは、トランプのポーカーに例えられるのですが、すべてのカードを手もとにキープはできないと言うことです。自分が欲しいものすべてを手に入れられないと言うことです。優先順位をつけるとトップに来るのは5歳になる息子です。

ガーデニングの啓蒙
造園学の学位を取った頃はガーデニングへの偏見も多かった。

ニュージーランドはガーデニングの国と言ってもいいでしょう。長い日照時間、適度な雨に代表されるガーデニングに適した気候、そしてDIY気質があり、自分の手で何でもやってしまうなど、潜在的にニュージーランド人はガーデニングを受け入れる意識を持っていたのだと思います。しかし、私が造園学の学位を取って、ガーデニングを仕事にすると言ったら、当時の70年代後半はガーデニングと言えば、他にやることがない人が関わる仕事、学校を途中で辞めてしまった人がやる仕事と思われていました。周囲の人が「まさか」と驚いていたのを今でも覚えています。
「マギーズ・ガーデン・ショー」は放映の12年の間に、偏見が強く、土をいじって汚れることなどから、好き・嫌いがはっきりしていたガーデニングの楽しさを教え、一般視聴者の興味を引き出し、仕事にした場合の価値観を上げるのに貢献したと思います。実際、大学やポリテク(専門学校)でのガーデニングコースは志望者が激増し、会社勤めをしていたホワイトカラーの人たちが仕事を辞めてガーデニングを志すケースが増えました。ガーデニングは想像力を必要とする仕事であることが理解され、将来性のある仕事になったからです。そのため、ガーデニングコースを受ける人たちの平均年齢はオフィスで責任ある仕事を担当し始める30代半ばだったほどです。

ニュージーランド・ガーデンとは?
「まだ、ない」ニュージーランド・ガーデンの定義。

ニュージーランド・ガーデンの特徴と言えば、ニュージーランドの原産の樹や植物を植え、庭とそれに隣接する部分が共有されて境界線がはっきりしないシリアス過ぎない気楽さで手入れされ、明るい色が基調です。どこの庭にもレモンの木と隣の家の庭とつながる芝、そしてトタンの小屋があったものです。
90年代初めのガーデニングはほとんどが手入れが簡単、色も単調で、石の彫刻などを好む、保守的なイメージのイングリッシュ・ガーデンでした。今でもクライストチャーチに行くとそれを実感すると思います。その後、樹になる大きなシダと先住民マオリの人たちが衣類や入れ物を作るのに使った長い葉のフラックスを植え、それらの植物の間に石の置物やニュージーランドのアワビであるパウア貝を使った噴水などを置く、モダンでシンプル、亜熱帯感覚のニュージーランド・スタイルが出現しました。
現代のニュージーランド・ガーデンはもっと進化しています。それは庭にイスやテーブルなどの家具を置いて楽しめる場所にすることです。アウトドアはもちろんのこと、インドアの生活も庭に持ってくることなのです。つまり、庭を一年中過ごせる場所にすることを考えるようになってきました。このところの不動産ブームの中で、ガーデニングの善し悪しで、不動産価値が大きく変わってきます。とは言っても、ニュージーランド人は庭を家の見かけを良くするだけではなく、いつでも楽しく、快適に生活するための場所として、考えるようになりました。最近はガーデニングの時間は減って来ていますが、むしろ、バーベキューをするなど庭で楽しむ時間は増えています。
今はニュージーランド・ガーデンとは何かという定義を確立中だと思います。インドアライフ、アウトドアライフを庭に持ってくる考え方あたりから、ニュージーランド・ガーデンのアイデンティティが生まれてくるのではないかと思っています。ニュージーランドは過去に自分達のアイデンティティを探す時に海外を参考にして来ました。しかし、もうその必要はないと思います。アート、ファッション、デザイン、音楽などニュージーランドがこのところ手掛けて来たものはニュージーランド人の愛国心やプライドで溢れています。ガーデニングについても同じです。ですから、ニュージーランド・ガーデンの定義は「まだ、ない」と言っておきます。ただし、100年以上の歴史があり、イギリスで毎年開催される世界最大規模の「チェルシー・フラワー・ショー」だけは無視できません。イングリッシュ・ガーデンを世界中に認知させたのは「チェルシー・フラワー・ショー」といっても過言ではないからです。

ガーデニングのアドバイス
マギーは単なるガーデニング番組のプレゼンターではない。プロとしての見識で番組を作っている。

ガーデニングをゼロから始める時には絶対に造園のプロのアドバイスを受けることをお勧めします。自分でもできてしまうと思いがちですが、プロが手掛けたガーデンはやっぱり違います。ニュージーランドにはガーデンセンターが至るところにあり、簡単に苗木が買え、庭に植えれば、その場で見栄えのいいガーデンになります。種から植物を育てることがほとんどなくなってしまい、育った苗木を手軽に買えるので、多くを植えてしまいがちなのです。それで庭ができてしまうからです。そこがプロとアマの違いなのです。私がアドバイスすることは一つの庭に10種類以上の樹や花を植えるのは多すぎると言うことです。せめて6種類、10種類以上になるのだったら、同じ種類の樹や花で揃えるべきです。
最近は不動産のブームで広い庭は切り売りされ、どんどん狭くなってきています。都市にできるアパートではもちろん庭はなく、ベランダです。私は狭い庭でも、たとえテーブルのサイズしかない庭でも、ベランダでもガーデニングはできると思っています。庭は我々の元気の素なのです。
ウエリントンの自宅の庭は5歳の息子のトランポリンとボール蹴り用のスペース以外は樹や花を植えています。樹になる大きなシダ、カエデなどを植え、手入れのしやすい庭になっています。撮影でニュージーランド中の庭を訪問していましたので、自分の庭の手入れをする時間が限られていました。
私はあまり料理はしませんが、庭で育てているハーブや野菜は食卓に次々と登場しています。料理は好きな人、得意な人に任せ、私はガーデニングにこだわって行きたいと思っています。

カテゴリ:テレビ
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