Vol.7 自由時間 ニュージーランドでリハビリのボランティア


オークランドにある病院を中心としたコミュニティエリア「Selwyn Village」そのリタイアメントビレッジは病院と老人ホームが合わさり、小さな街ができた感じといえば想像しやすいかもしれない。そこには現在約 650人の住人が暮らしている。敷地面積約3万1千坪の中にはスーパーマーケット、書店、銀行、シアターなどもあり、まさにビレッジとなっている。活動しているボランティアスタッフは一週間で延べ150人。そこで秀紀さんは患者さんのリハビリテーションのボランティアとして働いている。

リハビリテーションのボランティア:井沢 秀紀 さん<br /><br />今では孫のように可愛がってもらっています。<br /><br />78年2月生まれ。福岡県出身。長崎リハビリテーション学院理学療法科卒業。病院めぐり以外にニュージーランドに来たもう1つの大きな目的はスノーボード。今からは南島へ行き雪を楽しみながらこれまで同様の活動ができる場所を探している。

「ニュージーランドではボランティア活動をするという目的が最初からありました。高校を卒業後、理学療法の学校に通い、その後、整形外科の病院で3年間勤務しました。ですからここでもリハビリテーションに関するボランティアをして、ニュージーランドの医療現場に携わりたいと思っていました。

実は、日本で私が講習を受けたリハビリテーションのテクニックの基礎を考えた先生がニュージーランドの人だったのです。そういったこともこの国の魅力でした」

秀紀さんがニュージーランドに来たのは今年の1月であった。

「日本の病院に勤めていたときに外国人の患者さんもちょくちょく来ていました。言葉の不便を感じたこともありましたので英語の習得というのもワーホリの目的の一つでした。ですから最初は英語学校に行きました。その間にボランティアスタッフとして働ける病院や老人ホームを探し、そして紹介してもらったのがこのセルウィンビレッジでした。
ボランティア活動も、もともとは色々な病院を見るということが大きな目的でした。ですから、どんな内容であれ、そこでの仕事に従事できればいいと思っていました。
入って一週間、各部屋に10時のお茶を持って行くことや、レクリエーションプログラムの手伝いなど、私の仕事は全般的なお手伝いでした。そういった仕事のなかで、ここで働いている理学療法士の先生を見ているうちに、自分もそのお手伝いをしたいという気持ちが強くなってきました。一つには英語の勉強になる、もう一つには、せっかくこの国に来たのだからニュージーランドのプログラムを経験したいと思ったからです」

そうして理学療法士の先生に直訴。自分が日本で学び、行ってきたことを説明してリハビリのチームの中に入れてもらうことになった。

「リハビリテーションのお手伝いがしたいということをボランティアスタッフの統括マネージャーに相談しました。すると理学療法士の先生と話をする機会を作ってくれましたので、そこで自分の希望を一生懸命に訴えました。するとあっさりと受け入れてくれたのです。
最初は先生に一緒について患者さんのところをまわり、基本的なプログラムの流れを教えてもらいました。その後、先生からの指示を受けバランス訓練や歩行訓練などのリハビリを行うことになりました」

出勤は毎朝10時。秀紀さんの担当する患者さんは9人。1日で6~7人の患者さんのリハビリをするという。

「一人の患者さんと接する時間は30~40分ぐらいです。毎日の人もいれば、週に2、3回の人もいます。私はこの国では「HIDE」と書いてヒデと呼んでもらっています。ところがここではローマ字の読み方ではなく、ハイドと呼ばれます。特に高齢の方は、私はヒデだ、と言っても名札を見て、ハイドと書いてあるじゃないかと言い返され、私をハイドと呼ぶ方が多いですね。その話題も、英語に慣れない私の大切なコミュニケーションの一つです。そういった何気無いやりとりが患者さんとの距離を縮めてくれました。
もちろんリハビリの時間以外でもランチタイムに食堂でお話することもあります。今ではみんな僕のことを孫のように可愛がってくれます」

リハビリの方法そのものに日本もニュージーランドも大きな違いはないという。しかし患者さんを看るというシステムに違いがあると秀紀さんは言う。

「ここではドクター、理学療法士、ナース、そしてボランティアスタッフが立場の上下関係がない平行ラインで仕事をしています。お互いに患者さんに対して気がついたことはどんどん自分の意見として発言します。それがたとえ、ボランティアスタッフであろうとドクターやナースに助言できるようになっています。
これは患者さんにとっても、働く者にとっても、とてもいい環境だと感じます。そしてもっとも違うところは、平行ラインの中に患者さんが含まれているということです。病気の程度が軽い患者さんでもボランティア活動には参加します。ビレッジ内の掃除やガーデンの手入れ、映画館で上映会があるときの準備などにも患者さんがボランティアスタッフとして参加します。ただ単に患者として毎日を過ごしているのではなく、自分たちができることには積極的に取り組む姿勢は各患者さんが活き活きしている源になっているのかもしれません。また、その人たちは患者とスタッフと両方の視点で意見を言ってくれますので、私にとっては参考になることが多々あります。 
すべての人が楽しく仕事をしたり、暮らしたりしています。また70歳80歳の方でも年齢を感じさせないくらい若々しいです。それらは病気を治すということでは大切な環境だと思います」

患者さんやスタッフと仲良くなった秀紀さんであるが、8月以降はオークランドを離れる予定を立てている。

「この先は南島に行こうと思っています。スノーボードをすることも私の目的ですから。私が今、担当している患者さんの中に自分の息子がダニーデンに住んでいる方がいて、そこへ行くのであれば連絡をしてくれる、と言ってくれている人もいますので、ダニーデンに行くことも考えています。また、南島でもリハビリのボランティアができればいいと思っています」

カテゴリ:ボランティア
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