Vol.79 時代を飾るキウイ ボディケア製品リンデンリーブス創業者


透明なボトルの中に、バラやラベンダー、フルーツなどを封じ込めたボディオイル。日本でも人気のこの商品が、クライストチャーチで小学校教諭をしていた1人の主婦によって生み出されたことは、あまり知られていない。今では世界各国にネットワークを広げているLinden Leavesの創始者、ブリジット・ブレアさんにお話をうかがった。

ボディケア製品リンデンリーブス創業者・Brigit Blair(ブリジット・ブレア)さん【Profile】
クライストチャーチ生まれ。College of Education卒業後、小学校教諭としてダニーデンで勤務した後にクライストチャーチに戻り結婚・出産。パートタイムで教師に復職する一方でCollege of Educationでは教員養成等の要職に就く。1994年、Linden Leavesを創業。以後14年間、クライストチャーチの本社を基点として着々と海外ネットワークを広げている。ちなみに社名は大きく枝を広げる菩提樹のように発展していくことを願ってつけられたそう。

クライストチャーチ郊外にある、Linden Leavesのシンプルな社屋。ドアを開けると、ニュージーランドを代表する女性実業家となった今でも社長室を構えることなく、一般社員とデスクを並べて働くブリジットの笑顔が出迎えてくれた。

ボディケア製品リンデンリーブス創業者・Brigit Blair(ブリジット・ブレア)さん

西洋と東洋、新と旧のコラボで生まれたLinden Leaves

もともとナチュラル・ボディケアにはとても興味を持っていた私が、それを仕事にしようと思ったのは、子供たちが高校を卒業し、子育てに一段落ついた頃。当時はアンティーク家具の輸入を手がけていて、韓国に行く機会が多かったのですが、あちらでは自然の材料を使った質のよいボディケア製品をなかなか見つけられなかったのがきっかけです。美しく装うメイクアップ用ではなく、健康的で肌にもやさしいボディケア用品を作ってみたらどうだろうと思ったのです。もちろん南半球のニュージーランドから輸出するというのは、地理的なハンデもあって難しいとは思いましたが、上質の天然水をふんだんに使った、他にはないユニークな製品ですから、品質には絶対の自信がありました。

私たちキウィはそもそもヨーロッパからの移民ですので、美容においては西洋に古くから伝わる知識を持っていましたし、一方ニュージーランドは可能性をたくさん秘めた歴史の新しい国でもあります。こうして西洋と東洋、新と旧がうまく混じり合って、1994年にLinden Leavesが誕生しました。最初の3年間は家具の輸入を通じて得たネットワークをつてに韓国での販売から始め、その後日本にマーケットを広げました。ですからニュージーランド国内よりも日本での販売のほうが先だったんですよ。ボディオイルは今でも日本が最大のマーケットです。

ボディケア製品リンデンリーブス創業者・Brigit Blair(ブリジット・ブレア)さん

定番商品だけでなく、常に新しいことにチャレンジ

さて、ビューティーセラピーの分野では世界的な組売れ筋の商品は国や季節によってもずいぶん変ります。たとえば高温多湿の日本の夏はシャワージェルなどがよく売れますが、オーストラリアやニュージーランドなど乾燥している国では、一年を通してオイルや濃厚なクリームが人気です。ニュージーランド国内でも、オークランドとクライストチャーチではずいぶん違いますね。実際私もオークランドにいる時は、朝シャワーを浴びた後にオイルを塗れば1日中OKなのですが、クライストチャーチでは日に何度か塗らないとすぐ乾燥してしまいます。私自身、これなしでは旅行もできないほど、オイル中毒なんです(笑)。

そのボディオイルがLinden Leavesとしての最初の製品なのですが、この製品にはニュージーランドで育った植物を使用しています。今では中に入れるバラなども特別に契約しているファームで栽培してもらっています。単なるドライフラワーではなく、フリーズドライの機械を使ってマイナス45℃で凍らせ、その後プラス45℃まで温度を上げながら14日間かけてゆっくりと完全に乾燥させていきます。バラやラベンダーを束ねたり、イチジクなどフルーツをカットしてトレイに並べる等の手作業は、すべて本社工場で行っています。花やフルーツの姿を美しく保つために試行錯誤を重ねた結果、現在のような独自のシステムをようやく開発しました。

ボディケア製品リンデンリーブス創業者・Brigit Blair(ブリジット・ブレア)さん

また、もうひとつの人気商品としては、24金の金箔を使った「GOLD」シリーズがあります。東洋では古来より美容目的としても使われる金箔ですが、西洋では富や愛の象徴として表わされます。この2つの文化を融合させたものが「GOLD」シリーズで、もう10年以上も続いているクラシックな商品です。
このような定番商品とは別に、時代の流れに合わせて新しい製品の開発も進めています。つねに心がけているのはニュージーランドならではの最高の原料を使うこと、そして誠実で隠し事のない商品作りということです。また地球環境のことも考えて、家に帰ったらすぐ捨ててしまうような無駄な包装を省いたり、リサイクルできるパッケージを使用するよう努力しています。このようなことは実際なかなか難しいのですが、チャレンジすることも大切だと思っています。

お金のためだけでなく、働くことを楽しみたい

Linden Leavesを始めるに当たっては、最初から国際化を視野に入れていました。小さいブランドなので時間はかかりましたけどね(笑)。 ただ、この業界は有名ブランドの傘下に入らずに成功するのが非常に難しいので、そういう意味ではよくがんばったのではないかと思っています。国際化成功の秘訣は?と問われれば、ひとえに信頼できる代理店に恵まれたことでしょうか。最初は経済的な後ろ盾もネットワークもなかったので、大きな代理店にはあまり興味を持ってもらえなかったのですが、かえってそれがよかったのかもしれません。PRや製作、アートワークなどすべてを自社で行わざるを得ず、必然的にコミュニケーションを密にとりながら進めていくことができました。現在はアジアだけでなくアメリカ・カナダ・ヨーロッパ等にも代理店がありますが、手を広げすぎずに「正しい代理店」を選ぶことを重視しています。私たちが考える「正しい代理店」とは信頼関係。

ボディケア製品リンデンリーブス創業者・Brigit Blair(ブリジット・ブレア)さん

ただお金のために働くのではなく、働くことを楽しみたいと考えているので、人間関係・信頼関係・コミュニケーションは非常に大切です。たとえば返事1つもらうために3回もメールしなければならない相手より、すぐに返事をくれる人のほうと仕事をしたいと思うのは当然ですよね。そういうことの積み重ねが、信頼につながっていくのだと思います。私たちは本社と代理店という一方通行の関係ではなくパートナーシップ、言うなればファミリーのような存在になることを理想としているので、お互いの相性をとても大事にしています。もちろんそのために、本社からもガイダンスやトレーニング、勉強会などをどんどん提供して、お互いが「率直に・自由に・頻繁に」コミュニケートできるような努力も欠かせません。彼らの成功は私たちの成功、そして彼らのプロブレムは私たちのプロブレムでもありますからね。

ボディケア製品リンデンリーブス創業者・Brigit Blair(ブリジット・ブレア)さんさらなるグローバル化への道はゆっくりと

この仕事をしていて一番やりがいを感じるのは、やはり製品を開発したりマーケットを開拓したりして、新しい分野の扉を開けようとしている時です。たとえば最近で言うと、「GOLD」シリーズの製品がニューヨーク5番街の高級老舗デパートとして知られる「ヘンリベンデル」のトランクショー(新作コレクションの内覧会)に招かれたのはうれしかったですね。一流の舞台で世界に名だたる有名デザイナーの商品と肩を並べられることを、とても光栄に思っています。こうした大きな成功は、本社と代理店が一丸となってアイデアを出し合ったりして、お互いがうまく支え合っている時に訪れるような気がします。そしてやはりどんな時でも、信頼関係とコミュニケーションは欠かせない要素ですね。

今後はヨーロッパのマーケットを拡大してさらなるグローバル化を目指しています。ユーロに対してここ数年ニュージーランドドル安が続いて、輸出業者はどこも苦戦を強いられたので、そろそろ上向きになることを望みたいですね。ただし、あまり急いで広げようとは思っていません。現在1ヶ月に2件ほどの割合で代理店契約についての問い合わせをいただいているのですが、これからも信頼できる「正しい代理店」をじっくり選んでいくつもりです。

ボディケア製品リンデンリーブス創業者・Brigit Blair(ブリジット・ブレア)さんあせらずに自分のサイクルに合わせた人生を

毎年の目標に「もう少しゆっくりしたい」と掲げるほど忙しい日々なのですが、私生活と仕事のバランスがあまり上手にとれないのが悩みです。ちょうど今も締切り間際の原稿を抱えているんですが、なかなか書く気になれなくて...(笑)。会社を始めてからの14年間は子供も大きくなり、主人も歯科医の仕事が忙しくて、お互い仕事に没頭するにはちょうどいいタイミングだったように思います。でも今では私も孫がいる年齢になりましたし、両親も90歳代に入ったので、そろそろ私生活に重きを置きたいところですね。8月には夫婦でヨーロッパに行く予定があるので、とても楽しみです。仕事を兼ねて、ですけどね (苦笑) 。

ただ私の場合、今までを振り返ってみると、子供たちが小さい頃は子育てに専念して、子供が学校に行くようになったらパートタイムで復職し、その後こうしてビジネスを始めて14年が過ぎ、そろそろ私生活に重点を...という、とてもいいサイクルで仕事と家庭を両立することができたと思っています。今でも週のうち6日は働くという日々で、たしかに忙しいのですが、戦争を乗り越えた両親の世代はもっともっと忙しかったはず。まあ、私の世代としては少し働き過ぎなのかもしれませんが。とにかくハードワークをする人はどんどん少なくなっている時代ですよね。

最近の若い人たちを見ていると、生活のために共働きを余儀なくされるカップルが多い一方で、家を買ったりビジネスを始めたりと、人生の早いうちにあれもこれも全てを手に入れようとして、必要以上に働いているカップルも目立ちます。彼らを見ていると「求めすぎなのでは?」と思うこともたびたび。世代のギャップと言われればそれまでですが、他人と比べたり焦ったりせずに、自分のサイクルに合わせて長い目で人生を考えてみてはどうかしら、というのが若い人たちへのアドバイスです。

カテゴリ:美容
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