Vol.82 自由時間 ニュージーランドへ留学、IELTSコース受講


人はだれでも年齢と経験を重ねるにつれ、これまで上ってきた階段から別の階段にほんのちょっと飛び降りるだけでも大きな勇気が必要になる。階段はどこまで続いているのか、それは果たして安定しているのか。一昨年よりNZISTでの留学生活とガーデニングのボランティアをエンジョイしている佐藤圭さんと話していて、そんな心配は徒労であると感じた。ただ、その過程が心地よく潤ったものになればそれでいい。

ニュージーランド・NZIST留学生・佐藤圭さん【Profile】
日本で大学を卒業後、13年間の社会人生活を経て2006年にニュージーランドへ。現在、友人の勧めて知ったNZIST(New Zealand Institute of Science and Technology)のIELTSコースに通う。学業のかたわら、ニュージーランドらしいボランティアであるガーデニング作業に従事。住まいはシティの東、美しいコヒマラマビーチほど近くのフラットで、ここにある小さな庭も圭さんの手に任されている。

長い間くすぶっていた望み実現

ニュージーランド・NZIST留学生・佐藤圭さん

僕は小さな頃からずっと英語に興味があって、大学でも英語系の学部でした。にもかかわらず留学をしよう!というアクションを起こすまでには至らず、ずっとただ何となく「英語は出来ないより出来た方がいい」と傍観しているような気持ちしか持っていなかったんです。そして大学卒業後すんなり就職が決まったこともあり、留学への強い欲望は訪れぬまま、堅実な社会人生活を送ることになりました。

それから、サラリーマンとして忙しいながらもそれなりに充実した日々を過ごしていたのですが、いつも頭には留学という言葉が存在していました。それでもやはり、今は定職を持って安定しているし留学なんてとても現実的ではないと、自分の真の希望を心の方隅に追いやっていたように思います。
ただこのサラリーマン生活においては、年々経験を積み重ねていくうちに「この先この会社で働き続けていった場合、僕はこの辺りまでしか行けないな」というような自分の将来図が見えてくるようになってきていました。そしてそれは自分の理想とはズレていると感じたのです。そう一度思ってしまったら、無意識に押さえ込んでいた"留学"の文字がどんどん膨らみ始めてきました。これもタイミングとして受け止め、留学を見据えた転職を決意したんです。

日本の社会で、多分僕のような岐路に立つ方は実際はすごく多いのではないかと思います。特に男性にとっては一度社員となって働きはじめたら転職は一大決心です。安定した自分の居場所を捨てることや、金銭的なこと、将来家族を養うことなど、女性よりも心配事の種は大きいのではないかと思います。そういった理由もあって、ワーキングホリデーメーカーや学生の数も断然女性の割合のほうが多いのではないでしょうか。

転職先は運輸関係の会社で、トラックドライバーの仕事です。これまでのサラリーマンとはまったく畑違いの職場ですが、主に留学資金を貯めるためでしたので、仕事内容も体力的にとてもハードでしたが待遇や拘束時間は満足のいくものでした。ここでは約2年間働きましたが、余裕をもって資金繰りを含めた留学準備を整えることができたと思います。

NZISTへの入学

ニュージーランド・NZIST留学生・佐藤圭さん

先ほどお話ししましたが、大学では英語専攻で社会人だったブランクはあるものの一般の人よりも英語に触れていましたし語彙力もあると自負していたんです。だからまあ留学は初めてでも何とかなるだろうと思っていたのですが、それが自分の理想に反してまったく正反対。全然聞けず話せずといった具合でこの先どうなることかと不安にかられる毎日でした。日本人は皆同じで、中学、高校での英語学習は文法や単語など暗記重視の勉強方法のためか、クラス分けテストなどで良い結果を取れたりするのですが、逆に臨機応変に言葉を選んで話すということに関しては他の国から来た学生より大分劣っていると感じました。だから最初はとにかく発音が悪くても文法が合ってなくとも"話すことに慣れる"練習が大事だと思います。

僕が現在通うNZIST(New Zealand Institute of Science and Technology)を知ったのは、ある友達が「とてもリーズナブルな学校があるから行ってみたら?」と教えてくれたのがきっかけです。この留学はもちろん自費での滞在なので、できるだけ授業料が安い学校に行きたいと思っていたのですが、いくら安いからといって内容を無視して選ぶのは避けたいと思っていたんです。でも実際NZISTに来てレッスンを受けてみたら、自分の持っていたイメージはすべて覆されました。校内はとても活気があって、さまざまな国籍の生徒、先生、スタッフみんな仲良くしていますし、みな誰とでも気軽に声を掛け合っています。初日にこんな学校の雰囲気を味わったので、入学はすぐに決定しました。

現在、僕はIELTS(International English Language Testing System)のクラスを受講していますが、クラスの先生はとてもエネルギッシュで愉快で生徒のやる気と発言を引き出してくれる、そんなベテラン講師です。宿題はあまり出されないのですが、このクラスの授業スタイルのせいか英語をひたすら真面目に勉強するというよりは、英語を自然と使えるようにさせてくれるように感じます。このNZISTでは英語コースだけで約200人の学生が勉強しているそうなんですが、一クラス10人前後ですし皆仲良しなのでリラックスして楽しく勉強できるのではないかと思います。あと、時間帯も午前中からのコースか午後2時からのコースを選ぶことができるのが僕にとって利点です。普段の午前中は、縁があって知り合いに紹介されたガーデニングのボランティア作業をしているので、僕は午後からのコースを取っています。

ニュージーランドで初めて知ったガーデニング

ニュージーランド・NZIST留学生・佐藤圭さん

ガーデニングボランティアは主に個人の家の庭で行っているんですが、ニュージーランドでは基本的にどこの家の庭もわりと綺麗に手入れされているように思います。日本の都会ですと一軒家でもちゃんとした庭があるのは珍しいですし、さらにそれが整然と花の植え込みなどがなされていたりしたら、ちょっとした町のうわさになりそうなくらい特別ですよね。でもニュージーランドでは前庭があるのが普通ですし、どこの家も好きな草木を植え芝を敷き詰めています。休みの日には庭で食事をしたりワインとともにおしゃべりを楽しんだりと、家だけでなく庭への愛着心もとても強いのではないかと思います。

作業内容は庭の手入れ全般で、目的は庭をきれいにすることですが、時には庭の雑草を取り除くような細かいことから、木の枝を切ったりといったことまで、一人で出来る範囲内であれば何でもしています。始めた当初は勉強との両立でとても疲れていたのですが、慣れていくうちに植物や土の感触や匂いや色によって癒されるのか何ともいえぬ心地良さに変わっていったんです。土いじりをしているとリラックスできるような気がします。

今まで僕は、ガーデニングの知識、技術はおろか、土に触ることすら日本ではなかったうえに、ガーデニングに対しての興味もまったくなかったので、この国のガーデニング事情もしばらくの間知らなかったんです。たまたまこのボランティアを始めたことによって、庭の持ち主などいろんなニュージーランド人と会うようになってから初めてこの国はガーデニング好きの人がとても多いことを知りました。

実際に相手にしているのは土や木や草花ではありますが、人とコミュニーケーションで得るものもとても大きいです。こちらが一生懸命に作業をしているとそれが伝わるのか、相手がすごく喜んでくれますし、こんな基本的なやりとりがやる気の原動力になっています。あと彼らにとって僕は外国人であり、ボランティアワーカーとして理解されているので、日本語では分かるけれども和英辞書には載っていないような植物の名前や、ガーデニングの専門用語を教えてもらえるといったことも多々あります。一つ一つが貴重な経験です。ニュージーランド人がどれほど身近に緑を感じているか、愛しているかということも彼らとのふれ合いで感じることができました。

毎日を充実したものに

ニュージーランド・NZIST留学生・佐藤圭さん

このボランティアはニュージーランドにいる間はずっと続けていきたいと思っています。ガーデニングのガの字も知らない素人同然で始めたことですが、どんどん興味は強まる一方です。NZISTでの時間以外は、ほとんどガーデニング関係に時間を費やしているかもしれません。自分の住むフラットの庭いじりをしたりするほか、図書館にもしょっちゅう通っています。たいていガーデニング関連の書籍を読みあさっています。

これで、例えば自分がもし結婚していて子供がいるとか、誰かの世話をする必要があるとか、自分の意志のみで行動することが難しい場合もあるわけです。だからこの留学は全ての良いタイミングによって叶えられたと言っても過言ではありませんし、周囲への感謝の気持ちはいつも忘れずにいたいと思っています。

実は今後の計画はあえて立てていないんです。日本に帰るかもしれませんし、このままニュージーランドに残りIELTSコースを延長してもうしばらく英語の勉強をするかもしれません。造園関係の学校でしっかり基礎から勉強するのもいいですね。ただ、先にすべてやることを決めてしまって、そういった予定にがんじがらめになるよりは、行き当りばったりでもその日その日を楽しく充実したものにしたほうがニュージーランド的かなと思っています。人生あせる必要なんてないわけですから、肩肘張らずにゆっくりのんびり、この国でしてみたいことをこれから探していきたいです。

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