Vol.82 Career up in NZ ニュージーランドでヘア&メイクアップアーティスト


日本人でありながら、日本は自分が生活したい国ではないと違和感を持っていたという藏永美鈴さん。日本での中学校生活を途中で切り上げ、大好きなニュージーランドへ単身移住。ニュージーランドの学生生活で、自分の好きなことに集中して長所を伸ばし、ヘアメイクアーティストの道を選び、切り開いてきたという。そんな美鈴さんにこれまでの道のりと、今後の夢と目標について語っていただいた。

Misuzu Kuranaga  藏永 美鈴 さん ヘア&メイクアップ・アーティスト【Profile】
大阪府出身。1984年6月4日生まれ。1998年中学3年時、単身でニュージーランドへ移住。Hendersonの高校中退後、Samara Robinson Academy (メイクの専門学校)半年コース終了。2001年よりヘアサロンToni & Guyでアシスタントから始め、ワークビザ取得。2003年スタイリストへ昇格 。ヘアスタイリストの大会での優勝、業績を認められ、2007年永住権取得。2008年6月より念願のMACで活躍中。

個性を大切に、長所を伸ばすニュージーランドの教育

日本にいた時から、日本は自分の住む国ではないと思っていました。家族、友達ともとても仲がよかったのですが、中学での服装、髪型を厳しく取り締まる校則をはじめとする管理教育にどうしても馴染むことができませんでした。

小学5年生の時に参加した世界中の同年齢の子どもが参加するサマーキャンプで、一番仲良くなったのがニュージーランドの友達でした。その時、もっと英語ができたら、もっとたくさん話し合えて、もっと理解できたのにと、とても悔しい思いもありました。そして、いつかニュージーランドへ行き、もっと英語を話せるようになりたいと思いました。中学2年生のときに一週間のニュージーランドでのホームステイを経験し、ニュージーランドに到着した瞬間から、この国こそ自分の住みたい国だという直感が確信に変わりました。

そして、両親の理解とサポートもあり、中学3年生の春に中退し、ニュージーランドのHenderson High Schoolに編入しました。本当のところ、当時の私は英語を全く話せませんでした。それでも、Kiwiの友達がたくさんできました。いつも笑顔で、分からないことを言われたら意味を聞く、手にたくさんの新しい英語を書いて覚える。その繰り返しでたくさんのスラングをはじめ、いろんな表現を覚えました。

ニュージーランドの学校生活も大好きでした。校則をはじめ、皆に同じ学習内容を同じレベルで求める日本の学校と比べると、服装やルールなど個人の個性が尊重され、自由な環境が守られているニュージーランドの学校は、私にとって天国でした。自分の持っている長所を認めた上で、伸ばしてくれることも、日本の学校との大きな違いだと思っています。私は、とくにArt(芸術)が大好きでした。Artの先生も、そんな私を目にかけてくれ、一日に3、4クラスもArtの授業を受けることができました。ランチタイム中などに友達の髪のスタイリングや、メイクアップをするのが大好きで、よく練習しました。何より人の喜ぶ顔を見るのが大好きな私にとって、ヘアメイクアップの仕事は天職ではないかとその頃から思い始めました。

ヘアメイクアーティストの夢と永住権

ニュージーランドでヘア&メイクアップ・アーティスト

もっとメイクアップを勉強したいという思いが募り、高校を2年半で中退して、専門学校に半年間通い、メイクアップとヘアスタイリングを習いました。そのとき、MAC(コスメティックブランド)のメイクアップに出会い、一目惚れしました。その瞬間からMACで働くことが私の夢になりました。先生に、「私にMACで働ける可能性がありますか?」と聞くと、「MACで働くには、ニュージーランドの永住権が必要」と言われました。どう考えても、学生ビザの私が永住権をいきなりとるのは無理です。専門学校を卒業した後、美容師の学校にも行きたかったのですが、学費があまりに高くあきらめるしかありませんでした。

そんな時、ニュージーランドの美容院では、アシスタントから始めて、美容師の技術の全てを教えてもらえることができること、また運が良ければ就労ビザまでだしてもらえるかもしれないと言うことを友達から聞きました。すぐにいろんなサロンにCVを持っていきました。そして、幸運にもToni & Guyから連絡があり、そこでアシスタントをすることになりました。

ニュージーランドでヘア&メイクアップ・アーティストスタイリストとして2年半が過ぎた頃、MACの夢を実現させるためにも、永住権を取ろうと考えました。日本人の弁護士さんに相談してみると、私が大学も美容師の学校も行っていないということで「絶対に無理」と言われました。ショックでしたが、永住権を取ったばかりの私の友達が「美鈴なら絶対とれる」と応援してくれました。いろいろ調べた結果、美容師としての学歴がなくても、大会での受賞がポイントになることが分かりました。スタイリストになる前、YPS(Young Professional Stylist)という大会で、ニュージーランド全国からの優勝者30人からColour awardとFashion awardの優勝者が選ばれるのですが、私はFashion awardを獲りました。また、Toni & Guyでも、毎年1、2回大会があり、これまで7回優勝しました。これらの受賞経験がポイントとして認められ、申請から半年後に念願の永住権を取ることができました。今までの人生で一番嬉しかったです。

Toni & Guyで、シャンプーすらできなかった私は、ゼロから美容師の技術すべてを教えこまれました。ボスが優しく、教え方がとても上手だったので、どんどん仕事を覚えていきました。週2回仕事後、モデルを連れて来てカットの練習をしました。仕事は大変でしたが、職場の人は皆とても良くしてくれ、働くことは大好きでした。私の大好きなスタイリストさんが、「アシスタントの時に掃除が完璧にできる子は、素晴らしいスタイリストになるよ。」と言ってくれました。私は掃除も練習も本気で頑張りました。アシスタントをしている間に就労ビザを取ることができ、2年後には念願のスタイリストになることができました。一番苦労したことは、カットモデルを自分で見つけてカットの練習をすることでした。スタイリストになるためのテストでは、10人のモデルを見つけて、カットとメイクをしてCat walkショーをしなければなりませんでした。

憧れのブランドMACが自分の仕事場になる

ニュージーランドでヘア&メイクアップ・アーティスト

MACで働くことをずっと願い、去年2回MACへCVを持って行きましたが、連絡はありませんでした。トライしなければ、チャンスはゼロですから、今年こそと思い、CVをまた持って行きました。思いが通じたのか、インタビューの連絡が来ました。でも、インタビューで全く答えられない質問をされ、その後3ヶ月連絡がありませんでした。ダメかと思った頃、5年間勤めたToni & Guyの向かい側にあったMACに、インタビューに来ないかと連絡がきました。奇しくも私の誕生日でした。MACについて必死で勉強し、前のインタビューで答えられなかった質問に答えることができ、念願のMACの仕事をとることができました。その夜は、嬉しさのあまりたくさん泣きました。

ニュージーランドでヘア&メイクアップ・アーティストMACで仕事を始めてから4ヶ月になります。先月のニュージーランド・ファッションウィークでも、メイクの仕事が入り、素晴らしい経験ができました。MACの化粧品の何百種類ものカラーをその日の天気、お客さまの服装、気分に合わせて、コーディネートするのは、本当に楽しいです。MACでは毎月新商品が出るのですが、今月はミネラルがコンセプトで、ミネラルウォーターのようにキラキラとした透明感のあるメイクアップ商品です。MACの職場は、スタッフは勿論、お客さまが心からメイクやファッションを楽しめる所です。「全ての人種、性別、年齢の方」が、その人に最高に合ったメイクアップを創造することをモットーにしています。私も、お客さまの笑顔とスタッフの楽しそうに働いているこの職場で100%楽しみながら働けて、とても幸せです。また、Toni & Guyの元同僚が、彼自身のサロンを開いたこともあり、MACの勤務日以外は、そこで大好きな美容師の仕事も続けています。

そして、いつか自分のお店を開けたらいいなと思っています。お客さん、スタッフ、私自身がそこに居ること、働くことを心から楽しめるようなお店が理想です。

今、こうして大好きなニュージーランドで、夢だったMACの職場でのメイクの仕事と、美容師の仕事ができているのは、一番に私の意志を尊重し、私を信じて、サポートし続けてくれた両親のおかげです。本当に両親には、感謝しています。

ニュージーランドでがんばっている日本人の方へ

ニュージーランドでヘア&メイクアップ・アーティスト

心に温めている想い、やってみたいことは、どうか全て実行して経験してみてください。自分でダメだと信じ込んだり、そんなことはとても無理だと人から言われたからといって、簡単にあきらめずに。人生はチャレンジがあるからこそワクワクするし、何かを成し遂げたとき、心の底からやってみて良かったと思えます。とくにニュージーランドでは、私たち日本人は外国人です。ですから、英語をはじめとして、いろんな面で完璧でなくても、また普通でなくても良いのだと思います。ニュージーランドで、なってみたいと思う自分になろう、近付こうとしてみてはいかがでしょうか?

私は、メイクアップアーティストとして、美容師として、みなさんの「なりたい自分」に近付いて行くお手伝いをこれからもずっとしていきたいと思っています。

カテゴリ:美容
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