Vol.82 時代を飾るキウイ GEOSディレクターDoreen Ann Hardyさん


今年3月に日本の文部科学省が告示した小学校学習指導要領において小学校5・6年で週一コマ「外国語活動」を実施することが決まった。こうした決定は、今後、英語を教える側の人間のニーズを増やすと予測されている。
そんな中、世界のトップレベルにある英語教授教育機関「CELTA Teacher Training Centre」のヘッドとして、オークランドで英語教師やそのトレーナーを育てているドリーン・ハーディの元には多くの英語教師希望者が集まってきている。英語が話せて書けることと、教えることは別のことと考えるドリーンは一人でも多くの質の高い英語教師を世に送り出していきたいと言う。

Doreen Ann Hardy ドリーン・ハーディーさん  Director of Studies GEOS Auckland Language Centre【Profile】
イギリス生まれ。ケンブリッジ大学が定める英語教授法CELTAの教師やそのトレーナーたちを総括するアセッサーとしてマネージメント業務を行い、そして自らが望む教壇にも立っている。タイをはじめ、各国の教育委員会に英語教授法を教えに行くことも多々ある。またドリーンの元には各国から生徒が集まっており、これまでには同じ英語圏のカナダの生徒もいたほど、信頼性と知名度はピカイチ。


世界に通用する資格
Doreen Ann Hardy ドリーン・ハーディーさん  Director of Studies GEOS Auckland Language Centreみなさん「CELTA」という言葉を聞いたことがありますか?英語を学んでいる人はすでに耳にしたことがあるかもしれません。正式名称はCambridge Certificate in English Language Teaching to Adultsで、国際的に認知されているTESOL(Teaching of English to Speakers of Other Languages英語以外の言語を話す人に対する英語教授法)資格です。これはイギリスのケンブリッジ大学で考案された英語を母国語としない人たちに英語を教えるための世界資格で、基本的にはネイティブスピーカーを対象としたものなのですが、もちろん読み書きにおいてネイティブと変わらないノン・ネイティブにも門戸は開かれています。

少し極端なことを言えば、たとえ英語教授法の資格を持っていなかったとしても、いろいろな国で非公式に英語教師として就業することは可能です。ただ、最終的にちゃんとしたポジションに就こうと思うのであれば、何らかの認定書は必要ですし、そのなかでもCELTAは知名度、信用度共に高いものになっています。私がGEOS Auckland Language Centreで現在、指導に当たっているのはこのCELTAのコースなのです。また、英語を母国語としない学生が参加できるTESOLやTECSOL(Teaching English to Child Speaking of Other Languages英語以外の言語を話す子供に対する英語教授法)コースのトレーナーでもあり、プログラムの管理も行っています。

英語を教えることから、先生を教えることへ。
Doreen Ann Hardy ドリーン・ハーディーさん  Director of Studies GEOS Auckland Language Centreイギリスで生まれて、仕事ではずっと英語の教育に携わってきました。その後、アラブ首長国連邦やカタールなど中東でブリティッシュ・カウンシルに勤めていました。ブリティッシュ・カウンシルとはイギリスの公的な国際文化交流機関で、各国でその国と英国の学校間の交流プログラムを行ったり、IELTSや高等教育機関や資格授与団体の試験を行ったりしているところです。ここでもやはり英語教育に携わってきました。
こうして英語を教えているうちに、次のステップが見えてきました。それが、英語を教える人を育てる、ということでした。そしてCELTAのコースに挑んだのです。つまり、みなさんより少し先輩ということになると思います。

CELTAコースを終了後、さらにステップアップを考えました。今度はCELTAコースの先生になりたいと思ったのです。そのためにまずは5年間いろいろなタイプの英語、一般の英会話から始まり、ビジネス、IELTS、ケンブリッジなどありとあらゆる英語を教えました。こうしてCELTAのチューター、つまりCELTAコースを教える先生になりました。
ところが、私の気持ちはそこで収まりませんでした。今度はCELTAのチューターを指導する先生を目指しました。これは先生というよりは査定をする人と言った方が正しいのかもしれません。ちょっとややこしいかもしれませんが、英語を教える人の先生の指導教官を指導・統括していくアセッサー(試験官)と呼ばれる立場になったのです。これは大変に名誉なことで、それと共に大きな責任がでてきました。なにしろ、このアセッサーは世界でも限られた人数で、特に児童用のCELTAにおいては20数名しかおりません。そして我々アセッサーが、毎年約10000人の修了者がでるCELTAコースを統括し、その質が落ちないように内容を把握する必要があるからです。

教壇に立ち続ける
Doreen Ann Hardy ドリーン・ハーディーさん  Director of Studies GEOS Auckland Language Centreこんな風に話をしていると話が少し大上段になってしまい、現在の私は主にマネージメントの部分に携わっているように思われてしまうかもしれませんが、実はそうではありません。CELTAのアセッサーとなっている今でも、私自身は英語教授法教育の現場に立ち続けているのです。
中東からニュージーランドに来て、GEOS Auckland Language Centreの面接の場で、私は「仕事を探すために今日、ここにいるわけではありません。仕事ならもうする必要はありませんから。私が探しているのは自分の持っている技術を後進に伝える場所、つまり私にとっての誇りを探しているのです」と少し、ドラマめいたことを言ってしまったのです。それほど私は生徒の前に立つことが好きですし、それが私の使命だと思っています。

特に日本のみなさんの前に立つ機会としてはTESOLコースやTECSOLコースになります。英語を教える場合も英語教授法を教える場合も授業の内容は一般的に、クラスを担当する先生の個性に大なり小なり、ゆだねられる部分があります。しかし、そんな先生たちの個性に頼った授業だけでは私がいる意味がありません。では、私が統括するコースの意味は?と言いますと、やはり一番は授業の内容も先生も、ケンブリッジ大学の標準に基づいているということです。ケンブリッジの検定が世界の中で認められているのはスイスなど、英語が母国語でない国々の教育機関が同検定を採用していることからもわかることと思います。
どちらのコースも共に、この標準に基づいたカリキュラムを取っていますし、講師ももちろん同スタンダードに基づく人たちによるものです。これはCELTAが定めているチェック項目に照らし合わせて一回一回のレッスンでそれをフィードバックしていき、生徒が卒業後、どんな国に行き、誰に英語を教えようとも、ちゃんと通用する力がつくようになっています。

世界中で通用する結果を
Doreen Ann Hardy ドリーン・ハーディーさん  Director of Studies GEOS Auckland Language Centreまた、TESOL、TECSOLどちらのコースにおいても、入る前に生徒とは、私、あるいは他の先生が、話をして本人の意思確認をする機会を設けています。なぜなら中途半端な意志では到底、参加し続けることができないくらい厳しい授業を行うからです。

授業は5週間ですが、生徒たちは1週目には「これから授業についていけるだろうか?」という不安を感じていたり、「よーし、英語の先生になるぞー」という期待に胸を膨らませていたりします。2週目に入ると、あまりの授業の厳しさに「なんでこんなコースに入っちゃったんだろう」と少し後悔しはじめます。コース真ん中の3週目はとにかくパニックに陥っています。4週目になると「もう、私は先生(私のこと)なんて大嫌い。顔も見たくない」と思いながら机に向かいます。しかし、5週目の最後には、英語の先生としてどこでも通用する実力がつき、「やり遂げたぞー」という充実感を味わうことになります。いろいろな意味で、私の授業を受けた生徒で涙を流さない生徒はほとんどいないのかもしれません。
これは全て本番のテストで恥をかかせないためのことです。そのために期間中はたとえ「大嫌い」と思われても厳しく授業を行っています。
そして、卒業のときは私も生徒と一緒になって泣きます。厳しいことを言う私を信用してついてきてくれた生徒たちに感謝の気持ちで一杯になりますし、生徒たちはそれまでの授業の中で「がんばる癖」がついているため、まだ終わりたくないという気持ちもあるみたいです。

先生になりたいという気持ちが必要
Doreen Ann Hardy ドリーン・ハーディーさん  Director of Studies GEOS Auckland Language Centre今から英語の先生になりたいと思っている人たちに聞きたいことがあります。それは「あなたは本当に先生になりたいと思っていますか?」「大きな情熱を持ってそう思っていますか?」ということです。教える立場になるということは決して簡単なことではありません。英語が話せる、書けるということと、それを教えることは全く違うことだからです。

英語を教える道に入ろうとするとき、おそらく誰もが一旦、今自分がいる位置よりも低いところに行かなくてはなりません。それは今まで英語が話せて、書けた人にとっては辛いことになると思います。それでも強く、先生になりたいという情熱を持っていられる人だけがコースを最後まで続けられるのです。そして最後まで続けた人だけが、「これはジャンプをするときに、弾みをつけるためにしゃがむのと同じだ」ということに気がつくのだと思います。私はこれまでそのお手伝いをしてきましたし、これからも一人でも多くの世界で通用する先生を育てていきたいと思っています。

カテゴリ:学校スタッフ
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