Vol.140 Alister Gates / ニュージーランド製品を日本に売る救世主 |
インターネットで世界中の様々な情報にアクセスできるようになった利便性を活かして、“世界の果て”と冗談を言われる南半球の島国ニュージーランドからでも商品を世界に売り込んで成功しているのがWorld Wide Accessだ。日本マーケット責任者のAlister Gatesは日本在住の経験があり、Amazon Japanや楽天を通してすでにいくつものニュージーランド製品を紹介し、各ショッピングサイトのカテゴリー内ベストセラーを達成している。
ニュージーランド製品を世界へ World Wide Accessはニュージーランドの製品をネットを通して世界各地に紹介、販売するのが仕事です。2008年に創業以来、2011年にニュージーランドのアメリカ商工会議所からExporter of the Yearに選ばれ、2012年にはニュージーランドの企業で最も成長の早い50社の中に選ばれるまでになりました。 今まで海外に製品を輸出したいと思っていたニュージーランドのメーカーは各国で開かれる展覧会や博覧会にサンプルを送って、それから人材を送ってと、時間も費用もかさむ大変な仕事でした。World Wide Accessは簡単に少ない初期費用で海外マーケットに進出する機会を与えることができるのです。ネット上で販売、集金、配送ができる時代だからです。 私たちがメーカーや輸出業者にアドバイスするのは、まず初めに最少量を現地に送り、ネットを通してマーケットに紹介して数ヶ月様子を見ます。そして徐々に輸出する量を増やして行きます。そうする方がリスクが少ないでしょう? サンプルで赤色をたくさん送っても、実際にマーケットでは緑色や青色の方が人気があるかもしれないからです。輸出の際には一つのコンテナを各メーカーやエキスポーターでシェアをして効率的に安く送れる輸送手段を提案し、通関を経て各国の倉庫に保管します。その国の言語で各商品を紹介、販売するウェブサイトShoppingMoaに掲載します。そこを経由してメジャーなショッピンスサイトにリストアップします。アメリカですとアマゾン、日本でしたら、アマゾン・ジャパンと楽天です。その後は各カテゴリーの中で上位に来るようにメンテナンスをして行きます。これらをアドバイスするのがWorld Wide Accessの仕事です。 我々の日本語ウェブサイトShoppingMoa.jpはニュージーランドの商品を紹介している他のウェブサイトでは扱われていない特色のある商品だけを紹介しています。
私は日本にいた経験がありましたので、日本マーケット担当になったのですが、実は日本マーケットはニュージーランドの輸出業者やメーカーにとって参入しにくいマーケットの一つなのです。ニュージーランドが得意とするスキンケア製品、乳製品や蜂製品ならば日本で大ヒット間違いないものがたくさんあります。ですが、その中の成分で日本国内での流通が認められなかったり、関税が100%以上かかったりするなどの規制があるため、ニュージーランドでは売れている商品が日本では販売できないのです。とは言っても日本は一度人気になるとバカ売れします。 Lifesocksという靴下があります。アッシュバートンで作られているウール製の$44もするハイテク靴下です。ショッピングサイトにアップした直後はまったく反応がありませんでした。ですが、「ゴルフ」、「ウォーキング」、「アウトドアスポーツ」などの言葉を加えて紹介するようになった直後から売れ始めました。値段が高くてもしっかりとその製品の良さを説明して行けば、認められるという例ですね。 もう一つあります。Mumi & Bubi社の離乳食冷凍トレーです。手作りした離乳食を小分けにして冷凍保存できるプラスチックトレーです。トレーの素材は有害物質を出さない認定を受けています。一つのトレーに21個のキューブがあり、そこに離乳食を入れて冷凍しておきます。一つのキューブは約大さじ2杯分の容量なので、赤ちゃんの食欲に応じて何キューブ分を取り出せばいいか、お母さんならすぐ分かりますよね? 残りはふたをつけてまた冷凍庫に戻せます。このトレーは類似品が少なかったのですぐ火がつきました。 今後、日本で火がつくかもしれない製品はMerino Kidsという赤ちゃん用メリノウール寝袋です。冬は暖かく、夏は涼しく、においがつきにくく、洗濯、乾燥も簡単にできるので、室内ではこの中に赤ちゃんを入れておけば快適な温度の中でぐっすり眠れます。忙しいお母さんにとってはありがたい製品ですよね。
World Wide Accessはバーチャルカンパニーです。ですから、オフィスは特にありません(このインタビューはオークランドのイーキューブのオフィスで行われた)。私はオークランドの北、車で40分ほどのWhitfordに、また創業者のポール・グレイはオークランドの南Pukekoheに住んでいます。その他のスタッフ10人も各人の家をオフィスにしています。私がオークランドに出て来るのは週に1回あるかないかです。それも輸出をしたいというメーカーの人たちと会う時だけです。ネットの仕事は世界中どこにいてもでき、勤務時間も自由にできる仕事です。生まれたばかりの子供を抱えている身なので、家で仕事ができるということは子育てに安心感が生まれます。朝8時に仕事を始め、午後6時に仕事を終わらせますが、その間に私の隣で子供が寝ているのを見届けながら仕事ができます。また、日中に近くの森や港を歩いたりして、気分転換ができます。クライアントが満足するクオリティを期日までに完成させれば、いつどこにいてもできるバーチャルのメリットを生かして仕事をしているのです。 私は今までにいくつかの会社を興し、売却して来ました。ハードウェア会社、二つのソフトウェア会社、カフェ、ビデオショップ、そしてシティにあるニュージーランド・トレード・センターも手がけました。私は起業家として小さな会社を大きくし、それを続けて行くことが仕事だと思っています。World Wide Accessも近いうちに売却できるようになるかもしれません。でもその前に日本にニュージーランド製品をもっと広めたいと思っています。
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