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Kirsten Taylor
New Zealand Health Shop社長

勝亦 秀彰
Whitireia New Zealand
Bachelor of Applied Arts 留学生

大塚ゆかり
National Technology Institute学生 ほか

Vol.30 時代を飾るキウイ ラワカ・マオリ・ヴィレッジ代表

サンプルイメージ   ラワカ・マオリ・ヴィレッジ代表 Suzanne Paul さん
これでやっと、オークランドでマオリショーが観られるようになります。

オークランドのハーバーブリッジの下、ノースショア側にある有名な海辺のレストラン「Fisherman's Wharf」が営業を停止して何年になるだろうか?かつては日本の観光客でごった返していたシーフードのメッカは今年の初めまで、建物の姿、形をそのまま残して、ひっそりとたたずみ、次なる主人を待ち望んでいた。
そこで登場したのが、テレビショッピング界の顔といわれるスザンヌ・ポールだ。英国の労働者階級の街で生まれ、たたき上げでニュージーランドの通販会社のオーナーにまで登り詰めた「通信販売の女王」が4月に全く新しいビジネスである、マオリ文化センター「Rawaka Maori Village」を「Fisherman's Wharf」の跡地にオープンしたのだ。
ニュージーランド人ではないから「マオリ文化を理解していない」、したがって、「ビジネスはうまく行かない」などと批判され、協力を仰いだマオリにも後になってその約束を反古にされるなど、数々のあつれきを乗り越えてオープンにこぎ着けたエネルギーは「なぜ、オークランドでマオリ文化に触れることができないのか?」という本当に単純な疑問から発している。
通信販売で90年代のニュージーランドのサクセスストーリーを作り上げた経験が観光業界でどんな成果を見せるか、ニュージーランド中が注目している。

ラワカ・マオリ・ヴィレッジ代表

Suzanne Paul
スザンヌ・ポール
ラワカ・マオリ・ヴィレッジ代表 / Managing Director, Rawaka Maori Village

英国の工業地帯の街ウォルバーハンプトン出身。1991年、商品の実演販売の仕事でオーストラリアに出張の傍らニュージーランドに立ち寄り、定住を決意。ニュージーランドでも一貫して物販にこだわる。テレビでの通販コマーシャルを駆使して、マッサージ枕や化粧品「Natural Glow」などで大ヒットを飛ばし、90年代のサクセスストーリーとうたわれる。会社を売却後、新事業「Rawaka Maori Village」を起し、観光業にチャレンジを始めた。

0から始めたビジネス
実演販売から訪問販売、そしてテレビショッピングへ

生まれがイギリスのウォルバーハンプトンという工業地帯の街で、労働者階級の家族で育ちました。もちろん廻りには両親と同じ労働者の人たちばかりでした。私は若い頃から街頭やイベント会場で実演販売を仕事にし、磨き粉、皮むき機、包丁などを売っていました。1991年に、たまたまこの仕事でオーストラリアに行くことになりました。チケットがニュージーランドに一度立ち寄れるストップオーバーでしたので、仕事の合間にオークランドに来てみたのです。イギリスやオーストラリアよりもより多くのチャンスがあり、何かを始められるように感じたので、住むことにしました。しかし、私が持っていたお金は約20ニュージーランドドルでした。
最初の仕事は掃除機の訪問販売でした。一軒一軒の家のドアをノックし、掃除機の説明をして、買ってもらうのです。もちろんあまり売れません。ですから、ビクトリア・パークマーケットでコーヒーを売ったり、カフェのウェイトレスをして、生活費を稼いでいました。しばらくして、後のビジネスパートナーとなる男性と出会い、私が今までイギリスで関わっていた実演販売ビジネスが面白いというので、1992年に会社を設立し、イギリスからいくつかの商品を輸入してニュージーランドで販売することになりました。まず、マッサージ機能のついた枕をオークランドの西部にある、ヘンダーソン・ショッピングモールで販売しました。寝具の裏方でしかなかった枕にマッサージ機能を付けて主役にしたことが良かったのかもしれません。良く売れたのです。しかし、一人の人に売ってしまうと、同じ人がまた買ってくれることはありません。そこで考えたのが消耗品でした。特に女性ならば必ず使う化粧品でした。顔、体中のあらゆる部分に塗ると自然で健康的に日焼けをしたかのように光って見える化粧品「Natural Glow」を開発し、マーケティングと販売を開始しました。

テレビショッピングの女王
自分で脚本を書き、出演したインフォマーシャル

ちょうどテレビショッピングが注目され始めた時代でした。私がストーリーと台詞を書き、自ら出演する2分と30分の2つのインフォマーシャルを作り、オーストラリアとニュージーランドで莫大な金額をかけて繰り返し放送しました。
「Natural Glow」はテレビショッピング以外では販売しなかったため、購入はすべてテレビを観ての電話注文でした。簡単に使え、体のあらゆるところに塗れたので、幅広い年齢層に、男女関係なく受け入れられ、大ヒットを飛ばしました。2年後にはスタッフが150人に増え、そのうち60人は電話オペレーターで、24時間体制で電話を受け付けました。さらに、オーストラリア、香港、シンガポールにも関連会社を構えるようになりました。通販会社はあらゆる商品を開発し、販売していましたが、「Natural Glow」が最主力商品でした。私は今でも人に会うと「Natural Glow」を使っているかを聞かれます。私自身のイメージが「Natural Glow」のイメージと重なるからでしょう。私が出演したインフォマーシャルはかなり放送しましたし、実際に売れたのです。「Natural Glow」のおかげで私の通販会社はニュージーランドで90年代の急成長企業の代名詞ともなりました。
そして、1999年に通販会社をアメリカの企業に売却することになり、売却収入がありました。この事実を聞き付けたニュージーランド、オーストラリア、イギリスのテレビや新聞がサクセスストーリーとして私のドキュメンタリーを制作しました。
その後は、テレビにもプレゼンターとして出演するようになり、著名人を一般家庭のディナーに呼ぶ「Guess Who's Coming Dinner?」や人生相談の「How's Life?」の二本のレギュラー番組を持つようになりました。

素朴な疑問から、新規事業を立ち上げる
どうしてオークランドでマオリショーを観ることができないのか?

会社を売却してしばらくした頃、生まれ故郷のイギリスの知り合いから30人程のニュージーランドツアーを手配して欲しいと依頼がありました。そこで気が付いたことがありました。オークランドではニュージーランドの文化ともいえるマオリショーを観ることができないのです。昔から、マオリショーを観るためには車で3時間をかけてロトルアに行かねばならなかったのです。このツアーは時間の余裕がありませんでしたので、ロトルアまで行くことが出来ませんでした。結局、全員がマオリショーを観ずにイギリスに帰りました。
また、通販の仕事で付き合いのあったアメリカやオーストラリアのビジネスマンも同じでした。彼らはオークランドにしか滞在しませんでした。絶対にマオリショーを観ることはできないのです。観たいのに観ることができないのです。
今ではオークランドに世界中から客船も入ってきます。夜に船に戻らねばならない乗客が往復6時間をかけてロトルアに行きますか?このままではますます世界中の旅行者がマオリ文化に触れることなく、ニュージーランドを後にすることが増えることでしょう。
そんな単純な理由から、オークランドでマオリショーをやろうと思ったわけです。オークランドでマオリショーが定着するようになれば、他の地域も刺激されて、マオリ文化を発信する機会が増えると思います。
私は世界のあらゆる都市を訪ねた時には、必ずその国の伝統的なショーや食べ物に触れるようにしています。ニュージーランドには300~400年前から存在するマオリ文化があり、ハンギ料理があるのですから、それらを最大の都市オークランドで楽しめなかったことがおかしいと思います。

多くの批判を跳ね除ける
マオリの神聖さとビジネスのはざまに立つ

「Rawaka Maori Village」を始めるにあたり、各地域のマオリのキーパーソンに相談しました。多くのマオリが「テレビショッピングの時のようにマオリを商業化することはできない」という意見でした。私がインフォマーシャルで「Natural Glow」を売りまくったイメージをマオリの神聖さに重ね合わせたからだと思います。今はグリーンストーンではなく、グリーンのプラスチックで出来たTIKIも出回るような時代です。このようにマオリ文化が正しく伝えられていない事実があるのですから、慎重さを要しました。
特にロトルアのマオリからは強い批判がありました。オープンを今年の1月半ばにして、急いでいたこともあり、正式な手続きを経て、時間をかけて協議されないマオリショーはマオリ文化を曲解しているので認められないと言うものでした。最初に協力をお願いしていたマオリから最終的に断られたこともありました。
しかし、オークランドのノースコートをベースにするアワタハ(AWATAHA)族のマオリが好意的に協力してくれることになりました。彼らが必要とするものをすべて用意するという約束で、実現に漕ぎ着けました。
ショーはドライアイスやライトで演出するエキサイティングなものです。ダンサーはプロのパフォーマーのMIKAにお願いしています。出演ダンサーはみな若く、派手なコスチュームを着て、とてもパワフルなダンスを披露します。昼間は他の仕事をしていて夜だけパフォーマーになるのではない、本物のプロ集団です。
私は「Rawaka Maori Village」の経営を行うのみで、マオリ文化にはタッチしません。また、海外からの旅行者は旅行業界に詳しいスタッフに任せ、私はニュージーランドのマーケットを担当します。スザンヌ・ポールが手掛けるオークランドのアトラクションの一つとしてマオリ文化を体験してもらえればと思っています。
大人一人の入場料125ドルの内容はステージに設営されたマオリ村でマオリの歴史、衣食住の様子を説明した後、ステージを囲んだダイニングエリアに移動し、ハンギ料理を食べ、25分間のMIKAのマオリショーを観ます。その後デザートタイムでパブロバを食べ、20分のポリネシアショーを観て、トータルで約2時間半のアトラクションのお開きとなります。今までロトルアでマオリショーを観たことのある人でも満足し、マオリの人たちが観ても新鮮で驚くほどのショーだと確信しています。
ロトルアのマオリショーもレベルアップしなくては飽きられてくると思います。今後、ライバルは同業の「Rawaka Maori Village」だけではなく、オークランドやウェリントンにある様々なアトラクションも視野に入れて考える必要が出てくると思います。

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