日本語ラジオ放送『はなきんダイナマイト!』メインパーソナリティ:山上 純子 さん

「こんばんは、今週もはじまりました『はなきんダイナマイト!』みなさんこの一週間いかがお過ごしでしたか…」
ラジオから流れてくる声の持ち主は山上純子さん。自然が多いこと、他の国と比べて生活しやすい環境であることが理由でNZをワーキングホリデーの場所に選んだ。純子さんはオークランドの日本語ラジオ放送『はなきんダイナマイト!』で10月からメインパーソナリティを務めている。
山上純子さん
1973年2月生まれ28歳。大学では国際商学を専攻。ファッションに興味があったことと、不況に左右されない業種の二つの視点から下着メーカーに就職。現在の住まいはミッションベイ。3人のフラットメイトと生活している。学校から帰ると4人分の夕食作りに腕を振るっている。
「毎週金曜日、午後10時40分から104.6FMでオンエアしているんです。オークランドのイベント、旬のお店の紹介、英語の勉強、日本の様々なニュース、など日本語の総合情報番組なんです」
「ラジオに出演をするようになったきっかけは友人からこの番組のことを聞いたからです。私は人とコミュニケーションを取るのが好きで、日本にいたときも仕事とは別にアナウンスの学校に通っていました。それでとにかく一度遊びに行きたいと思っていましたので、スタッフ宛にメールを送ったら、ゲストとして出演することになってしまったんです。そこで来週からスタッフにならない?と誘っていただいて、そして次の週からは本当にメインパーソナリティーとして出演することになりました」
番組ディレクターの大原正也さんは「ゲストとして出てもらって次の週からすぐにマイクに向かってもらったワケは、彼女がスキルを持っていたから。なにより彼女の声がすごくよかった。資質として、リスナーに元気を与えられるものを持っていると僕自身は感じた。でも一番の理由は彼女自身のスタッフになりたいという希望かな」と語ってくれた。
「放送が夜の10時40分からですので、局には9時に来てミキサーやディレクター、他のスタッフとミーティングをします。各自が取材してきたことを出し合ってその日の番組の内容を検討するんです。そのときに色々な情報が先取りでわかるので少し得した気分になります。数時間後に公共の電波で発表しちゃうんですけどね」
休日前の深夜、帆の街オークランドに広がる彼女の声は放送二回目から大きな反響を呼んでいる。
「聞いてくれている皆さんに少しでもホットな情報を提供できるように、日頃から色々なお店を見て回っています。洋服や小物なんかのお店は結構詳しいかも。でもそのおかげで衝動買いが増えてしまって困ってるんです」
鮮やかなオレンジと黒。衝動買いの一つである大きなデイパックの中からは教科書や辞書がでてきた。仕事の関係で海外に行ったり、ボランティアで外国人留学生と接していた彼女は長い間、英語に興味をもっていたという。
「私の本業は学生なんです。英語のスキルアップのために語学学校に通っています。それがNZに来ることを決意した一番の理由ですから。日本では女性下着のメーカーで企画・営業の仕事をしていました。そこで毎年、販売員さんに褒賞旅行があって、それにスタッフとして参画していたんです。それは多いときには四千人くらいの団体になるツアーなんですけれど、ある年の旅行中にパーティーでちょっとしたトラブルが発生したんです。英語でコミュニケーションをとらなければいけませんので伝わるのが遅くて、遅くて。まず私たちから企画会社の人へ話をして、それから通訳の人へ話がいって、そして現地の人たちに伝わるんです。そういう時間的なロスや、ニュアンスの微妙なズレで、すごく時間がかかってしまいました。そのときに自分が英語を話せたらもっと早く解決できたのにと悔しい思いをしました」
見知らぬ女性でも一目見ただけでスリーサイズがわかってしまう。日本ではそれほど仕事に打ち込んでいた純子さんだった。しかし、多くの人と同じように彼女もまた日本での仕事中心の生活の中から新しい自分を見つけ出そうとアクションを起こした。
「ここでは英語だけでなく他のことも学んでいこうと思っています。ラジオもその一つとして考えているんです。日本に帰った時にはアナウンス関係の仕事に就いてみたいと思っています。私自身も放送を始めたばかりですので、ここでの経験が直接それにつながっていくかどうかは、まだわかりません。ただ、やりたい仕事の近くにいることが大切だと思っています」
日本ではほとんど着なかったというカジュアルな服に身を包んでいる彼女のお気に入りはクイーンストリートのジャストジーンズで買ったジーンズのジャンパー。ここでの生活は純子さんに大きな変化をもたらした。
「今の一日一日はとっても大切な時間なんです。新しい自分が動き出すために、この街や人との出会いから栄養をもらってるんです。ここでできることは英語であり、多くの人と接することです。ですから学校が終わったあとは地元のカフェで働きたいと思ってます。色々なことにチャレンジして生活自体を充実させていきたいと思うのです。美和明宏さんが雑誌で言っていた言葉なんですが『麗人』(れいじん)のようになりたいと思っています。それは知性、教養、人格を備えた人であり、美人と呼ばれる人よりもはるかにランクが上なんだと美輪さんは言われていました。『麗人』を表現する形は人それぞれだと思うのですが、私はそのときの自分の年齢に似合う人間のことだと思っています。たとえば35歳になったら、胸を張って35歳ですと言えるようになっていたいし、人からは活き活きした35歳だなって思われていたいんです」
オークランドから約90キロ北にあるカイワカに住んでいる叔父さんに会いに行くということもニュージーランドへ来た理由の一つ。大学の教授をリタイアした叔父さんは環境エネルギーの研究をしているとのことでお米を作ったり風力発電をしたり、エコロジーな生活をしているという。
「時間ができたら、叔父の住んでいるところにも遊びに行こうと思ってます。そこでもきっと新しい発見ができるんじゃないかと期待しています」