New Zealand Hospitality Management Academyで2年のディプロマコースに通い、サービス業のマネージメントを学んでいる美香さん。ニュージーランドに来た最初の目的は英語の習得であった。そのキッカケとなった出来事は9年間、勤めていた外資系の会社を辞めてアジア15ヶ国を2年半かけて旅行していたときに起こったという。
「インドで長距離バスに乗ったときのことです。私のバスが対向車線のバスと接触事故を起こしたのです。ドンという衝撃の後に、甲高い悲鳴が車内に響きました。そちらを見ると一人の女性が大ケガをしていました。一瞬にして、バスの中がパニック状態になりました。もちろん私自身も落ち着いてはいられませんでした。ケガをした女性はどうなってしまうのだろうか?事故を起こしたこのバスは動くのだろうか?一体、この後にどうなってしまうのだろうか?そこは何もない田舎の村で他のバスや電車に乗り換えるということは不可能な場所だったのです。 ニュージーランドに来たのは01年の4月のこと。英語を学ぶために語学学校に入学したが環境が合わずに6週間で辞めてしまった。そして、次の学校は自分の目で一校一校確かめて選び、半年近く通った。いよいよビザが切れる頃になって美香さんは現在の学校を知った。 「どうせここまで来たのだから英語以外も学んでいこうと思いました。私のコースはHospitality Managementコースでホテルやレストラン、カフェなどのサービス業でマネージメントをする人材を育成する学科です。将来、そういった関係に就職したいと思っている人や、また自分でビジネスを立ち上げたいと思っている人が集まるところなのです。私が、ここを選んだキッカケはサービス業に興味があった、そして料理が好きだったという、けっこう、単純なものでした。入学に際してインタビューと簡単なテストがありました。面接では今までの経歴や志望動機などを聞かれました。テストは日本で言えば小論文でしょうか。自分が目標とすることや、これからやりたいことを作文にすることでした」 授業では経営や法律、サービス概論などの座学ばかりでなく、実践的なことも行われる。 「マネージメントのクラスといえども、現場を知らなくてはいけないということでカクテル作りなどの実習もします。これが結構おもしろいし、やってみると難しいことがわかるのです。そうですね、例えばコーヒーを淹れたりする実習があります。カプチーノからフラットホワイト、ラテ、エスプレッソなど、一通り習います。カプチーノを作るときにミルクを温める蒸気ですが、当てる時間が長すぎるとミルクから焦げた匂いがするんです。そして味の方もやっぱり焦げた味がします。だからと言って短ければミルクは冷たいままなので、ぬるいカプチーノになってしまう。だから時間の感覚がわかるまで何度も練習します。そして最後には当然、テストが待っています。審査基準は温度や泡のキメの細かさです。砂糖を入れたときにゆっくり沈んでいけばOK。キメの細かいカプチーノです。 同じ時期に入学した生徒は美香さんを入れて6人。この同期が大切な仲間だという。 「私はこの学校では初めての日本人の生徒でした。まわりはキウイばかり。最初の頃、英語が聞き取れなくて、よく授業を中断させていました。必死に付いていこうとする私自身が感じる緊張感も相当なものでした。知らない言い回し、知らない単語の連続でした。そんな私を見た周りのキウイは助けてくれました。少し難しい単語が出てきたら、違う言葉で教えてくれたり、スペルを書いてくれたりしました。私もそれで少しずつ覚えて、慣れて、そして落ち着いて授業が受けられるようになりました。 私はここを卒業した後もニュージーランドに残りたいと思っています。住んでみて実感したこの国のリズムや、豊かな自然が大好きです。それにここには、授業中に私を助けてくれた仲間のように、優しい人達がいっぱいいます。ですからニュージーランドでホテルやレストランに就職したいと思っています。そして更には、ビーチの近くに自分のカフェをオープンさせたいと思っています。そのときはメニューに大好きな豆腐の料理を入れようと思っています」 |
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