9人の歯科医、スタッフは総勢45名。ビルが丸ごと歯科医院になっているAlbert Street Dental
Care。オークランドの街の真ん中にあり、診察時間は朝の7時から夜8時まで。そのため利用者の多くはビジネスマンである。時にはオークランド港に入港した船員さんが駆け込んでくることもある。そこで歯科衛生士として勤務する藤本恵美子。ニュージーランドでも日本での経験を生かした仕事がしたいという意志が今の職場を見つけ出す強い動機となっていた。
10年前に初めてこの国に来ました。その時はいわゆる旅行会社が主催するツアーでした。そこでニュージーランドが大好きになりました。理由は「自然の美しさ」です。その後、休暇の度にトレッキングに足繁く通ってきたのです。 自然を通して惹かれたニュージーランドで暮らしてみようと思ったのは98年のことであった。 日本で歯科衛生士を16年続けていました。ですから、ニュージーランドでもその経験を生かした仕事に就きたいと最初から考えました。そのために色々と下調べを始めました。
いろいろとリサーチをしているうちに歯科衛生士の採用が少ないことがわかってきました。そうなれば、ビザに関しても問題がでてきます。そこで、私は先にパーマネントを取った方が仕事探しには有利だという結論に達したのです。間もなく、Dental Hygienist Association の証書が届きました。その後はビザ取得に関しての書類を集めることと、ニュージーランドでの就職先を探すことに本格的に取り組み始めました。 しかし、ニュージーランドの就職戦線も甘いものではなかった。 日本にいてもできることはありました。まず、インターネットでNZのイエローページを検索し、そこに載っている歯科医院をセレクトしてCVを送りました。また、NZで歯科医療機器のメーカーが出版している雑誌を取り寄せ、そこのクラシファイドに就職希望の広告を出しました。
NZで仕事をしようと思ってから約4年後の02年1月にニュージーランドに入国。そのまま、連絡のあったブレナムの歯科医院へ向かった。 しかし、そこでは色よい返事はもらえませんでした。勤務条件が週1回のパートタイムだったのです。その後募集広告を見て応募もしてみましたが、別の人が採用されたと言う結果を聞きガッカリするということもありました。レターも数多く出しましたが、返事はありません。やはり、仕事をするのであればオークランドしかないと思い、すぐに上がって行きました。
ドアノッキングは私にとって非常に抵抗がありました。なにしろ今までそのような形で就職活動をしたことがなかったからです。ただ、これまで郵送、ファックス、e-mailなど、日本から送ったものも入れれば7,80件にはなりましたが、面接までこぎ着けたのはブレナムの一件だけです。もう、飛び込んで行くしかないという思いで、ドアノッキングを始めました。
面接をしたPractice ManagerのCindy Knowlesは語ってくれた。 彼女にとって言葉はあまり問題ではありませんでした。事実、面接では私とちゃんとコミュニケートできましたし、今でも患者さんとの間にその問題はありません。それよりも、歯科衛生士としての経験や知識に加えてフレンドリーな人柄は私にとって大きな魅力で、それらが採用の決め手となりました。また、その後の話ですが、彼女の勤務に対する態度、特に私たちの要望に対して柔軟に応えてくれるところは新しく見つけた魅力の1つです。 歯科衛生士の仕事というのは予防というところに大きなポイントがあるという。歯や歯グキのチェックをして予防に対してのアドバイスを行い、歯石を取り除いたり、歯ブラシ指導などをする。 日本では歯科予防に力を入れている先生に師事し、その歯科医院に勤務していました。そのため、歯科衛生士向けの雑誌に記事を書いたり、講習会の講師の依頼を受けたり、ビデオの作成に携わったりして、数多くの勉強するチャンスを貰いました。
院内で取り扱う歯ブラシは恵美子の提案で新しい種類のものが導入された。今後も新しい提案をしていきたいという。 ここの歯科医院では書類などの作成はすべてコンピューター化していて、どの治療室にも端末が置いてあります。それを使ってデジタルカメラで口内を撮影し、歯ブラシの練習の成果などを患者さんに実際に見てもらうことを今、考えています。小さなことですが、今後も、もっと色々なことを取り入れて行きたいと思っています。 |
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