ニュージーランドで仕事をする。
ニュージーランドに住んでいる日本人の仕事をクローズアップしたこの「名うてのプロフェッショナル」は毎回いろいろな方面で活躍している人達に過去の経歴、就職活動、そして現在の仕事内容を聞いてきました。これまでインタビューした人達を見ると、大きく、技術派、チャレンジ派、独立派の3つのグループにわけることができます。
日本語が通じる歯科衛生士、会計士、ガーデン設計者など、様々な分野での日本人の存在を知ることはあなたのキャリアアップにも必ず役に立つはずです。また、これからニュージーランドで仕事を探そうとしている人や新しいことにチャレンジしようとしている人は先輩達の就職活動の方法や就職後の活動を是非参考にしてみてください。
技術派
これまで日本で培ってきた自分の技術を活かした仕事に就いている人達です。「ニュージーランドで-がしたい」という確固たる意思を持って渡航した人が多く、また、ガーデニングやヨットなど、これぞニュージーランドという職業に就いている人もいます。
4号より
武井純子さん
看護師
日本の看護師免許をニュージーランドの免許に切り替え、グリーンレーンホスピタルに勤務。これからニュージーランドで看護師を目指している人と交流を持ちたいと考えている。
看護短大卒-看護師として働く-NZへ-2度目のIELTS受験で7ポイントをクリア-日本の看護師免許をNZの免許に書き換え-グリーンレーン病院勤務
Point
IELTSのアカデミック7ポイントが切り替えの条件。面接でも看護師としての技術もさることながら英語力も大きなウェイトを占めたという。
5号より
前島恵理さん
園芸コーディネイター
造園設計士としてオークランド・ドメインの桜の植樹やワイタケレ市の日本庭園などの大きなプロジェクトから家の庭のメンテナンスまで幅広くガーデニングに携わっている。
短大の園芸生活学科卒-造園事務所勤務、大阪の花博や各地の緑化計画に携わる-NZへ-オタゴポリテック園芸コースに入る-卒業後、一旦日本へ-再びNZへ-造園事務所に所属する
Point
造園事務所で就職を受け入れてもらうが、自分の仕事は自分で見つけるというスタイル。単にガーデニングの技術だけでは給料を得ることが出来ないため、顧客獲得に奔走した。
6号より
上原陽子さん
エアロビクスインストラクター
女性専用のフィットネスクラブでエアロビクスインストラクターとして、英語というハンディを感じさせることなくキウイの会員からも人気を上げた。
大学の体育学部健康学科卒-フィットネスクラブに就職-フリーのエアロビクスインストラクター-NZへ-英語学校-女性専用のフィットネスクラブの面接を受け就職?ビザをワークに切り替える
Point
日本とNZでのエアロビクスに対する考えのギャップを埋める努力が認められ、所属していたスポーツクラブのサポートを受けワークビザを取得。
9号より
藤本恵美子さん
歯科衛生士
歯や歯グキのチェックを行い虫歯の予防に対してのアドバイスなどをする歯科衛生士。歯石の除去や歯ブラシ指導など日本で培った技術と知識をNZで役立てている。
短大の保健科卒-16年歯科衛生士を続ける-日本から連絡を取っていたNZの歯科医を周り各地で就職活動をするが条件があわず-オークランドで直接歯科医を尋ね就職先を見つける
Point
日本の準備で足掛け4年を費やしてから渡航。就職活動ではCV提出のみも含めるとトータル7?80件の歯科医にあたっており、NZの職業安定所にも相談に行けるほどのバイタリティと英語力がある。
11号より
寺川智子さん
ヨットメンテナンス
オークランドのウエストヘブンマリーナに繋留されている個人所有ヨットの専属メンテナンスとして、ヨットが常にレースに出場できるように整備をしている。
日本のヨットショップに勤務-仕事を辞めアメリカでのレースに参加-コンピュータープログラマー-NZへ-大手セールメーカーに就職-ヨットメンテナンス
Point
通常ワークビザが許可されにくい業種であったが、アメリカズカップ開催に伴いヨット関連の仕事が増えたためスムーズに取得。実力に伴い時期やタイミングも重要な要素の一つ。
13号より
坂本浩一さん素子さん夫妻
アクションスタント
アメリカで大人気の特撮ヒーロー番組のプロデューサー・監督の浩一さんと、スタント・女優の素子さんはアメリカで放映する番組をニュージーランドで制作している。
浩一さんが仲間とロサンゼルスで総合スタントプロデュース会社を設立、数多くの映画に携わり、パワーレンジャーシリーズに参画-仕事をキッカケに素子さんと知り合い結婚-撮影拠点をNZへ
Point
この業界は慢性的な人材不足。今後、多くの人が集まってくるために自分たちがジャッキーチェンやブルースリーに続く子供の目標になりたいと坂本さん夫妻は言う。
16号より
畠田証さん
CGアニメーター
『TOY STORY』『a bug's life』などのように、コンピューターグラフィックスでアニメを制作するCGアニメーター。世界26ヶ国で放映されているNZのCGアニメ『Buzz Poppy』の制作に携わる。
大学の社会学部卒-食品会社勤務-CGの専門学校に通い始める-卒業制作の作品をNZのアニメーションスタジオに送る-採用が決定する-NZへ
Point
就職当時『ロードオブザリング』のプロジェクトに参加するCG技術者が多く、証さんの会社では海外から技術者を募っていた。証さんも技術だけでなくタイミングを見逃さなかった。
19号より
大竹美佳さん
フラワーデザイナー
フラワーショップに勤務。フラワーアレンジメントも行い、毎週ANZ Centreビルの本部受付の花を創っている。創る花のセンスの良さが評判を生み、最近はキウイからのウェディングの依頼も多くなっている。
アパレルデザイナー系の専門学校卒-OL-フラワーデザイナー講師の資格を取得-ディズニーリゾートに就職-NZへ-求人広告を見て応募-採用後実力が認められビザサポート
Point
フラワーショップのスタッフ数は通常2?5人。そのため日本同様、就職は難関だと美佳さんは言う。よほどしっかりした技術を持っているか、研修で入り認めてもらう方法がベター。
20号より
高橋尚子さん
ヘアスタイリスト
ヨーロピアンに比べて髪質が硬いとされている日本人にとって必要不可欠な日本人ヘアスタイリスト。02年に自分が理想とする誰もがリラックスできる場をつくるためヘアサロンをオープンさせた。
美容専門学校卒-ヘアスタイリストと美容学校の生徒の講師を務める-NZへ-約5年間ヘアスタイリストとして働く-ヘアサロンをオープンさせる
Point
NZに来てから現在まで、約6年間ヘアスタイリストの仕事だけに専念。そのため、まだ旅行らしい旅行もしていないと言うほどの努力が自分の店をオープンさせるまでに至った。
21号より
西謙介さん
調理師
洋食店のオーナーシェフとして塩加減が強すぎない料理や甘いだけでなくほんのりと苦味があるデザートなど、日本人がなれ親しんだ味でキウイの味覚に勝負を挑んでいる。
高校卒業後語学留学でNZへ-ポリテクの料理学校-ロトルアのホテルに就職-日本へ帰国-ホテルの洋食部門で働く-再びNZへ-和食店勤務後、オークランドで日本の洋食店を開店
Point
一つ一つのメニューが凝っており、時間をかけた料理を出すことをコンセプトに自らの店をオープンさせた。西さんのデミグラスソースは日本の懐かしい味を思い出させてくれる。
23号より
坂口隆章さん
ファッションデザイナー
ロレアルニュージーランドファッションウィーク03では一躍脚光を浴びたクライストチャーチ在住の日本人ファッションデザイナー。現在、世界のバイヤー達から注目されている。
大学の商済学部とデザイン専門学校に同時に4年間通う-アパレル会社就職-「KOSHINO」一門に弟子入り-NZへ-多くのデザイナーたちの元を周り、その後クライストチャーで独立
Point
NZでデザイナーとしてやっていくという信念で、業界用語の英語を知るために様々なデザイナーのオフィスへ飛び込み、無償で働き、言葉を覚えると同時にNZでのコネクションを築き上げた。
チャレンジ派
NZはチャンスの国です。新しい事を始めようと思ったときにそれを咎める人は誰もいません。しかし、新しいことを始めるためにはそれなりの準備が必要です。以下に登場してくれている人たちはすべて、万全の準備をしたからこそ仕事を得ることができたという人たちです。
3号より
辻井清江さん
テレビ局カスタマーサービス
アジア人に向けた番組を放送しているテレビ局で視聴者への電話対応、マーケティング、番組ガイダンス作成を行っている。日本人、中国人、韓国人が主な顧客層になっている。
短大卒業後、不動産の営業に従事-NZへ-旅行をしながらクイーンズタウンへ-旅行会社に就職-クライストチャーチに転勤-オークランドに移りテレビ局での仕事を得る。
Point
テレビ局のカスタマ-サービスは視聴者への電話対応が業務の中心となるため正しい日本語での言葉使いが必要とされる。そこでは日本での営業職経験が活きたと清江さんは言う。
7号より
かをりシニアーさん
ノースショア市ビジターインフォメーション
レストランやショップの案内から、各種のチケット手配を行っているビジターインフォメーションセンター。訪れる人は地元のキウイから観光客まで多岐にわたっている。
短大の英文科卒-工業薬品メーカー勤務-NZへ-語学学校-ユニテックでツーリズムを学ぶ-ワークエクスペリエンスをキッカケにノースショア市の試験を受ける-採用決定
Point
学校へ通いながら無償でワークエクスペリエンスを約1年続け、まわりのスタッフに顔を覚えてもらった。すぐには仕事に結びつく事はなかったが、仕事を得るキッカケとなった。
8号より
塩島知世さん
バイクショップサービスレセプション
日本の大手バイク販売店のオークランド支店でサービスレセプショニストとして活躍。社内の唯一の日本人として本社からの日本語の書類の翻訳も業務の一つになっている。
高校卒業後アメリカに2年間留学-日本へ帰国後、外資系メーカーの秘書-NZへ-日本食レストラン勤務-新聞の募集広告に応募、現職を得る
Point
会社はごく普通にキウイに向けて事務スタッフを募集していた。日本とのやり取りが多い会社にとっては、応募してきた日本人の知世さんは渡りに船であった。
10号より
木下尚浩さんウキョンファさん夫妻
ワイナリー勤務
有名ワイナリーが軒を並べるワイへキ島の中にある新進ワイナリーでの仕事に夫婦で従事。自然を相手に、ブドウの木の世話からワインの醸造まで一年を通してNZワインの生産に携わる。
大学在学中にワーキングホリディでNZへ-ワイナリーのファームエクスチェンジで仕事の真面目さを認められる-日本へ帰国-NZから連絡を受け大学卒業後にワークビザで、再びワイナリーに戻る
Point
わずか3ヶ月間のエクスチェンジで尚浩さんを認め、ビザをサポートして日本から呼び戻した理由は、真面目に勤務していただけでなく、仕事を覚えるスピードが速かったからだとオーナーは言う。
12号より
新開由美さん
ジュエリーメーカー品質管理
ニュージーランドのトップジュエリーメーカーで品質管理オペレーターとして活躍。趣味を活かした仕事に転職するという、日本ではなかなか実現が難しいことをニュージーランドで成功させた。
短大卒後、旅行会社に9年間勤務-NZへ-クライストチャーチにてツアーガイド、ホテル受付-オークランドに-ジュエリー教室に通う-新聞の募集広告に応募、現職を得る
Point
面接では職歴や英語の問題を多く聞かれたので、それに一つ一つ丁寧に答え、これは私にとっては大きなチャレンジですという内容のことを社長に訴えたと由美さんは言う。
14号より
神保智子さん
アウトドアガイド
世界中から自然を求めて集まってくる人達を相手にアウトドアガイドとして毎日野山をかけ回っている。野外での技術や知識だけでなく、かなりの英語力も要求される。
高校卒業後NZへ-NZの高校-AUTのフィットネストレーニングコースでディプロマ取得-私立のアウトドアスクールに通っている時、講師の一人から推薦され現職場が決まる
Point
危険が伴うこの仕事では英語力は大前提条件、その上で本人の能力が決め手となった。智子さんが日本人であることは採用には関係がない、と採用にあたったマネージャーは言う。
15号より
大内惠子さん
ホテル電話予約室
一日に500件の電話がかかってくるニュージーランドの大手のホテルチェーンの集中予約室でリザベーションコンサルタントとして毎日100件近くの電話や電子メールに対応している。
専門学校卒-旅行会社勤務-NZへ-語学学校-Central Institute of Technologyの旅行観光学科-旅行会社でツアーオペレーター、スパーバイザー-現職へ
Point
英語を学ぶより英語で学ぼうと思いツーリーズムの学校へ入学。惠子さんの場合も前出のかをりさん同様学校のプログラムでのワークエクスペリエンスが決め手となり、旅行会社への職が決まる。
17号より
渡辺静香さん
不動産会社受付
不動産会社レセプショニスト。受付業務だけにとどまらず、セールススタッフのアシスタントとして書類管理や広告制作なども行なう。
小学6年生でNZに来る-オーストラリアの中学校-NZハミルトンの高校-免税店勤務-新しい事にチャレンジするため新聞の求人欄を毎日チェック-現職を得る
Point
面接において、相手からの質問の受け答えもさることながら、自分をしっかりとアピールする事が何よりも大切だとキウイの社会で育ってきた静香さんは言う。
22号より
獅子田亜紀さん
公認会計士
公認会計士を目指し、ニュージーランド資本では最大手の一つである監査法人に勤務。NZでは公認会計士になるためには大学を含めて通常7年かかるという。
高校卒業後すぐにNZへ語学留学-ポリテクのツーリズムに進むが、自分に合わないと判断、すぐにビジネスコースに変更-カンタベリー大学で会計学を専攻-オークランドの監査法人に就職
Point
この国で新しい目標を発見する人は多いが、それを実際に職業まで結びつける事ができる人は多くない。亜紀さんは自己投資をして現職を得た典型的な例と言えるだろう。
独立派
ニュージーランドで働く機会の一つとして、自ら働く場を作ってしまう独立という方法があります。ビジネスのチャンスが多くあるこの国では、独立する機会もまた、多くあります。以下に登場してくれる人たちはキッカケを見逃さずに独立の道を進んだ人たちです。
1号より
進藤真樹子さん
医療カウンセラー
オークランドの私立病院内で行われている屈折矯正手術のカウンセリングおよび、ドクターと患者のとの通訳を行う。
日本でOLーNZへー病院のドクターから日本人への通訳を頼まれたことがキッカケとなって、友人達と日本人専用のカウンセリング、通訳の部門を病院内に立ち上げる
Point
当初はインボイスの書き方から勉強しなければならなかったため、事務処理などを覚えるために、独立前より、独立後の方が忙しくなったと真樹子さんは言う。
2号より
一色良子さん
ライフコーディネーター
自らを「ライフコンサルタント」と位置づけ、ウェディング、語学留学、ロングスティ、不動産など、ニュージーランドでの生活をすべて手助けするコンサルティング会社を設立。
旅行会社添乗員-NZへ-語学学校-コンサルティングビジネスを立ち上げようとしているとき夫であるDouglasさんと知り合い結婚-夫と共に会社を設立
Point
日本で10年以上の経験がある旅行業界のスキルを基軸にコンサルタントビジネスを立ち上げる。その後、自ら経験したウェディング、夫の本業である不動産などを業務に取り入れていった。
18号より
北村葉子さん
B&B経営
自宅を改築してニュージーランドの民宿とも言えるB&B(Bed & Breakfast)を経営。一日一組だけの宿泊客しか受け入れないようにして、きめ細かなサービスを提供している。
看護師-NZへ-老人ホームでヘルパーとして働く-語学学校-NZの看護師免許取得後、再び老人ホームで働く-結婚、自宅を改築-B&Bオープン
Point
初めてNZに来たときに受けた感動を、今度は多くの人に味わってもらいたいと思い、その「場」となるB&Bをオープンさせた。宿泊客には観光や生活などのアドバイスをしている。
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