ニュージーランドの衛星放送スカイテレビで働く佐藤文さん。 彼女は、どの時間帯に、どのCMを入れるかを決めていくセクションに所属している。 CMの組み合わせでは、クライアントの希望があったり、一緒に重ねられないCMがあったり、パズルを解いているようであると言う。 また、テレビの放送を裏方で支える仕事はどちらかと言えば地味であるが、やりがいのある仕事であると語ってくれた。 NZへの留学 転機となるインターンシップ 大学の4年生のときに私の意識が少し変化しました。高1でこちらに来て以来、英語の面でも生活の面でも、がんばりましたし、それなりに苦労もしてきたとは思うのですが、どちらかというと順風満帆でした。それだけに、なんとなくこのままではいけないのではないだろうかという気持ちがありました。その気持ちを実行に移すようになったきっかけはインターンシップのときでした。 就職活動 恵まれた仕事環境 2003年の7月からスカイテレビで働き始めました。衛星放送であるスカイテレビの特徴は一般のTV局とは違い現在60の専門チャンネルに分かれていることです。ですから各チャンネルの視聴者も他局と比べて明確です。例えばスカイニュースはビジネスエグゼクティブが視聴者層になります。わざわざ毎月の受信料を払ってまで海外のニュースを見る必要がある人たちです。ここのチャンネルには高級車や少し値段が高いビールなどのCMが流れます。その他、Eエンターテイメントというチャンネルではハリウッドのゴシップを中心に流していますので、視聴者層は15ー39歳の女性と考えられておりCMは化粧品が中心になります。子供向けのチャンネルではお菓子やファーストフード、おもちゃが主流になります。CMの割り振りはクライアントの希望を第一にするのですが、組み合わせが難しいこともあります。例えば車のCMとアルコールのCMを同一番組内で流さないという業界の基本的な方針があるのですが、どうしても重なってしまうこともあります。そういった場合は番組の一番最初と最後に離して入れるようにします。アレンジに関してNZならではのことでは、陸運局とも言うべきLTSA(Land Transport Safety Authority)のCMがあります。皆さんも何度が目にしたことがある安全運転の啓蒙、飲酒運転の抑止のために作られている、時として背筋が寒くなる交通事故のシーンが流されるCMです。そのCMと車、アルコールのCMは絶対に一緒にすることができません。また、マクドナルドとバーガーキングのように同業種を一緒にすることもご法度で、これらは最も注意をしてアレンジする組み合わせの1つなのです。CMを出す側と、見る側の両方の気持ちを考える必要があるのです。 スカイテレビはまだ歴史が浅いため改善する要素も多くあります。私が進めているひとつはCMを売るための番組表のリニューアルです。これまでは簡単な表計算ソフトでつくられた白黒のもので、お世辞にも見やすいものではありませんし、他局が小冊子のような形で番組表を出しているのに比べると見劣りしていました。これに色をつけて、番組の種類別にマークをつけて、一目でクライアントが狙っている視聴者層がわかるようにしました。些細なことですが、こういった細かいことがスカイテレビというブランドのイメージを上げていくと思って取り組んでいます。実はこれについては私自身が提案したことですので、その責任もあってじっくりと取り組みました。 NZの会社は私のような新参者の意見にも耳を傾けてくれますし、それが良い意見であると判断されれば採用にもなります。こういった環境で仕事ができることは幸せなことであると思っています。今後のことは現在ではまだ想像もつきませんが、メディアの業界でがんばっていきたいと思っています。 |
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