世界一周航空券

 世界一周旅行というと、一般的に世界中を何十カ国も回る旅を思い浮かべますが、世界一周航空券の世界一周の定義は「逆戻りせずに太平洋と大西洋を各々1回横断して出発地に戻ること」で、例えば日本→アメリカ→フランス→日本というように2カ国を訪問するだけでも世界一周になります。そして世界一周航空券とは、出発地から世界を一周して出発地に戻るまでの通しチケット一式のことを言います。

 現在、世界中の多くの航空会社が提携し、グループごとに、加盟している航空会社がお互いの就航便をつないで世界一周航空券を提供しています。代表的なものとして、スターアライアンス(全日空、ルフトハンザ航空、ユナイテッド航空など16社)、ワンワールド(英国航空、アメリカン航空、キャセイパシフィック航空など8社)、ラウンドザワールド(ノースウェスト航空、KLMオランダ航空、コンチネンタル航空など13社)があります。

 それぞれ航空券ごとにルートや滞在都市に関するルールが異なり、それが料金設定に関わってきますが、主に大陸制とマイル制の二つに大別されます。大陸制を採用しているのはワンワールドですが、世界を6つの大陸に分け、訪れる大陸の数で料金が異なります。飛行機に乗れる区間が1大陸で4区間までというように制限がありますが、距離制限はありません。一方、スターアライアンス、ラウンドザワールドではマイル制を採用しています。全フライトの合計マイルによって料金を設定していますが、滞在都市数に関しても制限を設けています。どちらの場合でも、料金設定の範囲内いっぱいのルートを組むほど料金的にはお得です。

 3グループとも発券する際に出国便と全行程を決める必要があり、自由気ままに旅行できるわけではありません。搭乗手続きには必ず全行程の航空券一式が必要で、各路線のチケットを切り離すと無効になります。出国便以外の便は日時を決める必要がなく、予約変更も無料ですが、ルートを変更する場合は、再発券する必要があるので手数料がかかります。
 有効期間は出発日より一年間ですが、ワンワールドとスターアライアンスには出発地に戻るまでの最低旅行日数が設けられています。また、原則的に西回りか東回りの一方向に進み、逆戻りはできません。大陸内の逆行は可能ですが、例外が存在しますので、詳細はグループごとによく調べる必要があります。

 どのグループを選ぶかは、主に滞在都市と航空会社でほぼ決まります。汎用性から考えると、多くの都市をカバーしているスターアライアンスが一番ですが、多くの大陸を回りたいなら距離制限のないワンワールドが、アフリカや中東を重点的に回りたいならラウンドザワールドがお勧めです。

上記3グループ以外の世界一周航空券では、滞在できる都市やルートがかなり限定されていたり、ルートや予約の変更ができないなどの難点がありますが、その反面、料金が安いなどの利点があります。また、世界半周航空券というものもあり、滞在都市によってはお得です。

 世界一周航空券は、旅行期間が一年以内で行きたい場所が決まっているなら、格安航空券を現地で買い足していくよりもかなり割安になります。長期休暇を利用して日本へ里帰りする際、世界一週航空券を活用して、ついでにヨーロッパやアメリカなどを訪問するなど、3都市以上訪問する場合に検討してみるとよいでしょう。ちなみにタヒチヌイ航空、KLMオランダ航空、ノースウェスト航空の加盟するBlack Pearl Europeでは、日本(東京または大阪)と他、最大4都市(例:タヒチ、アムステルダム、パリ、ロサンジェルス)への滞在が$2449(05年4月現在)から可能です。
 できるだけ安い料金で行きたい都市を効率よく回るには、航空券を発券する旅行代理店がどれだけ「世界一周航空券」について商品知識があるのかに左右されるため、代理店を選ぶ際は、いくつか実際に話を聞いてから決めましょう。また、自分でも各航空会社のウェブサイトでルートを調べることは必須です。


Mark Thomas
Travel Maker
Managing Director
Shop4 30 upper Queen St. Newton
Email: contact@ecube.co.nz

ACC

 ACC(Accident Compensation Corporation)は、NZ国内で起きた事故に対して治療費の一部や補償金を負担する政府機関のことです。これは世界的にも非常に珍しいシステムですが、もともとは労働災害や自動車事故を補償するシステムがなかったために、当時社会問題となっていた労働者災害訴訟による苦情に対応するための労災補償システムとして1974年に始まり、その後様々に改訂が加えられ現在に至っています。その結果として、現在NZでは怪我による損害に対して訴訟は起こすことはできなくなっています。

 ACCは居住者だけでなく、外国人旅行者やワーキングホリデービザでNZに滞在中の人にも適用され、保障内容は、医療関係費用、休業保障、後遺障害保障、遺族年金保障をはじめ、それらによって必要となるチャイルドケアやホームヘルプなど多岐にわたります。ただし、疾病は対象外になるほか、状況によって補償される金額に違いが生じ、全額支払われず個人負担費用が発生する場合もあります。

 これらの資金は主にNZ居住者から源泉徴収される所得税と自動車税、および各企業の全従業員に支払う給与総額の0.91%のACC Levyという税金で賄われています。源泉徴収される税率は職種別に規定されており、危険度の高い職種ではより高い税率となっています。2004年度の平均では、企業に就業する従業員の場合は1.21%、自営業の場合は1.73%が課税されています。
 自動車税は、交通事故によるクレームに対応するため、ガソリン仕様の一般自家用車では年間車体登録料$217.05のうち$126.01が、ガソリンについては1リットルにつき5.08cがそれぞれ課税分として徴収されています。

 補償の対象となる医療機関はGPの他に歯科、眼科、鍼灸治療、カイロプラクティックなどがあり、ACCへの治療費や補償金などの申請は医療関係者が担当します。診察にかかった費用とACCが負担する分の金額の差額分が、基本的にその場で個人負担金額として提示されますが、すべての事故に適用されるとは限らないため、補償が適用されるのかどうかは、後日直接当事者宛てに文書によって連絡されます。緊急を要さない手術や治療または歯科治療では、ACCが適用されない場合があります。これらを受ける際は、必ず事前にACCに確認しましょう。
 怪我のために勤労を中断せざるを得ない場合には、有給で治療に専念することができます。支給期間や支給額は怪我の程度に応じて異なりますが、怪我をした時点から数えて第2?5週までの間、最高で賃金の80%が支給されます。ただしこの場合、医療機関が発行する証明書のACCと勤務先双方への提出が必要です。第1週目はACCからは支給されませんが、その怪我が勤務中に起きた事故による場合は雇用主によって補償されます。また、5週間を経過しても容態が思わしくなく職場復帰ができない場合は、再申請により最大52週まで補償が継続されます。
 遠隔地にお住まいで、最寄りの治療施設まで片道20km以上(最初の2週間のみ)の場合や、1ヶ月の通院距離の合計が80km以上もしくは通院にかかった費用が$45以上の場合、交通費の請求もできます。

 その他、治療が長引いたり後遺症が出た場合などは、医療機関を通じて再申請できますので、レシートは必ず保管しておきましょう。費用はNZ国内での精算となり、日本帰国後や、事故が起こった時点から12ヶ月をさかのぼっての申請、請求はできませんので、大した怪我ではないと思っても、できるだけ早めに最寄りの医療機関で検診してもらいましょう。
尚、本誌の記載内容は一般的な情報で、内容は個々のケースによって異なるため、詳細はACCウェブサイトをご確認ください。(*本記事に関して、ACCおよび本誌では一切の法的責任を負わないものとします。)


Vivian Cheung
ACC
Asian Development Manager
18 Sales St. Freemans Bay
www.acc.co.nz

TOW AWAY
 車を所有している人なら、だいたい一度はTOW AWAY(レッカー)をされた経験があると思いますが、最近のオークランド市内のパーキング事情は非常に厳しくなっています。10分くらいだから良いだろうなんて思っていると、あっという間に持って行かれることもよくあります。

 TOW AWAYをするかしないかの決定を下すのはポリスオフィサーやトラフィックワーデンで、一般道路や公共エリアでは彼らのオーダー無しに車を牽引することはできません。彼らが専属のTOW AWAY会社に連絡をしてTOW AWAYの手配をします。TOW AWAYされた場合は市役所や警察に問い合わせ、車のナンバーを言えばどこに保管されているかを教えてくれ、レッカー代と手数料を払えば返してくれます。ちなみにTOW AWAYをされると、100ドルから200ドル近く請求される場合もあります。もちろん日にちが経てば保管の駐車場代も別途チャージされるので、早めに引き取りを済ませた方が賢明です。

 公道以外のプライベート・パーキングエリアでは警察関係の力は及びませんが、そのパーキングのオーナーによって規制されている場合がほとんどです。必ず掲示板にTOW AWAYに関する表記があり、TOW AWAY会社の連絡先も掲載されています。だからもしその駐車場の規約に触れている場合は、契約のTOW AWAY会社が勝手に持っていく場合がほとんどです。
 さて、TOW AWAY会社のトライバーや会社自体はもちろんTransport Services Licensing Actという法律により、特別なライセンスを持っていなければなりません。ドライバーは洋服の上の見えるところにIDを表示し、トラックには内外から見えるように会社の情報や所属組合名などを記入したものを表示している必要があります。
 TOW AWAYドライバーは、法律違反の車の鍵を開け、ハンドブレーキを解除してレッカーをしていく権利がありますが、「ダメージを与えないための最大限の注意」をしなければなりません。もしダメージを与えられた場合は、TOW AWAY会社に直接クレームするか、保険会社にすぐに連絡をすると良いでしょう。

 「ちょっと待った!」というタイミングで、まさにレッカーされようとしている場面に戻ってきた場合、正式な法律はなく、状況次第なのですが、早い段階では許してくれる場合もあります。すでに車の鍵を開けている場合は、呼び出し代を請求するドライバーがほとんどですが、基本的には払う必要はありません。話がこじれた場合やどうしても納得がいかない場合は、自分の車の中に入ってしまうという「裏技」もあります。実は人を乗せたままレッカーをしてはいけないという法律があるので、ドライバーは最終的には車を離さなくてはいけないのです。
 しかし、このような問題になる前にきちんとした駐車場代を払って規則を守った方が、結局は安く済む場合がほとんどです。
*公道でTOW AWAYされた時にはAuckland City Council (09-379-2020)へ問い合わせすれば状況を知ることができます。


Chris Geerlings
Auckland City
Parking Services Manager
www.auklandcity.govt.nz

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