VOL.61 2月号


NZで活躍する日本人

時代を飾るキウィ




自由時間 : ワーキングホリデーやスチューデントで活躍中

<ダイビングショップ・ボランティア / Goat Island Dive : 植木 弥生さん | メイン | 音楽専攻 / BA Music University of Auckland : 和田 義孝さん>

ダイビングショップ・ボランティア / Goat Island Dive : 植木 弥生さん

ニュージーランドでの体験をもとに
海の魅力、楽しさ、安全性を日本の子供たちに伝えていきたい。

『海の活動』を日本で行ってきた植木弥生さん。ニュージーランド発祥の海の活動『Waterwise(ウォーターワイズ)』やダイビングなどを通して、積極的に海の楽しさを自らも体験する彼女。そんな弥生さんにニュージーランドで経験した新たな『海の活動』の体験や発見について語っていただいた。

植木 弥生
Yayoi Ueki
1982年広島県生まれ。高知大学教育学部卒業。大学在学中に、『海の活動』に目覚め、高知県室戸の少年自然の家でボランティア活動に励む。大学卒業後、少年自然の家で契約社員として働く。2005年11月、NZの『ウォーターワイズ』のインストラクター資格を取得。2006年7月NZにワーキングホリデーとして渡航。ダイビングやボランティア活動を通して海に関係する生活を送る。

 

『海の活動』が教えてくれた海の楽しさ

「高校時代まではバレーボール、テニス、剣道など部活一本できて、海とはまったく関係のない生活をしていました。大学は、体育の指導に興味があったので教育学部へ進学。現在、私がもっとも関心のある『海の活動』との出会いは、大学一回生が終わろうとしていた頃でした。友人と一緒に高知県の室戸にある少年自然の家でボランティアをしたのをきっかけに、『海の活動』にのめり込んでいったのです。」と語る弥生さんは、NZで海と接しながら幅広く活動する。「少年自然の家では、NZの『Waterwise(以下、ウォーターワイズ)』をモデルにした、子供たちが水に賢くなるためのプログラムを提供。『ウォーターワイズ』とは、1983年にNZで始まった、水の楽しさと恐さ、安全の大切さを子供たちに教えるために海を活用した総合学習です。その少年自然の家での『海の活動』を通して、私自身が初めて海の楽しさを知り、子供たちにも私たちの指導を通してカヤック、セーリング、シュノーケリングなどの楽しさを伝えていきたいと思ったのです。それからは、もう馬鹿みたいにはまってしまって。大学が終わるまで週末は室戸に通ってボランティアをしていましたね。4回生の時は住み込みまでして。他にも、3回生の終わりに友人とNZに2週間滞在して、『ウォーターワイズ』のセンターを見て周りました。Eメールで『ウォーターワイズ』のチェアパーソンに連絡を入れたら、親切に返事をいただき、それでいろんな施設を見て周ることができたのです。『ウォーターワイズ』はヨットクラブの機材等を借りて活動していて、『ウォーターワイズ』のインストラクターライセンス保有者が先生として、カヤックがひっくり返った時にどうするか?など水に対する安全性や楽しさについて教えていているのです。オークランドではとても盛んな活動で、学校教育の中にも『ウォーターワイズ』を取り入れていることを知り、大学の卒業論文も『ウォーターワイズ』について書きました。大学卒業後は、少年自然の家で1年間契約社員として働きました。当時の上司が『ウォーターワイズ』に興味があったことから、研究のためにNZに一緒に来る機会があり、その時に数日間の講習を受け、『ウォーターワイズ』のインストラクター資格を取得しました。せっかくライセンスを取得したので、またNZに来たいと周りの方に話している時に、ワーキングホリデー制度を知り、2006年7月にNZへ来たのです。」

『ウォーターワイズ』でボランティア活動

「『ウォーターワイズ』の繋がりで以前から知っていたオークランドにある中学校の校長先生から紹介していただいて、10月中旬から12月上旬までオークランドのウエスタン・ベイ・ウォーターワイズセンターでボランティアをすることになりました。インストラクター約3名が指導し、保護者ボランティア4、5名がヘルプするという形で活動が行われました。」弥生さんはインストラクターとして参加した。「レスキューボートに乗って、セーリングの操船方法やカヤックの漕ぎ方を指導したり、安全確認などを担当したりしました。この活動を通して、NZの子供たちと日本の子供たちの違いを感じましたね。たぶん、それは教育システムの違いから生じているのかもしれません。NZの子供たちは日本の子供たちよりも自由でのびのびしていて、上手く自然と遊べていると感じました。日本では、『海の活動』は特別な活動という意識が強かったのですが、NZではいたって普通の活動で生活面でも、娯楽面でも海は彼等にとってとても開けている存在だという印象を受けました。また、この活動を通して多くの方との出会いもありました。初対面にも関わらず、みなさんが私をウェルカムな感じで迎え入れてくれ、ホスピタリティ溢れていたので溶け込み易く、休憩時間には様々な国出身のインストラクターや保護者の方々と異文化交流ができたのもよい経験となりました。」

『海の活動』のひとつとしてのダイビング

「7月から語学学校に3ヶ月間通って、ウォーターワイズのボランティアが始まるまでに時間が少しあったので、念願だったダイビングのライセンスを取ることにしました。『海の活動』の知識を増やすために、日本にいた頃からダイビングのライセンスをすごく取りたかったのですが、経済的な理由で後送りになっていました。NZでダイビングをしようと思ったきっかけは、コストが日本よりも安いこともありましたが、語学学校の仲間たちと一緒にライセンスが取れるというのも大きかったです。またインストラクターが女性ということで、相談もし易く、女性らしい心遣いもあって精神的に安心できることも良かった点でした。」
オープンウォーターのライセンスを取得した弥生さん。「とにかく面白かったです。これまではシュノーケリング、サーフィン、カヤック、セーリングなどの『海の活動』を通して海の表面を楽しんでいたのですが、海の中の世界を見たことによって、『海の活動』に対する視野と理解がいっそう広がりました。違った視点で地上の世界も見れるようになったり、魚も違う角度で見れるようになったり。そして本数を重ねていくうちに、ダイビングはセーリングなどとは違い競うものではないので、レクリエーション的な要素をたくさん含んでいて、いろんな楽しみ方ができ、とても魅力的な『海の活動』だと感じました。リラックスして自分のペースでできて、ポイント毎にどんな生態系があるのだろう?ってワクワクしたり、同じ場所でも海の中はその時々で違う表情を見せてくれたり。海の中にこんな楽しいことがあったんだ、って新たな発見でしたね。
オープンウォーターの段階ではダイビングのスキルが中途半端で、ここで終わるのは物足りなさがありました。インストラクターがその場にいなくても、機材のセッティングなど自分たちで最小限の対処ができるようになるのがオープンウォーターですが、はじめて海に潜って、水の中で息ができることにはたいへん感動しましたが、それよりも心地悪さがありましたね。それで、もっと自由に動けるようになりたいって思いました。またその頃、NZに世界的に有名なダイビングスポットのプアナイツという場所があることを知って、ぜひ潜ってみたいと思いました。そしてそこで潜るにはアドバンスを修了すると潜ることのできる深度が必要ということもあってアドバンスに進むことにしたのです。」

 

NZの海での体験を日本に還元

「「オープンウォーターのライセンスを取得してすぐにアドバンスに行くと、ダイビングの本数が少なくて技術が安定していないので、数回、ファンダイブへ参加しました。ファンダイブでは、イセエビやホタテを取りに行き、NZならではのダイビングの楽しみも経験。ダイブショップのオーナーがその場でホタテなどをさばいてくれて食べさせてくれて。そのフレッシュな美味しさは格別でしたね。そしてファンダイブを行ったことが自信に繋がりました。アドバンスは、ダイビングの幅を広げるためのコースで、内容はバリエーションに富んだもの。私は夜潜ったり、方位磁石を使って潜ったり、ダイブショップのボートで沖にでて潜ったりもしました。ダイビングを始めた頃はバディーを見る余裕もあまりなかったのですが、回を重ねるごとに次第に余裕もできて、アドバンスが終わる頃には体もコントロールできるようになって、視野も広がっていました。
コースは全て泊まりなので、コース中はみんなの興味がダイビングで共通なので一体感があって。夜はインストラクターのあきこさんも参加して反省会をして、不安や疑問を解決して翌日の講習に活かすことができたことが私のダイビングに対する意識をいっそう高めましたね。
 アドバンス修了後、さっそくアドバンスを受けるきっかけとなったプアナイツへ潜りに行きました。すごく綺麗でしたよ。海が蒼くて。トロピカルな海ではなくて深い蒼さ。それに光と影。魚の大群。実際に見た感動は説明しきれるものではないですね。沈船があることでも有名ですが、目の前にドラマの世界で見ていた光景があって。船の中は、お化けがでそうな感じでゾクゾクしましたね。映画『海猿』のストーリーの中に自分がいるような感じで。
また、ダイビングのコースを通してゴートアイランド・ダイブショップの人たちやダイビングのコース期間中に宿泊したバッパーのオーナーと出会えたことをとても大切に思いました。素敵な方々だったので、ぜひ彼等と関わっていたいとまで思って。NZにいる間だからこそ、こういう現地の人との係わり合いを大事にしたかったのです。そしてラッキーにもダイブショップでボランティアができることになりました。ショップでは掃除、ダイビングの機材の洗浄、運搬などをしています。アットホームな環境で、人の優しさを身を持って感じています。そしてスタッフは海が大好きな人たちなので、ダイビングを安全に楽しく提供できるように、各自がプロ意識を持って働いているのが印象的でした。
これからもこのような『海の活動』を通して、NZにいる時間を精一杯活用して、帰国までの時間を楽しんでいきたいと思っています。そしてNZで『ウォーターワイズ』やダイビングを通して、新しい『海の活動』が体験できたことは、これからの私にとって貴重な経験でした。今後はこれらの経験を活かして、海の持つ魅力や楽しさ、安全について多くの人たちに伝えていきたい。『海の活動』は日本教育の中にはほとんど入っていないので、NZで得た体験をもとに日本の子供たちに還元して行きたいと思っています。」

 

ゴートアイランド・ダイブ/インストラクター・あきこさん

世界中に活躍できる場所があるダイビング・インストラクターとして、海そしてダイビングを通してたくさんの人と出会い、この1年間とても素敵な経験をさせていただきました。NZの冬の間は沖縄で働き、ダイビングを始めた国、私にとって故郷のようなNZに昨年10月に再び戻ってきました。そして、今シーズン初めてのコースの生徒さんが弥生さんでした。ファンダイブによく来てくれて、船の上でも他の人を常に気遣ったり、器材を率先して運んでくれたり。ダイブショップのオーナーも彼女のそういう姿をよく見ていて、彼女だったら大歓迎だよと、快く弥生さんをショップでのボランティアとして受け入れてくれました。昨シーズンは100名以上の日本人のお客様にゴートアイランド・ダイブをご利用いただきました。感謝の意をこめて、ということとゴートアイランド・ダイブ7周年を記念して、コース受講生にフリー・ワイン・テイスティングをプレゼントするなど、様々な企画をご用意しています。みなさん、ぜひ遊びに来てください!そして一緒にNZの海を満喫しましょう!

ダイビングショップ・ボランティア / Goat Island Dive : 植木 弥生さんと連絡を取りたい、勉強したい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいと言う方はイーキューブ留学セクションまで、お問い合わせ下さい。

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