Vol.89 時代を飾るキーパーソン New Zealand School of Food & Wine校長 |
クライストチャーチの代表的なレストランとして数々の賞に輝いているHay's。入れ替わりの激しいレストラン業界で、15年の長きにわたって高評価を受け続け、特にラム料理においては圧倒的な支持を集めています。この店のオーナーにして料理人でもあり、またNew Zealand School of Food & Wine の校長でもあるCelia Hayさんは、お父さんがクライストチャーチの市長を務めたほどの、知る人ぞ知るニュージーランドでも数少ない名家の出。代々受け継がれる成功の秘訣とは、いったいどこにあるのでしょうか?
はじめは手作りのジャムから
料理やサービスはもちろん、200種類を超える充実したワインリストでも有名。
母親としての顔も大切な一面。子供たちのランチは毎日作っている。
店内にはHAY家の歴史を物語る写真が数多く飾られている。
自分がもてなされるのも大好き。他のレストランで食事をするのも楽しみだそう。
クライストチャーチのシンボルとも言える、HAY'Sの看板。
私の家族は古くからビジネスや慈善事業などに携わっており、祖父も父も功績を認められてナイトの称号(Sir)を授かっています。クライストチャーチ市民ならタウンホールの「James Hay Theatre」をご存知かもしれませんが、これは市長を15年務めた父がホール建設の際、祖父にちなんで命名したものです。 趣味が仕事になって
Hay'sレストランが15年に渡って高い評価を得られている理由のひとつは、ラム肉の質にあると思います。当店のラムは、Hay家が1843年から所有しているファームのもの。安定した供給のため、信頼できるもう1軒のファームとも契約して、両方から仕入れています。一頭丸ごと仕入れることで様々な部位を使うことができ、料理の幅も広がります。もちろん接客スタッフの力も欠かせません。常にお客様に目を配り、きめ細かい「おもてなしの心」を忘れないようにしています。その他は特別なことをしているわけではなく、「それぞれが今できることをキチンとする」というのが唯一の秘訣でしょうか。 経営者として、母として
Hay家の一員であることで、生まれながらに経営感覚というものが身に付いているのかもしれませんし、家族からたくさんのことを自然に学び取りました。たとえば「不平不満を言わない」ということ。雇われている側なら、「これは自分の仕事ではない」などと、嫌な仕事を避けることもできますが、オーナーには選択の余地はありません。とにかくやるしかない。常に自分に厳しく、自らを奮い立たせていなければならないので、一般の従業員よりずっと辛い立場なのだと自覚しています。当然責任も重くプレッシャーも大きいのですが、私はあまり悲観的にならず、むしろそれを糧にするようにしています。ちょっとしたことにすぐ幸せを見つけてしまうタイプなので、得な性格かもしれませんね。 10年後20年後も変わらずに 新しい事業を考えるのは大好きなので、いつも何かしら構想を練っています。アカロアの店で作っているオーガニックのパイやペストリーを、商品として流通させるのが今考えている計画。いずれは日本に向けて輸出できればと思っています。将来の夢は・・・・実はこれが私の夢だったんですよ。ですからもう叶っている、というか叶い続けていますし、10年後にも同じように続けていたいです。レストランという仕事において、時が流れても基本は変わらないと思っています。クラシックはいつの時代にもクラシック。10年後も20年後も、人々はきっとラムを食べているでしょうしね。 |
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