Vol.90 時代を飾るキーパーソン Palazzo del Marinaioオーナーシェフ |
ガイドブックなどでもお馴染みのシーフードレストラン、Palazzo del Marinaio。他にも多数の事業を営む実業家でありながら、オーナーシェフGorgさんの持つ料理への愛情と情熱は、開店以来28年を経た現在でも色あせることはありません。新鮮な素材へのこだわり、食の大切さについてGorgさんにお話をうかがいました。
味覚のルーツは地中海
食通達にとって最高のプレステージ、シェーヌ・デ・ローティスール協会の紋章。ニュージーランド国内でこれを掲げることのできる店はごく数軒のみ。
歴史を感じさせつつも、居心地のいい店内。落ち着いたインテリアがアットホームな雰囲気を醸し出している。
「千客万来」の文字が印象的なバーカウンター。ビールやワインのみならず、カクテルにも力を入れている。
一人で何役もこなすGorgさん。インタビュー中も、自ら予約の電話を何件も受ける多忙ぶり。
物静かな夜のクライストチャーチで、ひときわ目立つロブスターのネオンサイン。
オーナーシェフ自らが市場に出向いて見極めた食材だけが、Palazzoの厨房で出番を待つ。
看板メニューのシーフード・プラッター。揚げ物や冷凍物を使わず、新鮮な素材をシンプルに調理する。
私の父は地中海にあるマルタ共和国の出身、母はイタリアのシシリー島出身で、私自身はマルタ島で生まれ育ちました。国が違うとはいえ、マルタ島とシシリー島は100km足らずしか離れていないので、ほんの隣同士といった感じですし交流も盛んです。90歳を超えた母は今でもシシリーで暮しているので、私もこのところ冬場はニュージーランドを脱出してシシリーで過ごす、という生活をしています。あちらには親戚が総勢100人ぐらいいますから、みんなが集まるとそれはそれは賑やかになりますね。 大事なのは毎日変わらず店を開けること
イタリアに渡って学業を終えた後、バチカンでシェフとして働きはじめました。教会で大量の食事を作るというのが、私にとって最初の仕事です。その後ロンドンやヨーロッパのレストランで経験を積み、見聞を広めようとニュージーランドにやって来ました。当初はフレンチのシェフをしていたのですが、ハンマースプリングスのホテルで飲食マネージャーとして勤務したこともあります。そして数年後、クライストチャーチ郊外のサムナーに小さなティールームを開きました。これが初めて持った自分の店ということになります。 真のシーフードレストランとしてのこだわり
当店でもっとも人気のあるメニューは、今も昔も変わらずロブスターとオイスターです。シーフードは鮮度が命なので、毎日連絡をもらって仕入れに向かい、自分の目でしっかり見極めて選びます。素材がよければ凝った調理法は必要ありませんから、Palazzoでは新鮮なおいしさを活かすために魚の調理はグリルかスティームが基本で、揚げ物は一切ありません。地中海で獲れるものに比べると、ニュージーランドの魚は身に含まれる塩分量が少ないので、味が淡泊になりすぎないよう工夫しています。このように鮮度や調理法に気を配った上で自信を持ってシーフードレストランと名乗れるのは、クライストチャーチでPalazzoだけではないかと自負しています。 技術だけでなく心も伝えたい
現在は他にもいくつか事業を行なっていて非常に忙しいので、なかなか仕事を忘れてゆっくりくつろぐというわけにはいきません。と言うよりむしろ、自分の中ではあえて仕事と私生活の区別を付けずにいるように思います。根っからの仕事好きなのかもしれませんね。中でもレストランは常にメインの事業として頭の大部分を占めています。Palazzoは開店以来ずっと、共同経営者も持たずに私1人でやっていますから、それだけ愛情と情熱を注いでいる仕事でもあります。 この記事を読んで、Palazzo del Marinaioに興味のある方はイーキューブの情報センター「イースクエア」までお問い合わせ下さい。 |
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